
リヤド:サウジアラビアは、機密データの保護を確実にするショートメッセージサービス『WhatsApp』に代わる安全なサービスを開発中である。
国内で開発が進むこのローカルメッセージサービスは、サウジアラビアの外国企業への依存度を制限し、機密データや気機微に関わるデータがローカルサーバー上で安全に保管されることを保証する。
キングアブドゥルアジズ科学技術都市(KACST)では、サウジアラビアのエンジニアや研究者からなる専門チームがこのプロジェクトに取り組んでいる。
このインスタントメッセージプラットフォームは1年以内に完成する見込みであり、FacebookのWhatsAppやTencentのWeChatに代わるものとして、安全な環境でのコミュニケーションをユーザーに提供する。
「このプラットフォームは、国内で開発された暗号化されたソフトウェアとアルゴリズムの上に構築されており、潜在的なセキュリティ脆弱性から保護し、最高度のセキュリティとプライバシーの実現に貢献する」と、KACSTの国家情報セキュリティセンターの所長を務めるバジル・アル・オマール氏は語った。
メディア向けに発表された声明の中で、オマール氏はさらに、国産のプラットフォームは文字通信と音声通信の両方について安全な通信交換を保証すると述べた。
「全てサウジアラビア国内で働く人により設計されたこのアプリの利点は、外国の機関によって制御された外部サーバーから解放されるため、機密性が保証されるということだ」と彼は付け加えた。
彼らが現在ユーザーとしてターゲットとしているのは、政府機関や機関、企業であり、一般ユーザーではないと同氏は述べている。
全てサウジアラビア国内で働く人により設計されたこのアプリの利点は、外国の機関によって制御された外部サーバーから解放されるため、機密性が保証されるということだ
バジル・アル・オマイール氏(KACST国家情報セキュリティセンター所長)
リヤドにあるキング・サウード大学でサイバーセキュリティの教授を務めるモハメド・クーラム・カーン氏は、アラブニュースに対し次のように語った。「安全なファイル転送とマルチメディア通信のため独自のプラットフォームを開発するというKACSTのイニシアチブは大変素晴らしい。この取り組みは多くの利点を生み出すことになるだろう。」
さらにカーン教授はこのように加えた。「また、国内の人材に対し新たな雇用機会を創出し、知的財産を開発し、公共および民間の組織に対し安全性が確保された国産のアプリケーションを提供し、さらに、ネイティブユーザーに対しバイリンガルのコミュニケーションインターフェースを提供することができる。」
さらに、ワシントンDCにあるGlobal Foundation for Cyber Studies & Researchの創設者兼CEOでもあるカーン教授は、国内で開発することにより、ハッカーがサイバー攻撃を行うことを可能にするセキュリティのバックドアや抜け穴がないことが保証される、と付け加えた。
「このアプリは、通信の機密性と完全性のために軍事レベルのセキュリティを利用しており、プライベートなデータ交換用のエンドツーエンド暗号化を提供する」とカーン教授は語った。
さらに、カーン教授は、『サウジビジョン2030』がデジタル化とサイバーセキュリティの重要性を支えており、今回の取り組みはこのビジョンの実現を追求したものであると付け加えた。
「このプラットフォームが正常に実装され、テストされれば、今後収益を生み出し、国内の景気を刺激するため国外へ輸出される可能性がある」とカーン教授は述べた。
また、このプラットフォームには拡張性があり、他のサービスと統合して、請求書やチケットの支払い、送金などの追加機能を提供できる可能性があると付け加えた。