
テヘラン:イランの最高位聖職者の1人、ナセル・マカーレム氏が、暴力的手段で女性にスカーフ着用を強制することに反対の声を上げた。
昨年9月16日に22歳のクルド系女性マフサ・アミニ氏がイランの女性向け服装規定に違反したとして逮捕された後に亡くなって以来、イラン全土で大規模な抗議活動が続いている。
抗議デモでは治安部隊員数十名を含む数百人の死者と、数千人の逮捕者が出ているが、イラン当局はこれらデモを「暴動」と位置付けている。
著名な聖職者であるマカーレム氏は「ヒジャブ問題について暴力と圧力が効果的手法だとは思わない」と発言した。
ニュース局IRNAはマカーレム氏の発言として次のように伝えた。「大統領と閣僚は状況の困難さを認識すべきだ。確かに敵の活動は活発だが、すべての手段が閉ざされている訳ではない」
「ヒジャブ問題は目下政治問題と結び付けられており、ヒジャブを廃止すれば政権は弱体化すると言う者もいる」ともマカーレム氏は述べた。
イランのエザトッラー・ザルガミ文化遺産観光相も先に、頭部を覆うスカーフ着用の義務を守らない女性へのさらなる寛容を呼びかけていた。
もっとも今月、イランの検事総長は警察に「ヒジャブ着用義務を守らない者に断固たる処罰」を求めている。
イラン政府は、道徳警察による勾留中のアミニ氏の死をめぐって勃発した抗議デモはアメリカやイスラエルなど国外の敵が扇動しているものだという立場を取っている。
マカーレム氏の発言は、ウクライナでの戦争でイランがロシアにドローンを供給していることから、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領がNATOに対し、イランへの制裁を強めるよう要請する中で行われた。
ヘルツォグ大統領はブリュッセルのNATO本部を訪問した際、次のように述べた。「危機は最早ウクライナ国内にとどまるものではありません。イランの脅威は、ヨーロッパの玄関口に迫っているのです。
これは遠く離れた場所の戦争だという幻想は、破綻しつつあります。NATOはイラン政府に対し、経済的、法的、政治的制裁と確実な軍事的抑止を用いて、可能な限りもっとも強硬な方策を取らなければなりません」
イスラエルでは大統領は名誉職に近いが、ヘルツォグ氏は1月26日の訪問により、NATO本部でブリーフィングを行った初のイスラエル大統領となった。
「恐ろしい戦争が必要もなく人々を苦しめ、数百万人の幸福と福祉を奪っています」とヘルツォグ氏は述べた。
「我々の心は引き続き、故郷と国を防衛するウクライナの人々とともにあります」と氏は続けた。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、「NATOのウクライナ支援」についてヘルツォグ氏と協議したと述べた。
「ウクライナの人々は勇敢に自国の防衛を続けています。NATO加盟国とパートナー国は、ウクライナの自衛権行使を支援しています」
ストルテンベルグ氏は、ヘルツォグ大統領の訪問はアメリカ主導のNATOがイスラエルとの「関係を深めている」証だとも述べた。
ヘルツォグ氏はサイバーセキュリティ、宇宙からの脅威、ドローン、柔軟なエネルギー政策等の問題に関して協力を強化する必要性を指摘した。
ヘルツォグ氏によると、イスラエルとNATOは新たな協力合意を「数か月以内に」結ぶ予定であり、「これによって協力の期間が延長され、その規模が拡大する」という。
AFP