
ラバト:イスラエルとモロッコは水曜日、防衛に関する覚書に署名した。昨年の国交正常化にともなう両国の関係拡大の一環であり、モロッコ政府にとってはイスラエルの防衛産業からハイテク軍需輸出品を入手することが容易となるものだ。
覚書はイスラエルのベニー・ガンツ防衛相のラバト訪問中に同氏とモロッコのアブデルティフ・ルディ国防管理担当特命大臣によって署名されたもので「我が国にとって画期的だ」とイスラエル政府高官は語った。
イスラエルはいくつかの同盟国と防衛協定を結んでいるが「アラブ人が多数を占める国家との(防衛上の)合意は初という点でモロッコとの覚書は特筆に値する」と上記の高官は匿名を条件に述べた。
その他のアラブ諸国でイスラエルと正常な外交関係を維持するのはエジプト・ヨルダン・アラブ首長国連邦・バーレーンの4カ国のみだ。
ガンツ氏が現職イスラエル国防相として初めて北アフリカの王国モロッコを訪問し、合意にいたった。.
「合意によってこの国(モロッコ)に対するイスラエルの(軍需)輸出が可能となる」とガンツ氏は述べた。
無人攻撃機やアイアンドーム防衛システムなど最新鋭の製品を誇るイスラエルの軍需産業輸出は全て国防省が管理している。
アムネスティ・インターナショナルおよびパリを本拠に活動する団体Forbidden Storiesによると、イスラエルの軍需製品のうちNSO社が開発したスパイウェア「Pegasus」はすでにモロッコで導入されているという。
モロッコ政府はフランスのエマニュエル・マクロン大統領に対してこのスパイウェアを使用したことが疑われている。モロッコ政府は「スパイウェアを購入した事実はない」として疑惑を否定し、フランスメディアならびにアムネスティ・インターナショナルを相手取って訴訟を起こしている。
イスラエル国防省高官は「モロッコとの関係は武器の販売のみに基づいたものではない」ことを強調した。
「モロッコとはイスラエルの安全保障の礎石となる長期的な友好関係を期待している」とこの高官は述べた。
モロッコ政府が発表した声明は、防衛ならびにサイバーセキュリティーの分野で合意にいたった、としており、両者は「相互関係をより強固にする希望を共有していた」という。
この声明では両国関係におけるモロッコ国内のユダヤ人コミュニティーと約70万人いるとされる在イスラエルのモロッコ系ユダヤ人社会の重要性に言及している。
水曜日の夕方にモロッコのナッセール・ブリタ外務相と会談したガンツ氏は帰国前の木曜日の朝に現地でシナゴーグを訪問する予定だ。
1993年にモロッコとイスラエルは事務官レベルの外交を始めたが、2000年に第2次インティファーダと呼ばれるパレスチナ蜂起が発生した際にモロッコ政府がこの関係を打ち切っていた。
昨年12月にモロッコ政府は直前にアラブ首長国連邦ならびにバーレーンと国交正常化していたイスラエルとの国交を正常化させた。1月にはスーダンも国交正常化に合意したが、同国はイスラエルとの正式な外交関係構築にはいたってない。
AP