• イスラエル軍から車を調べられるため、パレスチナ人は数時間の遅れを被る
• 29日には、ラマッラーの東にあるデイル・ジャリール村に住むパレスチナ人の兄弟2人が入植者らに殴打され車を盗まれた

モハメッド・ナジブ

ラマッラー：29日、イスラエル治安部隊によるエリコ包囲が8日目に入った。同市の各入口に設置された検問所を通して締め付けが強化されている。

同様の検問所はヨルダン川西岸地区各地に見られる。これらの検問所ではイスラエル軍から車を調べられるため、パレスチナ人は数時間の遅れを被ることになる。

パレスチナ人は、これらの検査は一種の屈辱であり、治安維持のためというよりはパレスチナ人が反イスラエルデモを組織するのを阻止したいという意図に関係したものだと見ている。

このような厳しい措置が取られる中、過激なイスラエル人入植者がパレスチナ人に対して連日行っている残虐行為はとどまるところを知らず、イスラエル軍や警察からの介入もない。

29日には、ラマッラーの東にあるデイル・ジャリール村に住むパレスチナ人の兄弟2人が入植者らに殴打され車を盗まれた。

同村評議会の代表を務めるファティ・ハムダン氏によると、バジル・アブ・ハルザンさんとワエル・アブ・ハルザンさんの兄弟二人は、アル・シュラファにある自分たちの畑を耕していた時に入植者らから激しく殴打された。入植者らはその後、兄弟の車を盗んでその場を去った。

入植者らは空中に発砲して居合わせた人々を脅したという。ハムダン氏は、この攻撃はパレスチナ人の土地を奪いそれを自分たちの家畜の牧草地にするための入植者らの行動の一環だと強調した。

28日にも、ラマッラーの東にあるシルワド村に住む兄弟3人がデイル・ジャリール村で仕事をしていた時に数人の入植者に暴行されたうえ、調査用の機器を盗まれ私物の車を破壊された。

イスラエル軍は29日、シルワド村に住む若い男の車を押収し、自宅を急襲してその男を逮捕した。

ヨルダン川西岸地区の各都市をヨルダン渓谷中央部・南部・北部と結ぶハムラ検問所では、イスラエル軍が22日連続で軍事的措置を取った。

パレスチナ情報筋によると、同検問所のイスラエル兵らがパレスチナ人の車を止め、車を調べ、車内にいる人のIDを確認したため、彼らの職場への通勤に大幅な遅れが生じた。

イスラエル軍は3週間以上前に、この地域の未舗装の道路を閉鎖した。これらの道路は農家にとって、ヨルダン渓谷にある畑に行くために、また地域外で売る農産物を運ぶために不可欠な通路である。

イスラエル情勢に詳しいパレスチナ人のエスマット・マンスール氏はアラブニュースに対し、最近のヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの軍事的エスカレーションは「驚くべき不当な」ものであり、過去数週間の衝突における一部のパレスチナ人戦闘員らの行動に対する集団的懲罰の一環として行われたものだと語った。

また、ヨルダン川西岸地区におけるパレスチナ人活動家らの逮捕は、イスラエルによるエスカレーションに対するパレスチナ人の反応を弱体化させる目的で行われたと指摘した。

イスラエル軍は29日、ヨルダン渓谷北部のパレスチナ人らに対し、住居テントを撤去すると通告した。

トゥーバース県で入植地問題を担当するモアタズ・ビシャラット氏によると、イスラエル軍はヨルダン渓谷北部のキルベト・アル・デイル村にある住居テント、太陽光発電ユニット、浴室、水槽を撤去するという通告を出した。

同様の背景のもと、ヨルダン川西岸地区南部のヘブロン市は、同市中心部にある入植地の前哨基地を拡大し、その地域のパレスチナ人の土地に建設された他の前哨基地と連結するというイスラエル人の計画の実施を阻止するために、イスラエル最高裁判所に働きかけた。

この計画には旧市街の主要入口にある70棟以上の建物の接収が含まれている。ヘブロン市は、これらの物件は法的契約に基づいてパレスチナ市民が管理・占有しているものであると述べた。

続けて、これらの侵害は「パレスチナ市民、ヘブロン市、法律に対する犯罪」にあたり、「旧市街をユダヤ化し、従来から住むパレスチナ人を追い出す」ことを目的としていると非難した。

ヘブロン市は、旧市街とそのパレスチナのイスラム遺産を守るために法的闘争を続けるとしたうえで、「歴史を改ざんしようとするイスラエル人の試みを全て暴露する」つもりだと強調した。