• 専門家：「これはテヘランによる典型的な作戦行動」
• タンカー拘束の理由付けは「全くのナンセンス」

クリストファー・ハミル-スチュワート

ロンドン：化学薬品を搭載した韓国籍のタンカーがホルムズ海峡でイラン軍によって拘束された。一連の海洋事件に新たな一件が加わり、世界で最も重要な輸送航路の一つであるホルムズ海峡の緊張が高まっている。

海事リスクのモニターリングおよびコンサルティング会社ドライアド・グローバル（Dryad Global ）によると、その韓国船ハンクク・ケミ（Hankuk Chemi）は、ジュバイル（サウジアラビア）からフジャイラ（アラブ首長国連邦）へ向けて航海中、航路を北へ転換してイラン海域へ入ったという。

ドライアド・グローバルによると、23名のインドネシアおよびブルネイ国籍の乗務員を乗せたその韓国船は、「イラン軍によって拘束された」という。その後これはイラン国営メ　ディアによって確認されている。

米国の同盟国である韓国とイランとの関係は近年悪化しており、その理由の一つとなっているのが、イランの石油収益金が韓国の銀行で凍結されているという申立てをめぐる抗争だ。

ドライアド・グローバルの共同経営者マンロ・アンダーソン氏がアラブニュースに語ったところによると、その海洋事件はイランの地域戦略と外交政策がさらに範囲を広げていることを示すものだという。

「イラン側はそのタンカーを石油汚染の理由で拘束したと説明するが、それは全くのナンセンスだ」とし、実際には凍結されている石油収益金をめぐる確執に絡んだものに間違い無いと彼は述べた。

こうした事件は「イランが自国の利害に反すると考える相手に対し、関係があろうとなかろうとあらゆる類の行動を口実として利用しようしていることを示している」と彼は言う。

また、全般的に中東地域での輸送業務の安全性が低下しているわけではないが、イランとの争議を抱える国々の船舶や乗務員たちは、アラビア湾におけるイランの戦略の一環として標的となるリスクが高まっている、とアンダーソン氏は述べた。

船舶の拘束はイランとイスラム革命防衛隊（IRGC）の典型的な作戦行動であり、イランはさらに広範な対外政策上の目標を達成させるための地域的影響力を行使する能力および意図を持っていることがわかる」と彼は言う。

またアンダーソン氏によると、この一件はイランが関与する一連の行動の最も新しいもので、その前にはアラビア湾やイラク沖合における2隻の船でリムペットマインが発見されるといった事件も起きており、イラン側は「彼らの行動の仕方を他国に見せつけているのだ」という。

「イランは今後もあらゆる類の型破りで節操のない手段を用いて自国の対外政策上の問題に対処してくるだろう。」そしてアラビア湾は彼らが「そうする上で、自分の庭のような場所なのだ」と彼は言い添えた。