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トルコ、シリア内戦をめぐり移民問題でEUに圧力をかける

トルコ軍によれば、施設はアレッポの南方13㎞に位置する。(ファイル/AFP)
トルコ軍によれば、施設はアレッポの南方13㎞に位置する。(ファイル/AFP)
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29 Feb 2020 08:02:55 GMT9
29 Feb 2020 08:02:55 GMT9

・イドリブ地域で27日に、ロシアが後押しするシリア政権軍による空爆で、トルコの兵士33人が死亡した

・エルドアン氏は来週、会談のためモスクワへ向かう可能性がある

パザルクル:トルコは、シリア政権は死亡した何十人もの兵士の代償を支払うことになるだろうと言明し、何千もの移民を欧州圏に流入させると脅かして、内戦について欧州連合への圧力を強めた。

シリア内戦で敵対する勢力を支援するトルコとロシアは、戦争の拡大や、ヨーロッパへの新たな移民危機の恐れを引き起こしている緊張を緩和するため、高官レベルの会談を行った。

ギリシャの警察は29日、ヨーロッパに入ろうとしてすでに国境に集まっていた数千の移民と衝突した。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、難民をトルコからヨーロッパへ移動させると断言した。戦争で荒廃したシリアから逃れて押し寄せる新たな難民にトルコはもはや対処できないと、大統領は述べた。すでに360万人の難民を受け入れている。

このコメントは、モスクワに後押しされるシリア政権軍が反政府勢力の最後の抵抗地域を奪還するため戦っているシリア北部のイドリブ県で、27日以降34人の兵士が殺された後、最初に大統領が出したものだった。

「昨日(28日)、私たちは何をしたか?私たちはドアを開けた」と、エルドアン氏はイスタンブールで述べた。「私たちはそれらのドアを閉めないだろう…なぜ?欧州連合は約束を守るべきだからだ。」

彼は、何十億ユーロの支援金と引き換えに、難民の流入を阻止するという欧州連合との2016年の協定に言及している。

アテネでは、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相がトルコとの国境で生じている緊張状態について話し合うため緊急会議を開いた。

トルコの指導者は、28日以降トルコ側のヨーロッパとの国境沿いに18,000人の移民が集まっており、29日には30,000人に達する可能性があると付け加えた。

西部のエディルネ県にいるAFPのカメラマンによれば、トルコとギリシャの国境にとどまっていた数千人の移民は、29日にギリシャの警察と小競り合いになり、警察は催涙ガスを発射して移民を押し戻そうとした。

パザルクルの検問所に集まった移民は、警察に石を投げて応戦した。

2015年にギリシャは百万人の移民の主要なEU侵入地点となり、そのほとんどはシリア内戦から逃れてきた難民だった。流入に対処しなければならないというプレッシャーが欧州連合を分裂させた。

「ギリシャは昨日、組織立った大規模な、違法な攻撃…我が国の国境の侵犯を受け、それに持ちこたえた」と、ステリオス・ペタス政府報道官は29日にミツォタキス氏との緊急会談の後で述べた。

「私たちは、4,000件以上の地境への不法入国を防いだ。」

ギリシャ警察の消息筋は、移民が火を放ち、国境のフェンスに穴を開けたので、治安部隊は29日の朝、トルコ側に集まっていた移民に対し催涙ガスを発射したと述べた。

武装した警察や兵士がエヴロス川河岸--一般的な越境地点--沿いを巡察し、拡声器でギリシャの領土へ入らないよう警告している。

また、ギリシャ当局はドローンを使って移民の動きを監視している。ニコス・パナギオトポロス国防相は、状況は制御できているとSkaiテレビに対し述べた。

「国境は保護されていると信じている」と彼は述べた。

ギリシャ沿岸警備隊によると、28日の早朝から29日の早朝にかけて180人の移民が海を渡りエーゲ海東部の島々、レスボス島、サモス島に到達した。

国連は、12月以降、シリア北西部での戦闘により、百万人—その半数は子供―が厳しい寒さの中で故郷を追われている、と述べた。

トルコは、イドリブでシリア政府軍の爆撃により兵士か殺されたことへの報復として、アレッポの南方にある「化学兵器施設」を破壊したと述べた。

「昨夜、いくつかの化学兵器を保管する倉庫を爆破した」とエルドアン氏は述べた。「ここまでしたくはないが、彼らがそうさせるのであり、彼らは報いを受けるだろう。」

しかし、それにもかかわらず、戦争で荒廃した国内の情報源に依拠するシリア人権監視団は、トルコはアレッポ東部の軍用空港を攻撃したと述べており、監視団によれば、ここには化学兵器は置かれていない。

イドリブで27日にロシアが支援するシリア政権軍による空爆で、33人のトルコの兵士が死亡し、トルコにとって戦場における近年で最大の損害となった。それ以降、34人目のトルコの兵士が亡くなった。

これらの最近の出来事は、イドリブへの体制側の軍事攻勢を妨げるための2018年の合意を何度も破ることによって関係が試されてきたアンカラとモスクワの間の緊張をさらに高めた。

合意の一環として、アンカラはイドリブ県に12の監視所を設けたが、ロシアの空軍力に援護されるシリアのバッシャール・アサド大統領軍は、残りの区域を奪還するために容赦ない軍事作戦を迫っていた。

28日にエルドアン氏は緊張を緩和するために、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で会談し、ロシア政府は、2人は事態について「深刻な懸念」を表明したと述べた。

ロシア政府によれば、エルドアン氏は会談のため来週ロシアへ向かう可能性がある。

戦争においては相反する側にいながらも、シリア内のいくつかの反体制勢力を支援するトルコと、政権の主要な同盟国、ロシアは、政治的な解決策を見つけようと努力している。

米国と国連はイドリブでのシリアの軍事攻勢を終結するよう呼び掛けており、破壊的な再により、8年にわたる内戦の拡大に巻き込まれた民間人への懸念が新たに高まっている。

AFP

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