
デルナ:リビアで発生した洪水被害は、デルナ市で数千人の死者を出したのみならず、43,000人以上が避難する状況になっていると、国際移住機関(IOM)が21日に発表した。
9月10日、地中海ハリケーン「ダニエル」がリビアを襲い、津波規模の鉄砲水が沿岸都市の上流にある2つの老朽化した河川ダムを決壊させた。
鉄砲水は周辺地域全体を壊滅させ、何千人もの人々を海に押し流した。
公式発表された死者数は3,300人以上となっているが、最終的な数字はさらに増えると見られ、国際支援団体は行方不明者を最大10.000人と推計している。
IOMは、「リビア北東部で発生した洪水により、およそ43,059人が避難している」とし、「水の供給不足が原因で、多くの避難民がデルナから他の地域に移動しているとの報告がある」と付け加えた。
また、「現在緊急で必要としているのは、食料、飲料水、精神衛生や心理社会的なサポートなどだ」と語った。
一方、携帯電話やインターネットのサービスは、2日間に及ぶ通信障害から復旧した。その前の18日には、多数の死者が出ている事について激怒した住民らが、当局の責任を問う抗議デモを起こしていた。
当局は、通信障害が起きた原因をデルナに繋がる「光ファイバーの断裂」によるものだとしていたが、インターネットユーザーやアナリストの中には、故意に引き起こされた「停電」だと力説する者もいた。
トリポリに拠点を構えるアブドル・ハミド・ドベイバ首相は21日、X(旧Twitter)に投稿し、東部で通信が復旧したと発表した。
戦争の傷跡が残るリビアは、国連の支援を受け名目上の暫定政府となっているドベイバ首相の西部と、軍の指導者であるハリファ・ハフタル司令官が管理下に置いている被災地の東部、この2つの政府に分かれている。
リビアの検事総長は、住民らが当局の怠慢を非難したことを受けて、9月10日の集中豪雨で決壊したダムは、1990年代にはすでに亀裂が生じていたと語った。
リビアにおけるインフラの多くは、2011年にNATOが支援する反政府勢力が独裁者ムアンマル・カダフィを打倒・殺害して以来、混乱に飲み込まれ荒廃した状態となっている。
ハフタル軍は、2018年にデルナを掌握した。ここは当時、イスラム過激派の拠点だった場所で、カダフィ政権時代から抗議活動の拠点として知られていた。
デモ参加者は18日、デルナの大モスクの外に集まり、リビア東部の議会とその指導者アギラ・サレー氏に抗議するスローガンを唱えた。
20日の夕方に放送されたテレビのインタビューでは、リビアのアル・セディク・アル・スール検事総長が、この悲劇の原因に関する調査について「迅速な結果」を約束すると話した。
また、名前は明かさなかったが、汚職や過失の疑いがある人物は「既に特定された」と付け加えた。
その一方で、デルナの生存者は新たな脅威にも直面している。
国連は今週、病気の蔓延が洪水被災地に「第2の壊滅的な危機」をもたらす恐れがあると警告した。
現地当局、支援機関、世界保健機関は、「特に汚染された水や衛生設備の欠如などにより、病気が蔓延するリスクを懸念している」と国連は指摘した。
リビア疾病管理センターは、被災地の水道水が汚染されていると警告し、住民らに利用しないよう呼びかけた。
AFP