USスチールの株主は金曜、新日鉄による149億ドルの買収案を予想通り承認し、この買収に対する政治的反対が高まる中でも、取引は完了に一歩近づいた。

USスチールの発表によると、98％以上の賛成票が集まり、新日鉄は1株当たり55ドルを支払うことになった。

しかし、それ以来、米国議員らが国家安全保障上の懸念を理由に、この買収に反対を表明している。ジョー・バイデン大統領は、USスチールは国内所有のアメリカ企業であり続けるべきだと述べている。

金曜のUSスチール株の終値は2.1％安の41.33ドルで、当局の承認が得られるかどうかの不確実性を反映し、新日鉄の提示額55ドルを大きく下回った。

この取引は、雇用喪失の可能性を懸念する全米鉄鋼労働組合（USW）から強い批判を浴びている。

USWはこの投票に対し、「アメリカの象徴的な企業の従業員と退職者を現金化し、売り渡すことに驚きを隠せない」と批判した。

規制当局もこの取引を精査している。ロイター通信によると、対米外国投資委員会（CFIUS）は、外国企業の米国企業への投資を審査する強力な委員会であり、この取引について協議した。

米司法省はこの買収について、独占禁止法に関する詳細な調査を開始した、とポリティコは水曜に報じた。

新日本製鉄は、この買収による人員削減を行わず、労働組合とUSスチール間のすべての合意を尊重し、USスチールの本拠地であるピッツバーグに米国本社を移転することを約束した。

同社は声明で、この買収が「USスチールを保護し、成長させ、その利害関係者だけでなく、アメリカの鉄鋼業界とアメリカ全体に大きな利益をもたらすと確信している」と述べ「USスチールと緊密に協力し、『世界をリードする力を持つ、最高の鉄鋼メーカー 』として共に前進することを楽しみにしている」と続けた。

金曜の投票は「大きな一歩を踏み出したことを意味する」と同社は述べた。

新日鉄は、ライバルのクリーブランド・クリフス、アルセロール・ミッタル、ニューコアを抑え、USスチール買収競争に勝利した。

買収は今年の第2四半期か第3四半期に完了する予定だと両社は以前に発表している。

ブルームバーグは金曜、この件に詳しい関係者の話として、両者は2024年後半に買収が完了する見込みである、と報じた。

ロイター