エルサレム：イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は14日、中東紛争を急激に悪化させた、イランが発射した300機以上のドローンとミサイルのほとんどを軍が迎撃したと発表後、自国の勝利を誓った。

4月1日にイスラエルがダマスカスのイラン大使館を空爆し、イスラム革命防衛隊の司令官が死亡したとされる事件を受けて、イランは13日夜半に報復攻撃を開始した

イランは、パレスチナの過激派組織ハマスを支援するため、イスラエルとアメリカを攻撃する際、地域全体の親イラン武装勢力に依存している。

「我々は迎撃し、撃退し、共に勝利しよう」とネタニヤフ首相はXに投稿した。

イスラエル軍は、イランのドローンとミサイルの99％以上を撃墜し、後続の作戦を検討していると述べた。

イスラエルのチャンネル12TVは、匿名の当局者によると、この報復に対し「重要な対応」があると報道した。

イスラエルが、10月7日にイランが支持するハマスの攻撃を受けて侵攻したガザでの戦争は、地域の緊張を高め、レバノンやシリアとの戦線に広がり、遠くイエメンやイラクからイスラエルの標的に長距離砲火を浴びせている。

地域情勢悪化への後押し

この地域で、イランの最も強力な武装組織である、レバノンのシーア派組織ヒズボラは、ガザ紛争が始まって以来イスラエルと交戦を続けているが、14日未明、イスラエルの基地にロケット弾を発射したと発表した。

イギリスの海上警備会社アンブレイは声明で、ハマスとの連帯を示すために紅海周辺の航路を攻撃しているイエメンのイラン系フーシ派が、イスラエルに向けてドローンを飛ばしたと報じた。

これらの衝突は現在、イランと親イラン武装組織、そしてイスラエルと主要な支援国である米国との、直接的な衝突に発展する恐れがある。地域の大国エジプトは「最大限の自制」を求めた。

イスラエルの主席報道官であるダニエル・ハガリ氏は、イランの報復を「非常に重大なもの」と呼び、「地域情勢を悪化させるものだ」とメディアで説明した。

イランはイスラエルに向けて、10発以上の巡航ミサイルを含む、数十発の地対地ミサイルを発射したが、そのほとんどはイスラエル国境外で迎撃された、とハガリ氏は続けた。

イランの一斉攻撃は、イスラエルの軍事施設1カ所に軽い損害を与えたという。

イスラエル軍は、住民に避難の準備をするよう勧告はしていないと述べ、脅威の終息を明確にする為、以前の警告を修正した。

国連安全保障理事会開催へ

イスラエルがダマスカスのイラン大使館を空爆し、イスラム革命防衛隊の司令官が死亡したとされる事件を受けて、イランは報復を宣言していた。イランは、この報復は「イスラエルの犯罪」に対する罰だとした。イスラエルは大使館空爆の責任を肯定も否定もしていない。

「イスラエル政権が再び過ちを犯すようなことがあれば、イランの報復はかなり厳しくなるだろう」とイラン国連代表部は述べ、米国に「関わるな」と警告した。しかし、イランは現在、「この問題は終結したとみなす」とも述べている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話で会談したジョー・バイデン米大統領は、イランの大胆な攻撃に対する外交的対応を調整するため、14日に主要7カ国（G7）首脳会議を招集すると発表した。

ロイド・オースティン米国防長官は、アメリカはイランとの衝突を求めてはいないが、米軍を守り、イスラエルの防衛を支援するために行動することを躊躇しないと述べた。

イスラエルがイランの報復を非難し、イスラム革命防衛隊をテロ組織に指定するよう要請したため、国連安全保障理事会が、14日の午後4時（東部標準時、日本時間2000年）に招集される。

イランのファルス通信は、ある情報筋によると、イランはヨルダンを注視していると述べた。ヨルダンは、イスラエルを支援する動きがあれば、次の標的になるかもしれない。

イスラエルとレバノンは13日夜半、領空を閉鎖すると発表した。イスラエルの空港当局によれば、イスラエルは14日の0430GMTに領空閉鎖を解除した。イランとイスラエルの間に位置する地域の治安筋によると、ヨルダンは領空を侵犯したドローンやミサイルを迎撃するために防空態勢を整えた。

ヨルダンの数都市の住民は、激しい爆発音を聞いたと語った。

イランの同盟国であるシリアは、首都と主要基地周辺の地対空防衛システムに厳戒態勢を敷いていると、同国の軍情報筋が語った。

欧州連合（EU）、英国、日本、チェコ共和国、デンマーク、フランス、メキシコ、オランダ、ノルウェーは、イランの攻撃を非難した。

ロイター