• イスラエルが戦争を開始して以来、船舶を直接標的にしていることに関して国防総省が公にイランを批判するのは今回が初めてである

ワシントン：23日、インド沿岸から出航した日本所有の化学製品タンカーが「イランから飛来した」ドローンによる攻撃を受けたと、米国防総省が発表した。この攻撃は、紅海以外の商用船へのリスク拡大の兆しを示している。

イスラエルがイラン政府の支援を受ける過激派組織ハマスに対して戦争を開始して以来、船舶を直接標的にしていることに関して国防総省が公にイランを批判するのは今回が初めてである。

今回の攻撃は、10月7日にイスラエル・ハマス戦争が勃発して以来、イランの支援を受けるイエメンのフーシ派反政府組織がガザ地区への連帯の意思表示という名目で、紅海の重要な海上輸送路に新型ドローンやミサイル攻撃を続けるなかで起きた。

国防総省の声明によると、23日のインド洋での攻撃は現地時間午前10時に発生、船の乗員に死傷者はなく、火災は消し止められた。

さらに同声明によると、米軍が「同船との通信を維持しており、船はインドの目的地に向かっている」という。
また、この攻撃はインド沿岸から200海里（約370キロ）の地点で発生し、近隣に米軍艦の姿はなかったという。

国防総省の声明によると、攻撃を受けた「MVケム・プルート（MV Chem Pluto）」は日本企業の所有だが、リベリア籍で、オランダ企業が運航していたという。

海上警備会社アンブリー（Ambrey）によると、「この化学製品タンカーはイスラエルと関連があり」、サウジアラビアからインドに向かっていたという。

ウォールストリート・ジャーナル紙は、MVケム・プルートを運航していたオランダ企業はイスラエル運輸業界の大物であるイダン・オファー氏とつながりがあると報じている。

インド海軍は、支援要請を受けて対応を行ったと述べている。

「航空機1機を同船上空に派遣し、船および乗員の安全を確保しました」と海軍関係者はAFP通信に対して語った。

「必要な支援を提供するため、インド海軍艦も派遣されました」
この攻撃の実行を認める声明などは出ていない。

米国政府関係者によると、先月にはイスラエル所有の貨物船がインド洋でイランのイスラム革命防衛隊によるものと見られるドローン攻撃を受けた。

アンブリーによると、イスラエルの関連企業が管理するマルタ籍の同船は、無人航空機が近くで爆発し、損傷したという。

米国がドローン4機を撃墜

さらに別件では、23日に米国のミサイル駆逐艦「ラブーン」が、「イエメンのフーシ派支配地域から飛来した」攻撃ドローン4機を撃墜したと国防総省の米中央軍が元ツイッターのXに投稿し、怪我人および被害はなかったと報告した。

さらに米中央軍によると、攻撃ドローン1機がノルウェー籍のタンカー「MVブラーマネン（Blaamanen）」に接近、さらにインド籍のタンカー「MVサイババ（Saibaba」が「片道攻撃ドローンの攻撃を受けたが、怪我人は報告されていない」という。

他方で、フーシ派反政府組織は23日に紅海に向けて対艦弾道ミサイル2発を発射したが、「影響を受けたという船舶からの報告は上がっていない」と米中央軍は述べた。

米中央軍によると、「これらの攻撃は、10月17日以降のフーシ派過激派組織による商用船への14、15回目の攻撃」だという。

イスラエル・ハマス戦争開始以来の紅海への攻撃により、主要企業はアフリカ南端を通る航路へと貨物船のルート変更を余儀なくされている。だがこの航路では航海の距離が大幅に伸び、燃料コストの増加につながっている。

23日、イスラム革命防衛隊のある関係者は、イスラエルがハマスとの戦争を止めない限り、他の航路も強制的に封鎖すると警告した。

「こうした犯罪を継続するならば、米国とその同盟国は新たな抵抗勢力の台頭や他航路の封鎖を覚悟すべきだ」と、イランの通信社タスニム（Tasnim）はモハンマド・レザ・ナクディ氏の発言を引用した。

ナクディ氏が警告した海路には地中海も含まれていたが、同氏は詳細については明言しなかった。

AFP