
ハゼム・バルーシャ
ガザ市: ガザの人々が11日間続いたイスラエルとガザ地区の戦闘の爆破音からようやく立ち直りかけたところに、停戦から一ヶ月足らずで新たな空爆が行われた。
イスラエルは木曜の夜、近隣のイスラエルの都市に放たれた焼夷弾や風船爆弾への返答として、ガザ地区内のハマスの軍事訓練施設を空爆した。死傷者は現在のところ報告されていない。
ヘリウムで膨らませた風船爆弾は、ガザの居留地周辺の農地や藪に火をつける意図で飛ばされた。
5月21日の停戦以来、緊張は高まったままだ。
ガザ地区への空爆により軍事行動の激化への恐れが再度強まった。特に、5月からのイスラエル軍による移動制限を踏まえるとなおさらだ。
イスラエルは、商業用のケレム・シャローム検問所と個人用のエレズ検問所というガザへの出入り口を両方半分閉鎖し、食料品や一部の物資、または医療的緊急事態のみの通行に限っている。
二つの出入り口が閉鎖されたことは、ガザの人々の生活に深刻な影響を与えた。様々な店への物資の供給やガザ及び西岸地区と外界との郵便の流通も止まり、そこにはラマッラーで発行されたパスポートやビザも含まれていたため、商業的な理由での旅行も難しくなった。
乳がんの治療中のイマン・シャヒーン氏(33歳)は、「戦闘の前に申請を送ったパスポートが送られてくるのを待っているが、戦闘が勃発して以来、郵便が止められてしまったおかげで治療を終わらせるためにヨルダンに行くことができない。毎日ニュースをチェックして、郵便の流通が再会することをじれったい気持ちで待っている」と語った。
イスラエルはまた、ガザ地区への建設資材の流通を禁止し、これにより、戦闘後の街の再建は影響を受けている。また、電力発電所への燃料の供給や貧困家庭へのカタールからの補助金も受け入れを禁止した。
ハマスとイスラエルはカタール財団がガザ地区に入ることを促進すること、ケレム・シャローム検問所の通行容量を増やすこと、また国境付近での「帰還の大行進(Great Return March)」の休止と引き換えに軍民両用と分類される物品の一部の流通を許可することで合意した。
ハマスのスポークスマンであるハジム・カセム氏は、ガザ地区への空爆について「我々の団結と聖地(エルサレム)のための抵抗を阻むため」とツイートした。また、いわゆる「旗の行進」を実施することで「シオニスト政権のこれまでにない混乱状態を隠そうとした」として、どちらも「試みは失敗した」と投稿した。
軍事組織ハマスのイスラエルの空爆に対する忍耐は尽きかけているように見受けられる。
イスラム・ジハード当局のカダー・ハビーブ氏は、「抵抗勢力はエジプトにメッセージを発信し、今後の軍事攻撃に対しては同様のやり方で反撃し、支配政権(イスラエル)が抵抗運動に条件を押しつけること、ガザを孤立させることは許さないと告げた」と、語った。
「抵抗勢力の合同作戦室は今後の数日間でイスラエルがさらなる軍事行動を繰り返した場合、最終的にどのような立場をとるかに合意した。結果がどうあれ、攻撃に立ち向かうことを躊躇しないだろう」
「ガザ地区からイスラエルの都市に向けた焼夷弾と風船爆弾の発射が、支配軍からのガザに対する執拗な攻撃と一ヶ月以上にもわたる検問所の閉鎖の理由であるとされている」
だが、解説者達はハマスや他の抵抗勢力は戦闘の早い再開を望んではいないはずだと発言している。
ガザのアルアズハル大学で政治科学を教えるムハイマー アブ サアダ教授は「ハマスは軍事力であれ、ガザ地区の再建であれ、前回の戦闘でのダメージから回復し、この機会を利用してガザ地区への支援が受け入れられるようにする必要がある」と、語る。
政治アナリストのフサム アルダジャニ氏は、「抵抗勢力は武力衝突を再開したいとは思っていない。だが、現場の現実が変わらなければ、ガザ地区の状況はエスカレートする可能性はある」と言う。
アルダジャニ氏はイスラエルの空爆に対してハマスが応戦しないことは、「仲介役にイスラエルにプレッシャーをかける機会を与え、ガザ地区の生活状況を改善するため」だろうと語った。