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イスラエル船は「正当な標的」、貨物船拿捕後にフーシ派が警告

A 2023年11月20日に公開された写真の中で、紅海上の貨物船ギャラクシー・リーダー号の貨物エリアで銃を構えるフーシ派の戦闘員 (ロイター)
A 2023年11月20日に公開された写真の中で、紅海上の貨物船ギャラクシー・リーダー号の貨物エリアで銃を構えるフーシ派の戦闘員 (ロイター)
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21 Nov 2023 05:11:01 GMT9
21 Nov 2023 05:11:01 GMT9
  • フーシ派幹部は、「イスラエルの船はどこにいようと我々の正当な標的であり、我々は躊躇することなく行動する」と発言。

フダイダ:イエメンの過激派組織フーシ派は、イスラエルと関連のある貨物船を拿捕した翌日の20日、イスラエル船は 「正当な標的 」であるとの警告を発し、ガザ地区での紛争は新たな局面を迎えている。

ギャラクシー・リーダー号と様々な国籍の25人の乗組員が19日に拿捕された事件は、イランを後ろ盾とするフーシ派がイスラエルとハマスとの紛争を巡り、イスラエルの船舶を標的にすると脅迫した数日後に起きた。

自らを、イランを支持し、イランの代理勢力である「抵抗の枢軸」の一員であると宣言しているフーシ派も、これまでイスラエルに向けて次々と無人機やミサイルを発射してきている。

フーシ派の軍当局者であるアリ・アルモシュキ少将は、フーシ派傘下のアル・マシーラテレビ局で、「イスラエルの船はどこにいようと我々の正当な標的であり、我々は躊躇することなく行動する」と語った。

アナリストたちは、商業的に重要な紅海とアラビア海をつなぐバブ・エル・マンデブ海峡周辺の海運に対するフーシ派の脅威が、今後さらに高まる可能性が高いと見ている。

ギャラクシー・リーダー号はバハマ船籍で、英国の会社が所有し、日本郵船によって運航されているが、イスラエルの実業家エイブラハム・“ラミ”・ウンガー氏とつながりがある。

イスラエル当局者によると、フーシ派は、今回の拿捕は10月7日のハマスによる攻撃で1,200人が死亡し、約240人が人質に取られたことに端を発したイスラエルのハマスに対する攻撃への報復であると述べているとのことである。

ハマスが実効支配するガザ地区の保健省は、イスラエルの空爆とガザ地区での地上作戦により、10月7日以降13,000人以上が死亡したと発表している。

フーシ派のモハメッド・アブドゥル・サラム報道官は、19日にX(旧ツイッター)に投稿した声明の中で、19日の貨物船拿捕は「始まりに過ぎない」と述べ、イスラエルがガザへの軍事作戦を停止するまで、さらなる海上での攻撃を続けるとの姿勢を示した。

フーシ派は20日、19日に船舶を拿捕した際に撮影したものだとする動画を公開した。

映像には、覆面姿の武装した男たちが、航行している船舶の船上にヘリコプターから飛び降り、乗組員らに銃を突きつけている様子が映っており、船内にはパレスチナとイエメンの国旗が掲げられていた。

AFP通信は、この映像の真偽を独自に確認できていない。

海上警備会社アンブリーによると、自動車などの車両運搬船であるギャラクシー・リーダー号を所有する英国のレイ・カー・キャリアーズ社の親会社のオーナーは、イスラエルの実業家ウンガー氏であり、トルコからインドに向かっていた同船は、イエメンのフダイダ州サリフ港へと航路を変更していたとのことである。

イスラエル軍は今回の拿捕について、「世界的に重大な影響を及ぼす事件」だとし、また米軍関係者は、「明白な国際法違反」であると述べた。

アンブリー社は、消息筋の話では乗組員はフーシ派によって「取調べ中」だとしており、その一方でイスラエルとルーマニアの当局者によれば、乗組員にはウクライナ人、ブルガリア人、フィリピン人、メキシコ人、ルーマニア人らが含まれているとのことである。

日本郵船(NYK)は、情報収集と乗組員の安全確保のための対策本部を立ち上げており、また、上川陽子外相は、イスラエルと連絡を取るだけでなく、「フーシ派に直接働きかけている」と述べた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、今回の拿捕事件を「国際船舶に対するイランの攻撃」だと非難したのに対し、イラン外務省のナセル・カナニ報道官は、「同地域の抵抗勢力は、彼らと彼らの人々の利益に基づいて単独かつ自発的に行動しているものであると、我々はこれまで繰り返し明言してきている」と述べ、イランの関与を否定した。

イエメンの海岸線は、紅海を挟んで位置するイエメンとジブチの間のバブ・エル・マンデブ海峡に面している。同海峡は世界で最も交通量の多い航路の一つであり、世界の石油消費量の約5分の1がそこを通過して運ばれている。

 

コンサルティング会社のベリスク・メープルクロフトのトルビョルン・ソルトヴェット氏はAFP通信に対し、「より広い地域で海運に混乱が生じるおそれが高まる可能性がある。安全上の懸念から、船舶がバブ・エル・マンデブ海峡を避けざるを得なくなれば、代替ルートがないことから、結果的にコストが大幅に上昇することになる」との見方を示した。

また、米国を拠点とするナバンティ・グループのシニア中東アナリストであるモハメド・アルバシャ氏は、「フーシ派が発射したミサイルや無人機がイスラエル国内の標的に命中しなかったことが、再び紅海を舞台にした攻撃に集中するという決定に影響を与えた可能性がある」と、述べている。

AFP

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