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イスラエルの予算案承認により、ネタニヤフ前首相の政権復帰への希望は薄れる

ネタニヤフ前首相が最も望むのは、多様な主義を掲げる8つの政党から成る連立政権が政権内での矛盾により崩壊することだ。(AFP/File)
ネタニヤフ前首相が最も望むのは、多様な主義を掲げる8つの政党から成る連立政権が政権内での矛盾により崩壊することだ。(AFP/File)
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05 Nov 2021 08:11:44 GMT9
05 Nov 2021 08:11:44 GMT9

テルアビブ: イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ前首相は木曜日、12年間政権を握った彼の政府を退陣に追い込んだ新政権が国家予算案を承認するのを外野からなすすべなく眺めていた。この予算案承認により、ネタニヤフ前首相の迅速な政権奪還への見込みは大きな打撃を受けることとなった。

長年、イスラエルを支配下に置いたネタニヤフ前首相の政権は、大規模なデモとカルトにも似た献身的な支持者の両方を生み出した。退陣し、野党として後方に追いやられた現在は、支配力も失い、深刻な汚職容疑に直面している。

今回の国家予算案は長期の政治的閉塞感と4度の大荒れの選挙を挟んだ3年ぶりの承認であり、分裂気味のイスラエル連立政権にとってはその耐久度を試す機会となった。

「これで、首相復帰までの時間感覚が変わった」と、左派寄りの日刊紙『ハアレツ』のコラムニストでネタニヤフ前首相の伝記も執筆したアンシェル・フェファー氏は語る。「ネタニヤフ前首相が諦めるということではない。諦めるという選択はできない人だ」

11月14日までに予算が通過しなかった場合は即時の政府解散と総選挙となり、現在、世論調査で人気が上昇し始めているネタニヤフ前首相に復帰のチャンスを与えることとなっていただろう。予算案が承認されたため、ネタニヤフ政権を退陣させる目的で発足した連立政権はいくらかの時間稼ぎに成功したようだ。連立政党は世論調査では苦戦しており、どの党も現在の政権を解散して新たに選挙を行うことは望まないだろう。

ネタニヤフ前首相が最も望むのは、多様な主義を掲げる8つの政党から成る連立政権が政権内での矛盾により崩壊することだ。それが起きない場合、首相復帰の次の機会は、2023年の政権交代時、中道派のヤイール・ラピード現外相が政権に就き、連立政権内の民族主義的な政党に脱退する理由を与えるかもしれないタイミングになるだろう。

ネタニヤフ前首相の元側近であるアビブ・ブシンスキー氏は、ネタニヤフ氏は野党党首として時期を待つ方が良いだろうと話す。汚職容疑と戦い、ゆっくりと体制内での支持を積み上げていくことができる公的な立場だ。

「今、ネタニヤフ氏は急いではいない。失うものは何もないのだから」

ネタニヤフ前首相は、水曜日、予算案の採決に先立って国会で演説を行い、今後も政権復帰を目指し続けることを誓った。

「我々はこの最悪の政権と戦い続ける。現政権を倒し、イスラエルを正しく軌道修正するために、できることはすべてやるつもりでいる」と、ネタニヤフ氏は語った。

25年の間、イスラエルの政治における中心的な存在だったネタニヤフ前首相は、今年の初めに劇的な失脚を経験した。

1990年代にも一時期政権に就いていたネタニヤフ前首相は、2009年から12年間首相を務め、イスラエルでは最も長く政権を維持した首相として国の発展に貢献してきた。

彼は世界中を闊歩し、イランの核開発と、その抑制のための世界各国との核合意への反対意見を声高に唱え続けた。

また、ヨルダン川西岸地区の入植地建設を促進し、パレスチナ人との和平交渉を避け、ガザ地区を支配する武装派組織ハマスとの3度の戦争を指揮した。

ネタニヤフ前首相は、自分が世界的な政治家であり、おびただしい数の課題に直面したイスラエルを安全に指揮することができるのは自分だけだと国民に信じ込ませようと必死で努力した。

だが、ナフタリ・ベネット首相が世界気候サミットに出席し、新型コロナウイルス感染第4波の危機を回避し、予算案を通過させる中、ネタニヤフ氏の主張は力を失った。

「気がつけば、ベンヤミン・ネタニヤフでなくてもイスラエルの首相になれるという事実がある。それだけでも驚くべき発見だった」と、フェファー氏。

ネタニヤフ前首相はまた、その地位を利用し、民族主義派と左寄りのハト派、ユダヤ系とパレスチナ系の市民を対立させ、国の制度に対する不満を煽り、イスラエルをより分裂させようとした。その傾向は特に3度、汚職事件で起訴された後に強まった。

ネタニヤフ前首相は現在、詐欺、背任、贈収賄などの容疑で裁判にかけられている。これらの容疑を本人は否定するが、首相としての最後の数年間に暗雲を投げかけてきた。

イスラエルの法律ではネタニヤフ前首相は起訴されても辞任する必要はなく、起訴に対して抗議したり、免責法の制定を目指したり、メディアや司法制度への不満をぶちまけることができる公的な立場は残されたままだ。

AP

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