パリ：クルド人は、少なくとも2500万、多ければ3500万人いる非アラブ民族だ。独立した祖国を持つという彼らの夢は、20世紀を通じて容赦なく打ち砕かれた。

トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、今月イスタンブールで起きた、死者が出た爆破事件はクルド人武装勢力の犯行だと非難したが、クルド人武装勢力はその非難を強く否定している。

報復としてトルコは、ここ数日行っている空爆作戦の一環として、イラクとシリアでクルド人勢力の標的500カ所近くを攻撃した。フルシ・アカル国防相が23日、明らかにした。

一方、イランでは、西部のクルド人居住地域が、2カ月前に風紀警察に逮捕された若いクルド人女性マフサ・アミニさんの死をめぐる民衆蜂起の最前線になっている。

イラン治安部隊は、クルド人居住地域の取り締まりと、イラク北部に拠点を置くクルド人反政府勢力への越境攻撃で対抗している。

クルド人は主に、トルコ南東部、シリア北部、イラク北部、イラン中部にまたがる山岳地帯に居住している。

第一次世界大戦でオスマン帝国が崩壊すると、戦後に締結されたセーブル条約でクルド人国家樹立への道が開かれた。しかし、ムスタファ・ケマル・アタチュルク陸軍大将を中心とするトルコの民族主義者たちは、この条約の厳しい条項に反対し、新たな戦争を始めた。

その結果、1923年に新たな条約、ローザンヌ条約が締結された。この条約によって現在のトルコの国境が画定され、国際的な支援の下、独立したクルド人国家の樹立に向けて実質的に境界線が引かれた。クルド労働者党（PKK）は、1984年にクルド人が多いトルコ南東部に独立国家を樹立するために武力闘争を開始したが、その後要求を和らげ、クルド人の自治権の拡大を求めている。

非合法組織であるPKKとトルコ政府の紛争で、数万人の命が奪われてきた。PKKの創設者であるアブドゥラ・オカラン氏は1999年から服役している。シリアでは、クルド人は歴代の政権によって数十年間抑圧されてきた。

2011年にシリア内戦が勃発すると、クルド人はその混乱に乗じて、シリア北部のトルコとの国境沿いにクルド人自治区ロジャバを設立した。トルコはその後、3回にわたってシリアのクルド人勢力を標的にして越境攻撃を行った。越境攻撃は2016年、2018年、2019年に実施された。

1979年にクルド人の蜂起が厳しく弾圧されたイランでは、当局はクルド人組織が「暴動」を扇動していると非難している。「暴動」とは、アミニさんが9月に死亡したことによって火が付いた大規模抗議デモを指す言葉だ。

アミニさんは、イラン北西部にある、イラク国境に近い、クルド人が多く住む町サッケズの出身だった。

マハバード、ジャバーンルード、ピランシャールといった、クルド人が多く住むいくつかの町では、アミニさんの死とデモ参加者の殺害をめぐって大規模抗議デモが起きている。弾圧で数十人が死亡している。イランはまた、国外追放されイラクに拠点を置くクルド人反政府勢力に対し、ミサイルやドローンを使った越境攻撃を繰り返している。

イラクでは、クルド人はスンニ派アラブ人が支配するサダム・フセイン政権下で迫害を受けたが、1991年の湾岸戦争でイラクが敗北した後、蜂起した。クルド人は北部で事実上の自治を確立した。自治は、2005年に制定されたイラク憲法によって正式なものになった。

2017年、イラクのクルド人の圧倒的多数は、拘束力のない住民投票で独立に賛成票を投じた。

イラク政府は激怒し、報復としてクルド人が所有する土地を押収した。クルド人自治区の財政の柱である油田も押収された。

AFP