
ドバイ:過激なユダヤ人入植者が襲撃して火を放ったパレスチナの村を巡り、アラブ首長国連邦(UAE)は16日、イスラエルとの対立が不可避となった。
UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領は、占領下にあるヨルダン川西岸地区の村フワラの再建に300万ドルの拠出を約束した。数日前には、イスラエルの新しい極右政権の閣僚が「村をせん滅すべき」と発言していた。
過激な入植者の集団が2月26日にフワラを襲撃し、1人のパレスチナ人が死亡したほか、多数の家や車に火が放たれた。それ以降、入植者は数回に渡ってこの村を襲撃しようとしている。
26日の襲撃後、イスラエルのベザレル・スモトリッチ財務相は「フワラをせん滅する必要がある」と述べた。財務相は西岸地区の民政を担当する大臣でもあり、事実上、同地区のイスラエル側の「統治者」となっている。
スモトリッチ氏は憎悪犯罪を煽っている頑迷な宗教家として有名で、自身も違法入植地に住んでいる。発言は米国や英国だけでなく、アラブ世界全体やイスラエル国内でも非難された。
UAEはこの度、「パレスチナのフワラ村の再建や最近の出来事の影響を受けた人々を支援するために300万ドルを提供する」という行動を起こした、と同国の当局は述べている。支援は「兄弟関係にあるパレスチナ人を支援するUAEの人道活動」を反映したものだという。
アンワル・ガルガッシュ大統領上級顧問は、300万ドルの確約は「UAEがパレスチナの人々を一貫して、また断固として支援することを紛れもなく表明」したものだと述べた。
UAEは、イスラエルとの関係正常化をうたった2020年の歴史的な「アブラハム合意」の当事国だ。しかし、昨年12月にイスラエル史上最も右寄りの政権が誕生して以来、両国は緊張関係にある。今年はイスラエルの暴力行為でパレスチナの成人と子供、合わせて81人が死亡している。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する動きは国内でも広がっている。16日は、司法改革案に反対するデモ隊が街中に繰り出した。首相はイツハク・ヘルツォグ大統領が出した妥協案を拒否したが、専門家は首相が司法制度を変えることで権力を掌握しようとしていると指摘している。
制度が変更されれば、政治家は最高裁判所の判事を指名する権限や裁判所の判決を覆す力を手にする。それは「民主主義の終焉」を意味する―― 16日のテルアビブの抗議活動では、そう訴えるプラカードもあった。
「イスラエルが宗教国家になってしまうのではないかと懸念しています。ユダヤ法が最優先され、今ある民主的な自由がなくなるかもしれません」。テルアビブ大学の研究員で、デモに参加したリアット・ツヴィ氏はそう語った。
ヘルツォグ大統領は、司法改革によって暴力的な対立が生まれると述べている。「人命に関わる真の内戦には決してならないと考えている人々は、彼が何を話しているか理解できないだろう」