
国連:22日の国連安全保障理事会で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる極右政権の将来の意図を巡ってパレスチナとイスラエルが衝突した。パレスチナの国連大使は、イスラエルの大臣の発言が「これから起ころうとしていることを正当化するために、我々の存在を否定している」と指摘した。
イスラエルの国連大使は、その大臣は謝罪したと反論し、パレスチナ指導部が定期的にテロを扇動し、ユダヤ人の歴史を抹消していると非難した。
中東問題に関する理事会の月次会合は毎回激しい対立が見られるが、今回はイスラエルの新連立政権の発言や行動のためにいっそうとげとげしいものになった。
同政権は、司法の全面的な改革計画に対する執拗な抗議活動に直面するとともに、イスラエル軍がガザ地区から撤退すると同時に、占領下のヨルダン川西岸地区にある4つのユダヤ人入植地を解体した2005年の法律を21日に議会が廃止したことに対する強い批判に直面している。
安全保障理事会でパレスチナのリヤド・マンスール大使は、扇動者であるイスラエルのベザレル・スモトリッチ財務大臣がパレスチナ人など「存在しない」と主張した発言は、「机上演習」の一環ではなく、パレスチナ人が独立国家の一部になるべきだと主張する領土のイスラエルによる違法な併合が「さらなる展開を迎えようとしている」ためになされたと述べた。
すべてのイスラエル当局者がパレスチナ人の存在を否定するに至ったわけではないが、一部の者はパレスチナ人の権利、人間性、土地とのつながりを否定している、とマンスール氏は述べた。
昨年はヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の死者数が最も多くなった年であり、この3カ月は「さらにひどかった」と同氏は指摘した。AP通信の集計では、今年に入ってから、イスラエル側の発砲によりパレスチナ人85人が死亡し、パレスチナ人による攻撃でイスラエル人15人が死亡した。
しかし、イスラム教の聖なる月ラマダンが始まり、ユダヤ教の祝祭日である過越の祭りとキリスト教の復活祭が近づいていることから、マンスール氏は、パレスチナは「非理性的なほどに理性的」であることを決意し、流血の事態を防ぐために全力を尽くすと述べた。
パレスチナ大使は安全保障理事会と国際社会に対し、「併合、我が国民に対する暴力、挑発行為を止めさせるために」あらゆる努力を結集するよう促した。「遭遇したすべてのものを食い尽くす火炎を防止するために、動員できるあらゆる手段を駆使して」今すぐ行動することがすべての人の義務だ、と同氏は述べた。
イスラエルのギラド・エルダン国連大使は、自国を「疑いなく中東で最も活気あふれる自由民主主義国家」と呼び、パレスチナが嘘を繰り返し、無辜のイスラエル人を殺傷したテロリストを賞賛し、数十年続く紛争の解決につながらない「虚言を繰り返している」と非難した。
「パレスチナ代表には、このように言いたい。『恥を知れ。恥を知れ』と。あなた方の大統領やそれ以外のパレスチナ指導部が定期的に、テロを扇動し、イスラエルの民間人の殺害を決して非難せず、パレスチナのテロリストを賞賛し、ユダヤ人の歴史を抹消して事実と真実を書き換えようと積極的に試みる一方で、謝罪し、意図を明らかにしたイスラエルの大臣の発言をあえて非難するのは、あまりに図々しい」
エルダン氏は、イスラエルが2月にヨルダンで、19日には紅海沿岸のエジプトのリゾート地シャルム・エル・シェイクでパレスチナ当局者と会談し、現在の緊張を緩和するための重要な措置を講じている一方で、パレスチナは「さらなる暴力を助長することを固く決意している」と非難した。
その後の共同声明で、双方はデリケートなホリデー シーズンに先立ち、緊張緩和のための措置を講じることを約束した。これには、イスラエルによる入植活動の一部凍結や、「暴力の抑制と対抗」のための協力への合意が含まれる。
パレスチナは、ヨルダン川西岸地区とガザ地区を独立国家とし、東エルサレムを首都とすることを目指している。1967年の中東戦争でイスラエルはこれらの領土を占領した。
それ以来、70万人以上のイスラエル人がヨルダン川西岸地区と東エルサレムにある数十のユダヤ人入植地に移住した。世界の大半はこれが違法であり、平和の障害になるとみなしている。
だが、ネタニヤフ政権は入植地の拡大を最優先課題とし、すでに数千戸の新たな入植地住宅の建設を推し進め、ヨルダン川西岸地区にある9つの非合法入植地にはさかのぼって承認を与えた。
ヨルダン川西岸地区の4つの入植地に関する2005年の法律が19日の合意後に廃止され、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人が銃撃事件を起こしてイスラエル人2人を負傷させたことは、共同声明の実施の難しさを浮き彫りにしている。
イスラエルの最も近しい同盟国である米国は、駐米イスラエル大使を呼び出して同法の廃止を批判し、他の国々も批判的である。
ネタニヤフ氏は22日、政権は放棄された4つの入植地に戻るつもりはないと発言し、後退したように見えた。
エルダン大使もこの発言を繰り返し、「イスラエル国はその地に新たなコミュニティを建設する意図はない」と述べつつも、新法は「歴史的な過ちを正す」もので、イスラエル人が「我が遺産の発祥の地」である地域に入れるようにするものであると述べた。
AP