
先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、欧州連合(EU)のジャンエリック・パケ駐日大使がインタビューに応じた。ロシアが侵攻したウクライナへの軍事、人道分野で支援を続けると強調した。主なやりとりは以下の通り。
―ウクライナの平和実現に向けたEUの協力は。
EUはウクライナを全面的に支え、主権を回復するまで軍事支援を継続する。弾薬100万発の迅速な供与に取り組んでおり、加盟国は戦車や戦闘機なども提供した。避難民への大規模な経済支援も行っている。ロシアの戦争遂行能力をそぐため、経済制裁は極めて重要だ。
―G7はロシアの核兵器使用阻止へどう連携すべきか。
国際社会が団結して侵略を非難し、ロシアは孤立していると認識させることだ。G7首脳が広島で平和記念公園を訪れ、核不拡散の取り組みを推進すると表明することは、非常に強い政治的シグナルになる。
―緊張が高まる東アジア、インド太平洋地域の安全保障を巡る課題に、EUは日本とどう協力するか。
台湾の現状維持はEU外交政策の重要な要素。欧州で起きていることが日本に影響を与えるのと同じで、インド太平洋で起きていることは欧州にとって極めて重大だ。EUの一部加盟国は日本との軍事協力を強化し、共同訓練に参加している。経済安保、サイバーセキュリティーの確保も大切だ。
―EUは人工知能(AI)に関する規制議論を進めている。
AI開発を当面停止すべきだという意見も出ているが現実的ではない。技術革新は続くもので、適切な規制の枠組みを早く導入する必要がある。そうした規制が優れた経済発展をもたらし、競争力を高める。欧州では環境規制により、風力発電といった世界をリードする分野も生まれた。
時事通信