• ガソリンスタンド、果樹園、セメント工場や多くの車を燃やすイスラエル人入植者の大集団をイスラエル軍と警察が守っていた、と村の関係者は述べた
• ユダヤ人入植地エリ付近の通り沿いのレストランでハマス所属のパレスチナ人が発砲、4人のイスラエル人が殺害されたことで暴動が発生した

アラブニュース

ラマッラー、ヨルダン川西岸地区：　ヨルダン川西岸地区で激化する暴力行為に終止符を打つよう求める声があがる中、イスラエルの極右の国防相は21日、パレスチナ人の抵抗組織に対する措置を厳格化する一環として、彼らの家の取り壊しなどを促進した。

「軍事行動に出る必要がある、建物を取り壊し、標的殺害を行う必要がある」とイタマル・ベングビール氏は21日、議会で演説した。

「対テロに適した措置をとらねば」と、宗教・国家主義連立政権の3つの極右政党の1つを代表するベングビール氏は続けて述べた。

ネタニヤフ政権の他の大臣も21日、ヨルダン川西岸地区一帯にまたがる全面的な軍事行動を求めた。

追加の措置を求める要請に同意しない大臣もいた。「新しい決定を行う必要はない、既存の措置を応用すればいい」とエネルギー大臣で安全保障内閣のメンバーであるイスラエル・カッツ氏はアーミー・ラジオ（Army Radio）に語った。

イスラエル人入植者が前日のハマス所属のパレスチナ人による攻撃に対する報復としてパレスチナ人の町を襲撃、車や建物に火をつけた事件の後、より厳格な措置を求める声は上がった。20日、ユダヤ人入植地エリ付近の通り沿いのレストランでハマス所属のパレスチナ人が発砲し、4人のイスラエル人が殺害された。

攻撃によって1人のパレスチナ人が射殺され、少なくとも1人が重傷を負った、とパレスチナの保健当局は発表した。

他の多くのパレスチナ人の町に住む人々は、イスラエル人の殺害事件が起き、ネタニヤフ政権の大臣がヨルダン川西岸地区一帯にまたがる全体的な軍事行動を求めた後、入植者による襲撃は起きた、と述べた。

ラマッラー近郊アル・ルバン・アル・シャルケヤの村議会のヤクーブ・オウェイス議長は、ガソリンスタンド、果樹園、セメント工場や多くの車を燃やすイスラエル人入植者の大集団をイスラエル軍と警察が守っていた、と述べた。

「今回の襲撃は前例がなく、異常だ」と同氏は述べた。「激しい銃撃があったが、暗いせいで入植者によるものと軍人によるもの区別がつかなかった」

多くの非難

アメリカはイスラエル人入植者による今回の攻撃を非難し、「イスラエル当局は直ちに暴力を停止し、アメリカ人およびパレスチナ人市民を保護、容疑者を起訴する」よう求めた。

イスラエルと外交関係を持つエジプトおよびヨルダンも、ヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人に対する攻撃を非難した。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は「テロ行為を含む」市民に対するあらゆる暴力行為を非難した、とファルハン・ハク国連副報道官は声明で発表した。

「緊張を緩和し、これ以上の悪化を防ぐことが極めて重要だ。イスラエルは占領国として、市民があらゆる暴力行為から保護され、加害者の責任が追及されるよう徹底しなければならない」とハク国連副報道官は述べた。

ネタニヤフ政権がパレスチナ領域での入植者用の住宅建設計画を拡大してから、暴力行為は激化した。

ネタニヤフ首相の事務所は、イスラエルはユダヤ人植民地エリに新しく1000軒の住宅を建設する計画を建てた、と発表し、新しい入植計画を中止する国際社会の声を無視する形となっている。

パレスチナはヨルダン川西岸地区で入植者によって行われる攻撃に繰り返し不満を示しており、この件について国際的な関心も高まっている。

パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は「入植者が平和な市民に対して行っている野蛮な攻撃および彼らの住宅や財産の破壊行為は、イスラエルの『焼いて、殺して』の精神を反映するものだ」と述べた。

また同氏は、入植者がイスラエル軍の保護下で暴動を行えるよう手配することは「破壊の方程式であり、その責任は全員にある」と続けて述べた。

しかし、政治的解決に向けた新しい努力が行われている様子はない。ヨルダン川西岸地区、ガザ地区およびエルサレム東部の領域にパレスチナ人国家を建立することを目的として、アメリカの仲介によってイスラエルとパレスチナの間で行われた和平交渉は、2014年に決裂した。

ネタニヤフ政権にはパレスチナ人国家を排除しようとするメンバーがいる一方、イスラエルに対する武力抵抗を主張するハマスはヨルダン川西岸地区で着実に活動を拡大している。

19日にジェニンでイスラエル軍が実行した、イスラエル人4人の殺害事件の発端となったみられる逮捕作戦では、重武装したパレスチナ武装勢力との数時間にわたる戦闘が繰り広げられた。パレスチナ人は7人が死亡、90人以上が負傷し、イスラエル人は7人が負傷した。

今年に入ってから、174人のパレスチナ人（多くは武装勢力だが数人の市民を含む）がイスラエル軍に殺害された。一方、24人のイスラエル人および1人の外国人が、ヨルダン川西岸地区、エルサレムおよびイスラエルの町で発生したパレスチナ人による攻撃で殺害された。

（ロイターと共同）