
ベイルート:レバノン政府がフランス政府の要請を受けた国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)から日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告に対する「赤手配書」を受け取ったが、政府が同被告を引渡す可能性は低い、と19日に裁判所高官が語った。
先月「ガッサン・ウエダート検事がフランス政府によって発布された国際逮捕令状に基づくインターポールのゴーン被告に対する『赤手配書』を受け取った」と同高官がAFPに対して語った。
匿名を条件に明かした同高官は、同検事が「近日中もしくは来週初めにゴーン被告を召喚・尋問する日時を決定する」と述べたという。
国際逮捕令状ではないインターポールの手配書は世界各国の治安当局に対して引渡し又はその他の法的手段を受ける可能性のある人物の暫定的拘束を要請するものだ。これら手配書をインターポールは参加国の要請を受けて発行する。
ゴーン被告に対する手配書は自国民の引渡しを行わず、またゴーン被告の出国を禁じているレバノン政府にとって判断を迫られるものだ。
前述の裁判所高官によると、ウエダート検事はゴーン被告の即時逮捕令状を発布するか、もしくは同被告の裁判がフランスからレバノンに移行されることを待つ、という選択肢を持つという。
フランス政府が同被告を告訴する犯罪が「レバノンの法律において処罰されるべきものであると判断された場合、同被告はレバノンの裁判所で罪を問われる可能性がある」と同高官は述べ、引渡しの可能性が低いことを付け加えた。
「出生地がレバノンであるゴーン被告のフランスへの引渡しは法律に妨げられるため、レバノン政府がこれに応じることはない」と同高官は語った。
フランス政府は先月、ルノーと日産の企業連合とオマーンの自動車販売代理店スハイル・バハワン自動車で交わされた約1,500万ユーロ(1,630万米ドル)の金銭授受を巡る疑惑についてゴーン被告に対する逮捕令状を発布した。
ゴーン被告(68)に対する嫌疑には企業資金の不正流用、マネーロンダリングおよび贈収賄が含まれる。
フランス・レバノン・ブラジル各国の旅券を所持するゴーン被告は本来2018年に拘束され日本で罪に問われて法廷に立つ予定であったが、保釈中に行方をくらましレバノンに逃亡していた。
AFP