
エルサレム:6月2日(水)、イスラエル国会は次期大統領を選出する。その大統領は置物同然の存在だが、イスラエルの倫理基準として国の統一推進に尽くすことが期待されている。
選挙はイスラエルの国会クネセトで実施され、120名の国会議員が匿名で投票する。
2名の大統領候補が立候補している:ベテランの政治家で著名なシオニスト一族の御曹司、イサク・ヘルゾグ氏と、親しみやすい門外漢とみなされている教育者のミリアム・ペレツ氏だ。
ヘルゾグ氏(60)はイスラエルの労働党の元党首で、2013年の国会議会でベンヤミン・ネタニヤフ首相に敗れている。
彼は著名なシオニスト一族の御曹司だ。彼の父親チャイム・ヘルゾグ氏は、イスラエルの大統領に当選する前は国連大使を務めていた。彼の叔父アッバ・エバン氏はイスラエル初の外務大臣で、国連および米国大使を歴任した。彼の祖父はイスラエル初の首席ラビだった。
ヘルゾグ氏は国会議員を辞職して以来過去3年間、政府と緊密に提携してイスラエルへの移民を推進するユダヤ機関の最高責任者をつとめた。彼の政治勢力との深い結びつきを考えると、彼が広範に当選を望まれているらしい。
ペレツ氏(67)はより保守的な国粋主義の候補者と考えられている。
彼女は子供のころにモロッコから移住し、教師、教育者、およびユダヤ主義とシオニズムと嘆きに関する講演者として活動してきた。彼女の二人の息子はイスラエル軍にて戦死している。2018年に彼女はその生涯の功績を認められ、イスラエル最高の栄誉であるイスラエル賞を受賞した。
ペレツ氏が当選すれば、初の女性移民の大統領ということになる。彼女とその家族は、1979年にエジプトとの和平条約が締結され領土が復帰するまで、シナイ半島の居留地の一つに住んでいた。その後ペレツ氏はエルサレムの北にあるヨルダン川西岸地区の居留地Givat Zeev へ引っ越した。彼女は現在エルサレムに在住する。
世の中の大半が、イスラエルのヨルダン川西岸地区は国際法上違法の存在であり、パレスチナとの和平の障害となっているとみなしており、パレスチナはヨルダン川西岸地区を未来の国家の一部とすることを求めている。
大統領に当選するには、候補者は120議席のクネセトで61票以上得票する必要がある。もしも両候補者とも61票に満たなければ、投票の第2ラウンドが行われる。当選すると、イスラエルの第11代大統領は7月9日から7年間の任期を開始する。
当選者はルーベン・リブリン現大統領の後継者となる。リブリン大統領は来月大統領職を辞し、政治的に極めて重大なこの時期に新たな大統領が就任することに なる。
大統領はほぼ形式的な一国の長である一方、国会選挙後に連立政権を結成するための党首を選出する仕事を任される。
イスラエルは長引く政治危機の渦中で過去2年間に4度の全国選挙を行っている。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相の反対派は、6月2日(水)の深夜12時までに新連立政権を発足させるという期限を目前に控えている。彼らがそれに失敗すれば、国はまたもや選挙戦に突入することになる。
大統領は恩赦を与える権限ももっており、ネタニヤフ首相が一連の不正疑惑で裁判を受けるに当たり、微妙な状況が生まれている。
AP