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道のりは遠いファタハとハマスの分裂解消

ガザ市内でデモ行進するハマス過激派(ロイター/ファイル)
ガザ市内でデモ行進するハマス過激派(ロイター/ファイル)
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15 Jun 2020 05:06:30 GMT9
15 Jun 2020 05:06:30 GMT9

ハゼム・バルーシャ

ガザ:6月14日はパレスチナ人にとって辛い記念日だ。ハマスによるガザ地区の武力制圧とファタハが主導するパレスチナ自治政府(PA)の追放から13年間、イスラエルによる軍事封鎖という結果により生活は困難なものになった。

封鎖は生活のあらゆる面で悪影響を及ぼしており、ガザ地区とヨルダン川西岸に住むパレスチナ人はこの分裂がすぐに解決されるとは思っていない。

ルバ・エナヤさん(27歳)はガザで安定した生活を送ったことがない。

「ファタハとハマスが分裂している中ガザで育ちました。分列を解消しようという話をいつも耳にしますが、すぐに実現するようには思えません」と彼女はアラブニュースに語った。

「私は大学を卒業してからずっと仕事に就けていません。封鎖の中で旅行する機会もありません。あらゆる面で制限があります。私や家族、そしてすべての人々にとって困難な状況です」

ハマスとファタハは、悪化するパレスチナの政治状況の責任の所在をめぐり非難の応酬をくり広げてきた。ハマスは、2006年のパレスチナ評議会選挙でのハマスの勝利後も、ハマスの支配を許さなかったとしてファタハを批判する。ファタハは、ハマスが武力の行使によってガザ地区の支配を維持しているとハマスを非難している。

ガザのハマスのスポークスマンであるハジム・カセム氏は、「パレスチナの分裂は選挙結果を拒否したパレスチナ自治政府の立場によって引き起こされた。この分裂はパレスチナの誰にとっても不幸なことだ」と語る。

ファタハはプレスリリースにおいて次のように表明している。「ハマスは、パレスチナの国家の状況を考慮することなく、組織的に分裂、混乱させ続けており、こうした事態が、イスラエルの占領永続化に関しても、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家設立の阻止に関してもイスラエル側に直接有利にはたらいている。」この分裂が、パレスチナ問題への国際的関心を大幅に後退させ、イスラエルが紛争の政治的解決を回避することを正当化したというのが、多くの政治アナリストの意見の一致するところだ。

ラマラを拠点とする政治学者、ハリル・シャヒーン氏は、パレスチナ分裂の結果として生じた政治的な利害が現状の維持に拍車をかけていると述べ、「ハマスのガザ支配は、パレスチナ問題を地域的にも国際的にも顕在化させた」という。

「イスラエルには現状を正当化する理由がある。政治的解決策を交渉し達成したり、独立したパレスチナの政治システムを確立したりすることができるパレスチナの政党が今や存在しないからだ」と彼はアラブニュースに語った。

イスラエルによるガザ地区の封鎖により、住民の失業率と貧困、テルアビブとの緊張が高まり、その間に3度の戦争と数々のエスカレーションが起こった。

ガザにあるアル=アズハル大学の政治学教授であるムカイエ・アブ・サーダ氏は、パレスチナの分裂は、パレスチナ問題の解決に向けたアラブ世界および海外の関心の希薄化と相まって、イスラエルに対しヨルダン川西岸への入植活動を積極化させるとともに、米国にエルサレムをイスラエルの首都として認めるよう促す効果があったと分析する。

「分裂がなければ、こうした事態は起こらなかった」と彼はアラブニュースに語った。

同氏はまた、現在の状況では和解をすぐに期待するのは難しいと付け加えた。

「ファタハとハマスの間にはイデオロギー的な論争があり、分裂の結果として生じた経済的利害は、両者が利害を放棄することを難しくしている。アラブ世界の地域差もパレスチナ内の分裂の継続を助長している」

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