
ラファ、エジプト:イスラエル政府は24日、スペインのペドロ・サンチェス首相とベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相が、ガザ地区でのイスラエルの軍事作戦により、パレスチナ市民が苦しんでいると、イスラエルを批判する発言をしたことを受け、ベルギーとスペインの大使を呼び出し抗議する意向であると発表した。
またサンチェス首相は、欧州連合(EU)がパレスチナ人国家を承認することを求め、場合によってはスペインが独自の判断で承認する可能性もあると述べた。
2日間にわたってイスラエル、パレスチナ自治区、エジプトを訪問したサンチェス首相とデ・クロー首相は、訪問最後の24日、ガザ地区との境界にある検問所のエジプト側で共同記者会見を行い、サンチェス首相は国際社会とEUがパレスチナ人国家を承認する時が来たとし、「もしそうでない場合は…スペインは独自の決断を下すだろう」と、述べた。
スペインは現在EUの議長国(半年交代の持ち回り制)であり、1月にはベルギーが引き継いで議長国に就任することになっている
サンチェス首相は、23日のイスラエルのネタニヤフ首相に対する民間人の殺害についてのコメントを繰り返し、「私は、イスラエルの自衛権も繰り返し表明するが、それは国際人道法によって定められたパラメーターと制限の範囲内で行われる必要がある。しかし、何千人もの少年少女を含む民間人の無差別殺戮は、それに該当せず、まったく容認できない」と、述べた。
デ・クロー首相は、パレスチナ人国家の承認についてはコメントせず、「先ず第一に、暴力を止め、人質を解放し、苦しんでいる人々を助けることが優先だ」とした上で、ガザ地区での恒久的な停戦の必要性と期待を強調し、「これは共に築く必要があり、この紛争の解決策は決して暴力ではないことを双方が理解して初めて、築き上げることができる。この紛争の解決策とは、人々がテーブルを囲むことだ」と述べた。
さらに同首相は、「軍事作戦は国際人道法を尊重する必要があり、民間人の殺害は直ちやめるべきだ。ガザ地区ではあまりにも多くの人々が亡くなっており、我々はガザ地区の社会が破壊されているのを受け入れることはできない。先ずは暴力を止めるべきだ」と、付け加えた。
イスラエルはそれらの発言を受け、「市民を虐殺し、パレスチナ人を人間の盾として利用したハマスの人道的罪の全責任について触れていない」と、両首相を厳しく非難した。
イスラエルのコーへン外相は両国の大使を呼び出し、厳しく抗議するよう指示し、「テロを支援するスペインとベルギーの首相の誤った主張を非難する。イスラエルは国際法に準拠して行動しており、戦争犯罪や人道的犯罪を犯す(ダーイシュ・グループ)よりも悪質な殺人テロ組織と戦っているのだ」と、述べた。
スペインのホセ・マヌエル・アルバレス外相は、24日遅く、イスラエルのスペイン大使の召喚について「イスラエル政府によるスペインとベルギーの両首相に対する非難は誤ったものであり、容認できない。我々は断固として否定する」と述べ、サンチェス首相はこれまでイスラエルの自衛権を公の場で繰り返し擁護してきており、今週同地域を訪問したのは 「平和への道 」を模索してのことだったと付け加えた。
AP