
ナジア・フッサリ
ベイルート:レバノンの保険当局者たちは、コロナウイルスに対する警告キャンペーンが裏目に出るかもしれないことを恐れている。数を増している感染者たちが、隔離されるのを避けるため自分の病気を隠す可能性があるからだ。
同国のウィルス感染者数が100人近くに達する中、感染病専門家で保健省危機委員会委員のアブドゥルラーマン・アルビズリ博士はアラブニュースに対し、政府の意識向上キャンペーンは「人々を家に留まらせた」が、中には隔離されるのを恐れて指定医療機関へ行くのを躊躇する人たちも出していると語った。
アルビズリのコメントは、レバノン閣僚会議が日曜に緊急会議を開く準備をする中で行われた。緊急会議ではウィルスの拡散を阻止するため緊急事態宣言が出されると予測されている。
レバノンではウィルス感染により3人の死亡が報告されている。世界保健機構によれば全世界の死亡者数は現在5,400人を超えており、感染者は123ヶ国で142,000人が確認されている。
アルビズリはレバノンでさらに感染者数が増加すると見込んでいるが、いったい何人がこの病気の犠牲者になるのかは言うことはできないと述べた。
アルビズリは人々に可能な限り家に留まることを強く要請した。感染者数が大幅に増えた場合の医療機関の負担を減らすためである。
保健省の報告によれば、3月14日正午現在、ベイルートのラフィク・ハリリ政府大学病院やその他の大学病院で93人の感染者が確認されている。
アルビズリはアラブニュースに対し、政府の危機委員会は病院の負担を減らすため自宅での隔離実施を推奨したと話した。
多くの人たちが感染した場合に汚名を着せられたり、病院で何週間も過ごすことを強いられたりするのを恐れているとのアルビズリの警告に促され、何人かの政治家はこの病気が「不名誉なことではない」とする声明を発表した。
未来運動連合の国会議員ロラ・タブッシュは、「間違ったやり方の結果、コロナウイルス患者とその家族は罪の意識や恐れを感じてきました。恐怖によって市民は症状を無視し、医者から自らを隠しています」と述べた。
「コロナウイルスは不名誉なことではありません。不名誉なのは症状を隠し、自分自身と他人を感染リスクにさらし続けていることです。社会全体で連帯することを求めます」
自由愛国運動党首の国会議員ゲブラン・バジルは、「感染や病気は汚名ではありません。私たちは誰もが脆弱な存在です。症状を報告し、必要な臨床検査と隔離を実施することは義務であり、権利です」
ヒズボラのハサン・ナスルッラーフ議長は金曜の夜、「一人の患者も隠されるべきではない」と支持者たちに話した。
「感染した人は自分の状態を開示する必要があり、そのことを知っている人は誰であれ感染者のために隠してはなりません。隔離は義務です。自分自身と家族を守ることは宗教上の義務なのです」と、同議長は述べた。
ラフィク・ハリリ国際空港の航空交通量は、ギリシャ、ジュネーブ、ブリュッセル、イスタンブール発以外のレバノン行きのフライトが一時停止された後、確実に減り続けている。
シリア国境を越える陸路が月曜から閉鎖されたため、レバノン経由で帰国するシリア人旅行者は問題に直面する可能性が高い。
輸送路の閉鎖が不安を呼んだため、ラウル・ナアマ経済大臣が食品供給は確保されているとして国民を安心させる必要があった。
「食品と消費財は豊富にあり、市場で不足することはありません」と同大臣は述べた。「必要以上のものを慌てて購入すべきではありません」