
ナジア・フーサリ
【ベイルート】政治危機・経済危機解決のためのあらゆる手立ては13日、尽きた感がある。
週明けから、最大許容額の預金引き下ろしを待つために各銀行前には長蛇の列ができた。
引き出し許容額は毎週下がっており、いまでは100ドルになっている。さらに、レバノンポンドは闇市でのドル相場が2,450ポンド以上に達し、公式レートでも1,517ポンド程度となっている。
金融危機のあおりを受けて家庭用ガスの供給が間もなくカットされる、との噂が流れたため、なしではすまされない燃料確保のためスタンドには行列ができた。
人々の間ではネット接続も遮断されるのではないかとの懸念が広がっている。レバノン国家が接続料を支払えなくなるためだ。
新たな徴候としては、レバノン国民の間に銀行に資金を預けないようにする動きがある、と保険会社の某幹部は述べる。「銀行の貸金庫への需要が伸びており、年間賃貸料は175ドルに増大しています。危機を見越して資金を銀行から引き上げた人たちは、自宅保管では泥棒のおそれがあるため、銀行内の貸金庫に再度預けられないかと尋ねているのです」
街頭デモはここ3週間ほど収束していたが、政治危機への対応の混乱ぶりを見てまたぞろ復活しはじめている。
先週末にかけて、デモ活動家の団体がレストラン・カフェ・店舗などから政治家らを追い出している。暫定政権のブーサアブ国防相や、ユーセフ・ファニアノス公共事業相、未来運動のサーミー・ファトファト議員らだ。
同国北部トリポリ市のラシード・カラーミー国際展示場の中庭にはテントが設営された。設置したデモ団体はみずからを「レバノンの贈り物」と名乗り、35人の女性や子供に住まいをあてがうためだ、としている。
「生活状況が困窮している彼らは家賃が払えないため、雨露をしのげないでいるのだ」と同団体は言う。
暫定政権のカミール・アブースレイマン労働相は語る。「破産を宣言する企業が増え、国民は失業している。財政赤字は巨額となり、歳入が萎縮しているためこの傾向には拍車がかかっている。銀行を守り預金者がむやみと資金を引き出すことを防ぐため、資本規制の法文化が必須だ」
同労働相は、レバノンは公的債務を現在のGDP比150%から75%程度まで落とす必要がある、としている。
輪をかけて、次期首相に指名されたハッサン・ディアブ氏の新政権組閣も見込みが薄れている。同氏の支持者らが同氏を見放しつつあるからだ。ナビーフ・ビッリー国民議会議長はプレスシンジケート評議員団に対し次のように語る。「ディアブ氏は、連立4党派からの支持を受けているにもかかわらず、政府与党から閣僚を指名することを拒否している」
ビッリー議長の見るところはこうだ。「ディアブ氏は自分には有利だが誰からも求められていない条件を設けて組閣プロセスを困難にしている。私は彼を支持したいが、私が政権入りするかと言えばそれは別の話だ」
「ディアブ氏はなお、テクノクラート政権樹立にこだわっている。彼は自分の使命だと言って折れようとしないが、法律上、彼を指名した議員らによる措置を撤回することもできないのだ」