
イスタンブール:日産のカルロス・ゴーン元会長が12月に、日本からイスタンブール経由でレバノンへの大胆な逃亡劇を演じた事件で、イスタンブールの裁判所は7月3日に公判開始後、容疑者5人の釈放を命じた、と地元のマスコミが報じた。
ゴーン容疑者は本人が否定しているが、会計上の不正行為とされる複数の犯罪で起訴されており、弁護士に自分のパスポートを3通預けていたにもかかわらず、何とか日本から抜け出した。
ゴーン容疑者は日本からイスタンブールの空港に到着し、そこから、逃亡以来今も暮らしているレバノンまで飛び、どちらもプライベートジェットで移動したと考えられている。
トルコ公式通信社、アナドル通信社によると、航空会社従業員のオカン・キョセメン容疑者と4人のパイロットは「移住者の不法密輸」の罪で起訴されていて、最高で懲役8年の刑を受ける恐れがあるという。
彼らは1月に逮捕されたが、7月3日に公判の終了を待つ間、裁判官により釈放された、とトルコ民営のデミルオレン通信(DHA)が報じた。
この容疑者たちは、海外旅行を禁じられた。
2人のキャビンアテンダントもまた、犯罪を報告しなかったことで起訴され、1年の懲役を求刑されているが、釈放されて裁判を待っている、とアナドル通信社は報じていた。
パイロットとフライトアテンダントは、嫌疑を否認している。
起訴状によると、ゴーン容疑者は70カ所の空気穴が付いた、「発泡スチロール加工された」大きな楽器ケースの中に入って、こっそり逃亡した、とDHAは報じていた。
トルコのマイケル・テイラー検察官によると、アメリカ陸軍特殊部隊の元隊員とレバノン国籍のジョージ-アントワーヌ・ザイェクは、ゴーン容疑者がイスタンブールを通過できるように、トルコの民間航空会社、MNGジェット従業員を誘った。
告訴状によると、ゴーン容疑者逃走劇の数カ月後、このMNG従業員の銀行口座には、数度にわたり振り込みがされており、総額は250,000ユーロ以上になっていたという。
しかし、事情聴取の後、オカン・キョセメン容疑者はゴーン容疑者逃亡ほう助のために、支払いを受けたことを否定した。その一方で、パイロットとフライトアテンダントは、どちらのプライベートジェットにも、ゴーン容疑者が乗っていることを知らなかったと供述していた。
ニコラス・メザロスと呼ばれる男が、Signalというコミュニケーションアプリを通じて知らせてきたので、ゴーン容疑者が搭乗していることを知るようになった、とキョセメン容疑者は法廷で述べた、とアナドル通信社は報じていた。
アナドル通信社では、キョセメン容疑者の妻の仕事先や、子供の通学先を知っている、と電話でメザロスに仄めかされた後、「この状況が心底怖くなりました」と、キョセメン容疑者が述べたと伝えられていた。
MNGは1月に、自社航空機が不法に使用されたとして提訴し、ゴーン容疑者を乗客リストから抹消するため、乗員乗客名簿の改ざんしたことを、どうやらある従業員が認めたらしいことも、このとき述べていた。
2018年に逮捕される前、ほぼ20年間日産を率いてきたゴーン容疑者は、日本から逃亡したとき、保釈中の身で公判を待っていた。
ゴーン容疑者の逃亡は、日本にとってかなり厄介であることが明らかになった。日本はこの日産の元会長の引き渡しを求めている。
レバノンは日本と犯罪者引渡条約を結んでいないので、今までのところゴーン容疑者の東京への送還要求に抗っている。
日産は2月、所謂「長年に及ぶ不正行為と詐欺的行為」に対して、ゴーン容疑者から約100億円(9,000万ドル)を回収するための民事訴訟を起こした。
AFP通信