
国連:国連安全保障理事会(安保理)は22日、ガザ地区への人道援助を強化するための「トーンダウン」した決議案を承認した。米国による拒否権発動を回避するための激しい交渉と1週間の採決延期の末、同機関は「持続可能な敵対行為の停止に向けた条件整備」のための緊急措置を求めた。
イスラエルとハマスによる11週間の戦争でガザの死者数が増加し、このパレスチナの飛び地で人道的危機が悪化していることに対する世界的な憤りが高まる中、米国は、アラブ首長国連邦(UAE)が起草した決議案を15カ国からなる理事会が採択できるよう棄権した。
残りの理事国は、同じく棄権したロシアを除いて決議案に賛成した。
米国を味方につけるためのハイレベル交渉の結果、この決議案は、ガザに住む230万人へのすべての援助物資の輸送に対するイスラエルの支配を緩和するものではなくなった。イスラエルは、エジプトから続くラファ検問所とイスラエルが管理するケレム・シャローム検問所を通じて、ガザに届けられる限定的な援助物資を監視している。
しかし、敵対行為の停止に関する文言が弱められたことで、拒否権を持つロシアを含むいくつかの理事国やアラブ諸国、イスラム協力機構(OIC)は不満を表明している。外交官によれば、今回の採択は、ハマスによる10月7日の致命的な攻撃に対して、イスラエルがさらなる行動を起こすことを承認したものだとみなす国もあるという。
採択された決議案は、「安全で妨げのない、拡大された人道的アクセスを直ちに許可し、持続可能な敵対行為の停止の条件を整えるための緊急措置を求める」ものだった。当初の草案では、援助アクセスを可能にするための「緊急かつ持続可能な敵対行為の停止」を求めていた。
今月初め、193カ国から成る国連総会は、人道的停戦を要求、この提案に対して153カ国が賛成票を投じた。同内容は、数日前に米国が安保理で拒否権を行使していたものだ。
米国とイスラエルは、停戦はハマスに利益をもたらすだけだと考え、これに反対している。米国政府はその代わりに、民間人を保護し、ハマスに連れ去られた人質を解放するための戦闘の一時停止を支持している。
援助の監視
先月、米国は安保理に対し、人道支援のアクセスを可能にするための「十分な日数」の緊急かつ人道的な戦闘休止の延長を可能にするため、採決を棄権した。この動きは、行動を起こすための4回の試みが失敗に終わった後のことだった。
米国は伝統的に国連の行動から同盟国イスラエルを守る盾になっている。10月7日のハマス過激派による攻撃で1200人が死亡、240人が人質に取られたとイスラエルが発表して以来、安保理の行動に対し、すでに2度にわたって拒否権を発動している。
イスラエルは、ハマスに対する報復として、ガザを空爆し、包囲し、地上作戦を開始した。ハマス支配下のガザ保健当局によると、約2万人のパレスチナ人が死亡したという。
ガザ住民の大多数は家を追われ、国連当局は人道的な大惨事について警告している。世界食糧計画(WFP)によれば、ガザの人口の半数が飢餓状態にあり、10月7日以来、ガザには必要な食糧のわずか10%しか入っていないという。
22日に採択された決議案の交渉において主な争点となっていたのは、アントニオ・グテーレス国連事務総長氏が、戦争当事国ではない国々による、人道支援を監視するためのメカニズムをガザに設立するという当初の提案であった
その代わりに、今回成立した「トーンダウン」した妥協案はグテーレス氏に対し、「人道・復興上級調整官」の任命を求め、紛争当事国ではない国を通じてガザへの援助を加速させる国連メカニズムを設立するというものであった。
調整官はまた、「ガザにおけるすべての人道的支援の促進、調整、監視、および検証を適切に行う」責任を負うことになる。
理事会はまた、紛争当事国に対し、「国際人道法を遵守し、……民間人や民間施設に対するすべての攻撃、民間人に対するすべての暴力や敵対行為、すべてのテロ行為を非難する」と訴えた。
ロイター