Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • スーダン、72時間の停戦で合意=ブリンケン米国務長官

スーダン、72時間の停戦で合意=ブリンケン米国務長官

スーダンでは国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との間で発生した激しい衝突により、住民は安全のためハルツームからの退避を余儀なくされている。(ロイター)
スーダンでは国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との間で発生した激しい衝突により、住民は安全のためハルツームからの退避を余儀なくされている。(ロイター)
Short Url:
25 Apr 2023 05:04:10 GMT9
25 Apr 2023 05:04:10 GMT9

ハルツーム:米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が25日から72時間の停戦に合意した、と発表した。スーダンではこれまで10日間にわたる市街戦により数百人が死亡、数千人が負傷し、外国人が大量に流出している。

停戦に向けた試みはこれまで何度か失敗に終わった。ブリンケン国務長官は次のように述べた。「過去48時間の厳しい交渉の結果、スーダン軍(SAF)と即応支援部隊(RSF)は、4月24日午前0時から72時間、全国的に停戦することに合意した。

ブリンケン国務長官の声明は、停戦合意が発効する24日22時(GMT)の2時間前に出された。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は先に、スーダンは「奈落の底」にあり、暴力は「地域全体、そしてそれよりも大きな範囲を巻き込みかねない」と警告した。

戦闘は、アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン司令官率いる国軍と、かつてブルハン司令官の補佐を務めたモハメド・ハムダン・ダガロ氏が指揮する準軍事組織RSFに分かれている。

RSFは、当時のオマル・アル・バシール大統領のダルフールでの活動を支援したジャンジャウィード民兵を前身とするもので、バシール氏などの人物はこれにより戦争犯罪に問われている。

2021年のクーデターで2人の司令官により政権から追放された文民勢力「自由変革の力」は、停戦合意によって「恒久的な停戦のあり方についての対話」が可能になるとしている。

国連機関によると、これまで427人以上の死者と、3,700人以上の負傷者が出ている。

エジプト外務省は、最近の死者の中に、駐ハルツーム・エジプト大使館政務官補が含まれていたことを発表した。

政務官補は、退避手続きのフォローアップのために自宅から大使館に向かう途中で死亡したという。

22日から始まった各国政府による自国民退避で、これまで4,000人以上が国外に避難している。

米国、欧州、中東、アフリカ、アジア諸国は、大使館員やスーダンに在住する国民の安全を確保するため、陸・海・空路を使用した緊急ミッションを開始した。

一方で、何百万人ものスーダン国民は、軍事クーデターが繰り返された歴史を持つ世界最貧国の一つである自国から逃れられずにいる。

彼らは、急激かつ深刻な水、食料、医薬品、燃料の不足、ならびに停電およびインターネット障害を何とかしのごうとしている。

国連の関連機関は、一部のスーダン国民が「チャド、エジプト、南スーダンへ」脱出に成功したと報告している。

「死体安置所は満杯で、通りには遺体が散らばっています」と医師組合の代表であるアティヤ・アブダラー氏は話す。南ハルツーム各地では24日に「激しい砲撃」を受け、さらに多数の死傷者が出たと組合は報告している。

「スーダンを奈落の底から引き戻すために、私たちは力を尽くさなければなりません」とグテーレス国連事務総長は述べた。

彼もまた、再び停戦を呼びかけた。

ある外交官によると、英国はスーダンに関する国連安全保障理事会の緊急会合を開くことを要請し、25日に開催される見通しとなった。

700人を乗せた国連の護送隊は、首都から紅海沿岸のポートスーダンまでの850キロ(530マイル)の困難な道のりを完走し、銃声と爆発音が響く戦場を後にした。

国連スーダン特使のフォルカー・ペルテス氏は、護送隊が無事に到着したと述べた。

「あまり快適でない護送車での35時間は、爆撃や砲弾の下で3時間座っているよりも確実に良い」とペルテス特使は述べている。

国連の声明では、ペルテス特使と他の主要職員は「スーダンに留まり、現在の危機の解決に向けて働き続ける」としている。

ハルツーム国際空港は戦闘の影響(駐機場には黒焦げの航空機が残されている)で閉鎖されており、大勢の外国人がより小さな滑走路からジブチやヨルダンなどの国へ空輸された。

米国の特殊部隊は、外交官と家族らを救出するため、23日にチヌークヘリコプターで急行しており、英国も同様の救出作戦を開始している。

EUのジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表は、フランス、ドイツなどによる空輸ミッションが行われた「長く激しい週末」の間に、1,000人以上のEU市民が救出されたとしている。

中国は、自国民の最初のグループを「安全に避難させた」とし、「スーダンにいる1,500人以上の中国人同胞の生命、財産、安全を守るためにあらゆる手段を講じる」と声明を出した。

ノルウェーのエンドレ・スティアンセン大使は退避後ツイッターに、人口500万人を擁するスーダン首都は、「筆舌に尽くしがたい破壊に1週間以上」耐えてきたと投稿している。

国際危機グループのアナリストらは、今回の軍事衝突は「無数の武装集団を巻き込んだ本格的な戦争に、この国を急速に陥れる」恐れがあると警告した。

避難者の一人であるレバノン人男性は、ポートスーダンにバスで運ばれた後、AFPの取材に対し「このTシャツとパジャマ」のみを荷物として持ち出したと話した。「(スーダンでの)17年間の後に私に残されたものはこれしかありません」

一部のスーダン人は、混雑したバスでハルツームから脱出し、900キロ以上ある砂漠を北上してエジプトに向かっている。

国連難民機関によると、過去に自国の内戦から逃れてきた80万人の南スーダン難民の中には帰国を選択する者もおり、女性や子どもが国境を越えているという。

首都では、市街戦が繰り広げられる中、砲撃された建物や放火された店舗からの煙で空が黒く染まることが度々あった。

「近所にロケット弾が飛んできました…安全な場所はどこにもないようです」と、住民で建築家のタグリード・アブディン氏は語った。

専門家は以前から、RSFとロシアの傭兵組織ワグネルとの間に関連性を指摘してきた。ブリンケン国務長官は月曜日、ワグネルがスーダンの戦争を悪化させる危険性があるとして「深い懸念」を表明している。

スーダンでは2019年4月に、民主化への期待を高めた市民の大規模な抗議行動を受け、軍がバシール政権を倒している。

双方の司令官は2021年のクーデターで権力を掌握したが、その後、RSFの正規軍への統合計画をめぐって対立していた。

AFP

topics
特に人気
オススメ

return to top