Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • イスラエルによる強制捜索を受けたガザ地区内の主要病院の今後に暗雲

イスラエルによる強制捜索を受けたガザ地区内の主要病院の今後に暗雲

ハーン・ユーニスのナセル病院の入口を塞ごうとする男性。2024年2月15日公開のソーシャルメディア上のビデオから取得されたスクリーンショット。(ロイター通信)
ハーン・ユーニスのナセル病院の入口を塞ごうとする男性。2024年2月15日公開のソーシャルメディア上のビデオから取得されたスクリーンショット。(ロイター通信)
イスラエルによる地上作戦を避けるために、ハーン・ユーニスのナセル病院から避難し、ラファに到着したパレスチナ人たち。2024年2月15日。(ロイター通信)
イスラエルによる地上作戦を避けるために、ハーン・ユーニスのナセル病院から避難し、ラファに到着したパレスチナ人たち。2024年2月15日。(ロイター通信)
ハーン・ユーニスのナセル病院から避難後、ラファに到着し、屋外で休憩中のパレスチナ人の子供たち。2024年2月15日。(ロイター通信)
ハーン・ユーニスのナセル病院から避難後、ラファに到着し、屋外で休憩中のパレスチナ人の子供たち。2024年2月15日。(ロイター通信)
Short Url:
17 Feb 2024 12:02:36 GMT9
17 Feb 2024 12:02:36 GMT9
  • 強制捜索後のナセル病院では、電力が遮断されて発電機も止められ、5人の患者が死亡した
  • イスラエル軍は、ナセル病院において、20人以上の「テロリスト」を拘束したと発表した

パレスチナ、ガザ地区:イスラエル軍が行った強制捜索の翌日の2月16日、ハマス支配下にあるガザ地区の保健省からナセル病院において酸素不足により患者数人が死亡したとの発表があり、同病院の状況に対する懸念が高まっている。

南部のハーン・ユーニス市のナセル病院では、強制捜索後、電力が遮断されて発電機も止められ、5人の患者が死亡したと、ガザ地区の保健省が発表した。

最近数日間、現在も稼働している残り少ないガザ地区の主要医療施設の1つの病院の周辺で激烈な戦闘が行われていた。

イスラエル軍は、今回の戦争の端緒となった2023年10月7日の襲撃に関与した疑いのある「20人以上のテロリスト」をこの病院で拘束したと発表した。

その前日、イスラエル軍は、2023年10月7日の襲撃で拉致された人質たちがこの病院で拘束されており、人質の遺体複数も依然として病院内に残されている可能性があるとの「信頼に足る情報」に基づいて、自軍部隊が病院に踏み込んだと発表していたが、その後、この情報を裏付けるような証拠類は未だ見つかっていないと発表した。

安全上の理由から匿名を条件にAFPの取材に応じた目撃者は、イスラエル軍が「病院内を移動した者は誰であれ全員」銃撃したと語った。

ガザ地区の保健省は、また、集中治療室にいる他の4人の患者と3人に子供たちへの懸念を表明し、「ナセル病院の施設が現在完全にイスラエル側の支配下にあることを考慮すると、患者と職員の生命についてイスラエルが責任を持つべき」だと述べた。

医療援助団体「国境なき医師団」は、ナセル病院が「混乱した状況」に陥り、医療従事者は患者を置き去りにして退避することを余儀なくされ、職員1人が行方不明となり、もう1人がイスラエル軍に拘束されたと発表した。

イスラエルの公式統計に基づくAFPの集計では、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの襲撃で民間人が大半を占める約1,160人が死亡しており、また、現在でもガザ地区には約130人の人質が残されていると考えられている。

2023年10月7日の襲撃時に拉致された推定250人の人質の内数十人は、2023年11月の1週間の停戦期間中にパレスチナ人の収監者たちとの交換で解放された。イスラエルは、ガザに残された人質の内、30人は死亡したと考えられると発表した。

ハマス支配下のガザ地区の保健省によると、イスラエルの攻撃により、少なくとも28,775人が死亡し、その大半は女性と子供だという。

イスラエルは、武装組織ハマスが軍事目的で病院を利用していると再三非難しているが、ハマスは否定している。

国連人権事務所は、イスラエルによるせるナセル病院の強制捜索は、「ガザ地区での救命活動に不可欠な、民間インフラ(特に病院)への攻撃のパターンの一種」であるように見受けられると述べた。

2月16日の記者会見で、世界保健機関(WHO)のタリク・ジャスレヴィック報道官は、国連機関は燃料の搬入と現地状況の把握のために、ナセル病院への立ち入りを試みていると述べた。

イスラエル軍は、2月16日、ガザ地区での自軍兵士の新たな戦死者について発表した。地上作戦の戦死者数は合計234人となった。

「標的を絞った強制捜索」を夜を徹して実行し、ハーン・ユーニスで「12人のテロリスト」を殺害したとイスラエル軍は発表した。

ガザ地区の保健省は、2月16日、ガザ地区全域での攻撃により、パレスチナ側ではさらに112人が死亡したと発表した。

ガザ地区の人口の半数以上にあたる150万人近くの退避を余儀なくされたパレスチナ人たちが、ラファに閉じ込められた状態となっている。物資不足が深刻となりつつあるラファでは、パレスチナ人たちが避難所として設置している仮設キャンプ群により、エジプトとの境界線近くにおいて大規模な野営地が乱雑に拡大している。

「イスラエルは私たちをゆっくりと殺しつつあるのです」と、避難中のパレスチナ人のムハマド・ヤギさんは語った。

「ラファ市では、物資が枯渇し、医薬品が不足し治療行為が困難になっており、私たちは緩慢に死に向かいつつあります」

ハーン・ユーニスからラファに退避したジハン・アル・キュカさんは、「子供も老人も皆病気で、薬もありません」と語った。

ラファのアブ・ユセフ・アルナジャール病院で、数人の遺体が遺体袋に入れられて並べられ、その付近で親族が嘆き悲しんでいる様子をAFPは目撃した。

ジョー・バイデン米大統領は、2月15日遅くに、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に、民間人の安全を確保する計画無しにラファへの攻撃を行わないよう要請したとホワイトハウス事務局が発表した。

フランスや英国、オーストラリア、カナダ、ニュージランドも、ラファ市内での地上戦闘を行わないようイスラエルに求めている。

しかし、ネタニヤフ首相は、ハマスに対する「完全勝利」達成のためにラファにおいて「強力な」作戦を実行すると断言した。

複数のエジプト政府関係者や安全保障アナリストからの情報として、退避するパレスチナ人を受け入れるために塀を巡らせた野営地をエジプト政府が建設していると、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた。

イスラエル南部では、ガザ地区の北方約25km(15マイル)の混雑したバス停で、銃を持った男性が2人を殺害した。

警察によると、キリヤット・マラキ市近郊でのこの銃撃で、他に4人が負傷したという。

その現場に居合わせたAFPのカメラマンは、銃撃犯は殺害され、その遺体が現場にまだ残されていたと語った。警察は、銃を撃った男性はその現場で民間人によって「無力化」されたと発表した。

他方、米国やカタール、エジプトの調停担当者たちは、今週、カイロに参集して、戦闘の停止と、イスラエルによって拘束されているパレスチナ人捕虜たちの解放と引き換えに残りのイスラエル側の人質を解放する合意の仲介に努めた。

イスラエルの諜報機関モサドのダビデ・バルネア長官は、カイロで、ハマスの代表団が2月14日に同地入りする前日の2月13日、ビル・バーンズCIA長官および、エジプトとカタールの代表と会談した。

しかし、進展の兆しはあまり無い。

ネタニヤフ首相の官邸は、ハマスからは人質解放に関連した「いかなる新たな提案」も受けていないと述べた。イスラエルの報道メディアは、ハマスが態度を軟化させるまでイスラエルの代表団は交渉に戻らないと報じた。

AFP

特に人気
オススメ

return to top