
ダウド・クッタブ
アンマン:行政拘禁により、確たる容疑もなくイスラエルの刑務所に収監されている数百名ものパレスチナ人たちが、手続きの一環である法廷審問のボイコットを開始した。
行政拘禁命令の法的効力は最長6か月だが、更新される場合が多く、囚人たちは事実上無期限に拘留されている。
行政拘禁により起訴も裁判もなく投獄されている、5児の父ヒシャム・アブ・ハワシュ氏がハンガーストライキを開始して138日目に突入した後、ボイコットが開始された。ハワシュ氏の家族や友人は「命や健康が危険にさらされている」と述べ「本人が死んだら全面的責任を負うのはイスラエル占領軍だ」という。
囚人たちのリーダー格が構成する委員会が発表した声明によると、1月1日からイスラエル裁判所のボイコットを開始することで合意したという。
2年前から夫のオベイ・アブーディ氏を勾留されているハインド・シュレイダさんが、父親なしで3人の子供を育てる苦悩についてアラブニュースに語ってくれた。
「行政拘禁とは、法や正義を無視した制度です。自分の家族・生命・子供たち・仕事が、行政拘禁命令書に署名するイスラエル軍司令官の気分に左右されるのです」と彼女は語った。
シュレイダさんはボイコットを支持しており「残された唯一の選択肢です」という。
こう付け加えた「囚人たちがハンガーストライキしても、何も変わりませんでした。囚人やその家族には他に選択肢がありません。裁判所がどう判断するかは分かり切っていますので。イスラエルが民主主義国家という建前を取り繕うのに、手を貸す理由などありません」
ラミ・ファダイエル氏も恣意的に勾留されている1人だ。息子は7回も行政拘禁を受けた、と母親のムナ・ファダイエルさんがアラブニュースに語った。
「しかし前回身柄を拘束した際に、当局は息子の起訴を決定しました。医療救援委員会で領収書を見つけると、息子の印刷機を押収しました。当局は証拠もないのに、テロを支援した容疑で息子を起訴したのです」とファダイエルさんは語った。
さらに、証拠が「お粗末極まりない」ためイスラエル側が息子を有罪にできる可能性はゼロに等しいが、行政拘禁を利用して勾留を継続するのは間違いないと語った。
「息子は42歳で、14歳になる孫娘は刑務所の外にいる父親の姿を滅多に見ない状態が続いています。イスラエルはパレスチナ人に対し行政拘禁命令を連発しています」とアラブニュースに語った。
ファダイエルさんは「ボイコットが功を奏するのを祈っている」が、これまでのパレスチナ人による抵抗が失敗続きのため、期待はしていないという。「案としては良いです。過去にうまく行った例はありませんが。パレスチナ人は皆いら立っており、国際社会から見捨てられていると感じています」
クネセト(イスラエルの国会に相当)のアラブ系議員サミ・アブ・シェハデ氏はアラブニュースに、所属政党アラブリスト連合は行政拘禁が「イスラエルによるパレスチナ人の拉致でしかない」と確信していると語った。
シェハデ議員はこう述べた。「明確な容疑に基づいた逮捕や起訴をせず、イスラエル政府は法的根拠なしにパレスチナ人を勾留しています。イスラエルは、第二次世界大戦中に有事法制を制定したイギリス委任統治領パレスチナからこの制度を継承しています。
「第二次世界大戦が終わってから長い年月が過ぎたにもかかわらず、イスラエル政府は未だにパレスチナ人に対しこうした有事法制を適用しているのです」
シェハデ議員は、行政拘禁とは「イスラエルがパレスチナ人に対する抑圧を強化するために利用している不道徳で違法な犯罪行為であり、民主主義を標榜するすべての国家がこの件に関し沈黙しています」と付け加えた。
パレスチナの人権団体「アル・ハック」のシャーワン・ジャバリン理事長はアラブニュースに対し、イスラエル政府が執行手続きを捻じ曲げてしまったと語った。以前は「きわめてまれな事例」に限定されていたものを「罰・政治的武器・パレスチナ人の生活に対し政治的に介入する手段」として利用しているという。