



ラバト: アントニー・ブリンケン米国国務長官は火曜日にモロッコを訪問し、地域の安全保障について議論するとともに、アブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン皇太子と会談した。
今回の訪問に影を落とすのはロシアのウクライナ侵攻だ。プーチン政権への制裁によって小麦や燃料の価格が急激に高騰し、輸入に頼る北アフリカ諸国には深刻な打撃となっている。
ブリンケン国務長官はラバトでの記者会見で、米国は供給不足が引き起こしている「災害」について認識していると述べた。
「我々にできる具体的な手段を検討しているところだ…特に最も弱い立場に置かれている人々への影響を軽減するために」と、ブリンケン国務長官は語った。
また、「ロシアの侵略に抗議するようパートナーに促している」と述べ、トルコで開催されたウクライナとの協議でのロシアの「本気度」を疑っていると語った。
ブリンケン国務長官は、月曜日遅くにイスラエルからラバトに飛んだ。イスラエルではUAE、モロッコ、バーレーン、エジプトの外交官と会談し、アラブ諸国とユダヤ国家の関係に極めて大きな変化が起こりつつあることを強調した。
火曜日にはモロッコのナセール・ボウリタ外相と会談し、西サハラ紛争や安全保障協力などについて話し合った。
翌日に控えたモロッコのライバル国であるアルジェリアとの会談でも同じ議題が大きく取り上げられることになりそうだ。両国の関係は数ヶ月にわたって悪化し続けている。
ブリンケン国務長官は、また、火曜日の夜にモロッコの首長公邸でムハンマド・ビン・ザーイド皇太子と会談した。
ブリンケン国務長官は「我々の国のパートナーシップは非常に重要だ」と強調した。
「同時に、我々は地域内外において共に立ち向かわなくてはならない真の課題を抱えている」とブリンケン国務長官は語り、その一つとして、イエメンのフーシ派による「UAEとサウジアラビアへのテロ攻撃」を挙げた。
今回の会談は、イランの支援を受けたフーシ派によるUAEとサウジアラビアのインフラに対する国境を越えたミサイル攻撃とドローン攻撃がエスカレートする中で行われた。
「我々はあなた方が効果的にフーシ派の攻撃を自衛できるようにできる限りのことをする決意だ」と、ブリンケン国務長官は付け足した。
ブリンケン国務長官は、ウクライナ戦争や2015年の画期的なイラン核合意を回復するための努力についても皇太子と話し合う予定だと述べた。核合意は、制裁緩和と引き換えにイスラム共和国の核開発を制限することを目的としている。
ドナルド・トランプ米国前大統領は2018年にこの多国間協定から一方的に手を引き、厳しい制裁を再び課した。これに挑発されたイランは核開発を再開したが、合意の復活を目指し、ウィーンで数ヶ月間の交渉が行われてきている。
ブリンケン国務長官は、西サハラの現状についてもモロッコの外相と協議した。西サハラはスペインの旧植民地で、リン鉱石が豊富で、広大な大西洋岸には豊かな漁場がある。
モロッコはその80%を支配しており、そこには西アフリカに向かう重要な高速道路も含まれる。モーリタニアとアルジェリアに接する残りの砂漠地帯は、独立運動「ポリサリオ戦線」が牛耳っている。
トランプ前大統領は2020年に数十年にわたる米国の政策を翻し、この地域をモロッコの主権下にある領土と定めた。ラバトがイスラエルとの関係再構築に合意した後のことだ。
ジョー・バイデン大統領政権は、この動きに対してどのようにフォローしていくかについては口を閉ざしたままだ。ポリサリオが1991年の停戦を無効と宣言し、長く凍結していた紛争が再燃する恐れが出てきたわずか数週間後の出来事だった。
ボウリタ外相は火曜日、欧州諸国に対し、スペインに続いてモロッコ主権下での西サハラ地域の自治計画を支持するよう求めた。
「我々は欧州諸国がコンフォートゾーンから抜け出す時がきたと考えている。プロセスを支持することは、解決策を支持することを意味しない」と、ボウリタ外相は語った。
「モロッコの主権による自治計画の中に解決策があるはずだというコンセンサスがある」
ブリンケン国務長官は、米国政府は引き続きモロッコの西サハラ自治計画を「真剣で信頼性が高く現実的」だと考えていると述べた。
ブリンケン国務長官のラバト訪問は、多くの国がプーチン大統領政権批判に消極的な同地域からのウクライナへの支持が強まることを米国が期待しているタイミングでもあった。
モロッコもそのような国のひとつであり、国連でロシアへの非難を表明せず、米国や欧州諸国の苛立ちを誘った。
AFP