
カイロ
エジプト政府がドライバーに対し、より安くクリーンで豊富な天然ガスを用いるよう強く推奨しているため、二元燃料車に改造するエジプト人の数が加速的に増加している。
1990年代以来、およそ30万台の自動車――ほとんどがタクシーとマイクロバスである――が、二元燃料機構に改造されてきているが、それはエジプトで許可された自動車1,100万台のうちわずかな数に留まる。
しかし政府当局は、より多くのドライバーに自動車の改造のための補助金を出すことで移行を促しているほか、圧縮天然ガス(CNG)の価格を低く維持したり、CNG燃料補給所や改造工場を建設したりしている。
2人の石油省の当局者は、3万2千台近くの自動車が2018年6月から2019年6月までの会計年度中に改造されたと話した。今会計年度の目標は、5万台である。それは、2015-16年度にたった6千台だったことと比較される。
政府当局者らによると、改造される自家用車の数は増えているという。このことが、近ごろの補助金廃止後の石油価格値上げによる打撃を和らげること、環境汚染を減らすこと、液体燃料の輸入代金を減らすことを、政府当局者らは望んでいる。
エジプトでは2014年以来燃料価格が急激に上昇してきており、ほとんどのエネルギー価格が、ことし完了したIMF支援による3年にわたる改革プランのもとで国際的な水準にまで値上げされた。
しかし、ガスは液体燃料と比べて安いままになっている。
1立法メートル分のCNGは3.5エジプト・ポンドであり、ディーゼル用重油の1リットル6.75エジプト・ポンド、80オクタンガソリンの1リットル6.5エジプト・ポンドと同等である。
「石油省は、天然ガスの適切な価格を維持してきており、80オクタンガソリン(の価格)の50%に常にとどめてきました。これによって、ドライバーらは改造を行うように促されたのです」と、エジプト国際ガス技術(GASTEC)のアブドルファタ―・ムスタファ・ファラハト会長は話した。
現在、自家用車は改造の30%を占める、とファラハトは話した。
当局者らによると、2015年に巨大な沖合ガス田であるゾールガス田が発見されて以来起こっている天然ガスの生産・調査のブームが、彼らに行動を促したという。2018年末、エジプトは天然ガスの自給自足国となった。
「ゾール田の発見と天然ガスの自給自足の達成は、政府に考えを促してきました。このガスを国内の燃料として用い、その利用の拡大に向けて務めるというのはどうだろうか、と」。エジプト天然ガス持株会社(EGAS)でアシスタント副会長を務めるアイマン・シャラビーは話した。
GASTECは、天然ガス自動車会社(Car Gas)と共に、この業界を支配する2つの国営企業のうち1つである。私企業や外国の企業も過去数年、市場に参入してきた。
GASTECは次の3年間のあいだに、イタリアのEniとの提携により、54の新しい二元燃料補給所の立ち上げや、公共バス向けの燃料補給所のさらなる建設を計画している、とファラハトは話した。現在、エジプトには187のCNG燃料補給所と72の改造センターがある。
エジプト政府はまた、エジプト中で安い輸送手段として当たり前に用いられているマイクロバス向けの計画も行っている。このスキームでは次の3年間に、14万2千台のマイクロバスが改造され、8万8千台の古いディーゼルマイクロバスが二元燃料のマイクロバスに置き換えられる一方、350ヶ所以上の燃料ステーションが建設される。
ドライバーたちは、二元燃料機構に対して賛否両論の見方をしている。燃料コストが節約できることを称賛する人もいる一方で、馬力や荷物スペースが小さくなることについて文句を言う人もいる。
政府高官らは、改造の前には技術的なチェックが行われており、シリンダーの大きさや形は自動車に合わせて変えることができる、と話す。
エジプト政府は補助金を出して、5,000-7,000エジプト・ポンド(310-465米ドル)の費用がかかる機構改造を低利子で分割払いにできるプランを用意しているほか、組み立て工場や輸入業者に対して、あらかじめ二元燃料機構が搭載された自動車を提供するよう促している。
ロイター