
ベイルート:シリアのクルド人主導当局は1日、アラブ系武装組織の指導者逮捕で死者を出す衝突が起きた数日後、東部のデリゾール県に外出禁止令を出した。
クルド人主導のシリア民主軍(SDF)は27日、クルド軍傘下の地元アラブ武装組織のデリゾール軍事評議会の長官を逮捕した。これにより、数十人が死亡する衝突が引き起こされた。
SDFは声明で「デリゾール軍事評議会と国内治安部隊は、9月2日午前5時(グリニッジ標準時午前2時)から48時間の外出禁止令を発表した」と述べた。
声明によると、シリアの政府治安機関傘下の武装集団や、ダーイシュグループが 「地域内で内乱を引き起こし、民間人を彼らの汚い計画に誘い込む」ことを試みていたという。
シリア人権戦争監視団のラミ・アブデル・ラーマン代表はAFPに、イランの支援を受けるアラブ人戦闘員らが衝突に乗じて、政府支配地域の一部からクルド人支配下の2つの村に渡ったと語った。
イランの支援を受ける戦闘員らは、地元のクルド人主導勢力と衝突し、彼らの指導者はアラブ部族にクルド人当局に反旗を翻すよう促す動画を公開した。
米国はこれに先立ち、1日に、「すべての当事者が事態の緊張を緩和し、平和的に解決するよう」呼びかけた。
ダーイシュ残党との戦いを支援する米軍の「生来の決意作戦」は「シリア北東部での暴力行為は止めなければならない」と述べた。
31日遅くに発表された声明で、「生来の決意作戦」は「シリア北東部をダーイシュの脅威から解放し、平和と安定」をもたらす取り組みに改めて焦点を当てるよう促した。
「我々は、地域の安全と安定を支援しつつ、ダーイシュの永続的な敗北を確実にするために、SDFと協力することに引き続き注力する。この重要な仕事から注意をそらすことは不安定さを生み、ダーイシュ復活のリスクを高める」
米国の支援を受けるSDFは、2019年にシリアでダーイシュグループの自称「カリフ制国家」を打破する攻勢の先頭に立った。SDFはデリゾール県の大部分を含むシリア北東部の半自治クルド人地帯を支配している。
デリゾール軍事評議会のアフマド・アル・カビル(別名アブ・カウラ)長官の捕理由は明らかにされていない。
しかし、監視団と地元の活動家がAFPに語ったところによると、同氏は高額の利益をもたらす密輸活動を行っていることで知られていたという。
英国に本部を置く監視団はAFPに対し、27日の衝突発生以来54人が死亡し、その大半はカビル氏とSDFの支持者だが、民間人6人も含まれていると語った。
クルド人は、アラブ人の不満を抑えるために、地元の文民評議会と軍事評議会を通じてこの地域を管理している。シリア国内の膨大な情報網を持つ同監視団によれば、一部のアラブ部族はダーイシュの血なまぐさい統治時代にダーイシュを支援していたという。
シリア戦争は、2011年に勃発して以来、50万人以上の死者を出しており、外国勢力やテロリストの反乱勢力を引き込む致命的な紛争へと急速に拡大した。
AFP