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世界で最も遅い日本の「ばんえい競馬」の駆け引きが新たなファンを獲得

2023年12月9日、北海道帯広市の帯広競馬場で行われたばんえい競馬。(AFP)
2023年12月9日、北海道帯広市の帯広競馬場で行われたばんえい競馬。(AFP)
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06 Feb 2024 12:02:36 GMT9
06 Feb 2024 12:02:36 GMT9

北海道帯広市:日本にあるこの競馬場では、スピードがすべてではない。世界一遅い競馬の予測不可能なストップ・アンド・ゴーのドラマが、お気に入りの屈強な馬に賭ける新たなファンを魅了する。

ファンファーレが鳴り響き、ゲートが開くと、馬はゆっくりと動き出す。ギャロップ走法ではない。100年以上前にさかのぼる伝統に従い、重いそりを引いているのだ。

「ばんえい競馬」は北海道の帯広市で開催されている。観客は人間が歩くような速さで進む筋骨隆々の作業馬たちを応援している。

ある午後、8頭の競走馬が、200メートルのコースにある2つの丘のうち、最初の丘を砂埃を巻き上げながら乗り越える。

しかし、馬たちはすぐに立ち止まり始め、冬の空気で切らした息を整えるために(最初の)休憩をとった。

ばんえい競馬の人気は低迷していたが、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの中でマーケティング活動が再開されたことで人々がレースを視聴し、オンラインで賭けを始めたことで関心が高まった。

こうしたカジュアルなギャンブラーと熱心なファンによって、ばんえい競馬の年間売上は2011年の低点から5倍増の555億円にまで押し上げられた。

ばんえい競馬は、人口が少なく冬が長く厳しい北海道に移住してきた日本人によって発展した。

彼らは「ばん馬」と呼ばれる馬を田畑の開墾や物資の運搬、鉱山の操業に利用し、地元の祭りでは綱引きやその他の競技で馬同士を競わせた。

ばん馬は競馬用サラブレッドの約2倍の重さがあり、彼らが引くそりの重さは600キロを超える。

そりの上に立つ騎手は大声を出しながら、長い手綱で馬に鞭を打って走らせる。

服部義幸(はっとり よしゆき)氏のような調教師たちは、この強靭な生き物は大切に扱われており、自分の能力以上の荷物を引くことを強要されることはないと、残酷さへの非難を否定している。

「サラブレッドが走るために生まれてきたとすれば、ばん馬は物を運ぶために育てられてきました」と多くのレースでトロフィーを獲得してきた馬を育てた服部氏は語った。

「彼らは畑で働きました。私たちのために働いてくれました。私たちは、この歴史を引き継いでいきたいのです」

この地域では他の3つの都市でも同様のレースが開催されていたが、赤字が積み重なり、2006年にはすべて中止となった。

長らく低迷している日本経済はばんえい競馬にも大きな打撃を与え、それを支えてきた常連客も高齢化していた。

帯広競馬場は、今やこの伝統あるばんえい競馬の唯一の管理組織として、より多くの若い家族や観光客を引き付けるために施設を清掃し、禁煙にするなどの取り組みを行った。

さらにミニ動物園を設置し、人気のスマートフォンゲームとのタイアップを含めたマーケティングキャンペーンを展開して魅力を再活性化させた。

今では、28人の調教師、150人の厩務員、21人の騎手の下、750頭の馬がレースに参加している。

厩務員の一人、21歳の後藤悠乃(ごとう ゆうの)氏は、レースを前にばん馬のたてがみに淡いピンクとブルーの花飾りやリボンをつけるのに忙しそうだ。

彼女はいつかジョッキーになるのが夢だと語る。このイベントを「こうした文化に触れ、他の競馬とは違う体験を提供する素晴らしい機会」だと述べた。

AFP

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