
破損した福島原子炉内での珍しいバーチャル体験
カルドン・アズハリ
福島:アラブニュース・ジャパンは、2011年の事故により溶けた核燃料や燃料棒が残されている福島第一原子炉内部でのロボットの動きを示すバーチャルリアリティーシステム(VR)を撮影する稀な機会を得た。
このシステムは国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構(JAEA)の楢葉遠隔技術開発センター (NARREC:ナレック)が運用している。
実際の映像と合わせ、原子炉内のロボットの動きと、空間内の物体や構造物の距離を正確に計算する。
NARRECは、福島第一原子力発電所の廃炉に不可欠な遠隔操作ロボットの研究開発と実証のための施設として、2016年4月に運用が開始された。
原子炉建屋とは別の建物内にあり、原子炉内部を正確に再現、廃炉計画を現実に近い方法でシミュレーションできるバーチャルシステムである。
試験棟には原子炉建屋内のさまざまな階段を再現したモックアップ階段、水温や水質を変えることができるロボット試験用水槽など、それぞれの環境に対応した試験設備が備えられている。
廃炉工程においては、人に代わって高放射線下で作業を行う遠隔操作ロボットを使う。この技術は、除染やデブリの除去にも活用が期待されている。
計画では、ロボットが2号機の圧力抑制室や格納容器に入ることになっているが、これらの空間は密閉されており、ロボットはそれらや地下室、炉心に入ることができない。
そのため、ロボットにはレーザースキャナーが装備されており、各地点につき最大100万ポイントの空間情報データの評価が可能な仕組みになっている。
立ち止まって空間をスキャンし、操作機器や配管、デブリなどを含めVRで再現、何を動かす必要があるのか、どのような障害物があるのかを示す。
空間内の空気中の放射線レベルについても、ロボットが監視する。 このVRシステムはゴーグルを使用することでリアルな体験を提供するもので、NARRECの野崎信久氏により、放射線レベルが高く人がアクセスできない原子炉内でのバーチャルツアーが実演された。 ANJの記者は「まるで本物のようだ」と話した。
「『階下に降りる』際には、体のバランスがずれているような気がして、無理に直立姿勢を保たないといけなかった。
時には、ヴァーチャル天井に頭をぶつけないように、無意識に身をかがめることもあった」 日本政府は、福島原子力発電所を解体するまでには約40年かかると推定している。