• 11日未明に行われた採決により、抗議行動は新たな勢いを得て激化した

エルサレム: 11日、数千人のイスラエル人の抗議デモ参加者が街頭に出て、主要な幹線道路を封鎖し、国の主要な国際空港に押し寄せ、全国規模の抗議デモを行い、国の司法制度を改革するという物議を醸す政府の計画に反対した。

抗議デモは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる議会連合が、国を激しく分断する計画を推し進める、最高裁判所の監督権限を制限する法案が第一段階で承認された翌朝に起きた。ネタニヤフ政権の超国家主義・超正統派の支持者らが一連の法案を提出。これにより、国が独裁的支配に追いやられていると主張する反対派による抗議デモが起こり、数カ月にわたり続いている。

反司法改革の抗議デモ参加者は一日を通して全国規模で抗議デモを行った。11日午後のベングリオン国際空港での大規模な抗議行動では、メインホール前に推定1万人が集まり、警笛を鳴らしたり、青と白のイスラエル国旗を振ったりした。警察は抗議デモ参加者がターミナルに入るのを阻止したため、空港機能には支障はなかった。

「これは内乱だ！警察が止めなければ、私たちは前進できると思う」と、抗議デモ参加者の一人、アディ・ソメックさんが語った。

ネタニヤフ首相の極右政権が、就任数日後の1月に司法改革計画を示して以来、大規模な抗議デモが続いている。同首相は抗議デモを受けて、3月には司法改革の計画を一時中断。しかし、議会の反対派との妥協点を探る協議が決裂したために、先月計画を再開させていた。

11日未明に行われた採決により、抗議デモは新たな勢いを得て激化した。法案成立までには、今月末までに国会での承認があと2回必要である。

警察はエルサレム郊外やテルアビブで、抗議デモ参加者を排除するために放水砲を使用。また、中心都市モディインに隣接する幹線道路を封鎖した数人を逮捕した。抗議デモ参加者は「我々は共に勝利するまで」と書かれた大きな横断幕を掲げて、ハイファの主要な幹線道路を封鎖し、海岸沿いの交通を渋滞させた。

11日遅く、テルアビブ中心には数万人が集まった。この場所では半年以上にわたり、司法改革に反対する抗議デモが毎週行われていた。抗議デモ参加者は市内の主要な幹線道路に向かって進み、道路を一時的に封鎖した。

これに先立ち、抗議デモ参加者はテルアビブの米在外公館の前に集まり、ネタニヤフ首相に司法改革を中止させるために圧力をかけてほしいと米政府に呼びかけた。エルサレム中心部にあるネタニヤフ首相の自宅前でも、小規模ながら抗議デモが行われた。

警察の報告によると、治安紊乱の疑いで全国で合計71人が逮捕された。各地で抗議デモ参加者と警察がもみ合いになり、少なくともデモ参加者１人が警察の馬によって負傷したが、大きな暴力行為は報告されていない。

ネタニヤフ首相の支持派は、選挙で選ばれていない裁判官の過剰な権限を弱めることを目的として、イスラエルの司法制度改革案を提出した。

提出された改革案には、ネタニヤフ首相の支持派に裁判官の任命権を与えたり、議会に裁判所の決定を覆す権限を与えたりする案が含まれている。11日に可決された法案は、政府が下す決定について「合理性」を審査する権限を最高裁判所から剥奪することを目的としている。しかしこれは、汚職や不適切な政治的任命を防ぐために必要な「安全装置」と、ネタニヤフ首相の支持派は主張している。

12月に発足したネタニヤフ政権は、イスラエル75年の歴史において最も強硬な超国家主義で超正統派の政権である。ネタニヤフ首相の支持者は、この4年弱で5回の国政選挙が行われた後に、司法制度の抜本的な改革案を提出した。そのすべてが、汚職で裁判中のネタニヤフ首相の首相としての適性を問う国民投票と見られている。

司法改革を批判する人々は、その国民投票は国の脆弱な三権分立の制度を混乱させ、権力をネタニヤフ首相とその支持者の元に集中させることになると主張している。また、ネタニヤフ首相は詐欺、背任、収賄の嫌疑で裁判中であるため、利益相反があるとも主張している。

イスラエルの最も重要な同盟国である米国もまた、この司法改革の取り組みを批判しており、ネタニヤフ首相に対して司法改革については時間をかけて幅広い合意を求めるよう促した。ネタニヤフ政権の閣僚、アミチャイ・チクリ氏は11日、イスラエルの野党指導者が米政権と連携して批判していると非難した。

予備役将校、ビジネスリーダー、LGBTQプラス、その他の少数派グループの人々を含むイスラエル社会の幅広い層が抗議デモに参加している。現在も続く情勢不安に外国人投資家は嫌気し、イスラエル通貨シェケルの価値が下落した。

イスラエル軍精鋭のサイバー戦部隊の予備役300人が11日、政府が「イスラエル国家を破壊する決意」を示したと説明し、兵役に志願しない旨の書簡に署名した。

書簡には、「悪用されるかもしれない、機密を扱うサイバー能力を、民主主義の土台をむしばむ犯罪的な政府に与えてはならない」と記されていた。

戦闘機パイロットや他のエリート部隊の隊員も、任務のための出頭を中止すると表明した。

ヨアブ・ギャラント国防相は11日夜の演説で、出頭して任務につくのを拒否する人々を激しく非難し、国の安全を脅かす行為であり、「敵の思う壺」であると述べた。

イスラエルの全国労働組合「ヒスタドルート」のアーノン・バー・デービッド組合長は、国の経済を麻痺させるかもしれないゼネラルストライキの可能性に言及した。

バー・デービッド組合長は「状況が極限に達した場合、我々は介入し、力を行使するつもりだ」と述べ、ネタニヤフ首相に「混沌とした事態を抑制」よう呼び掛けた。

数週間にわたり抗議デモが続いた後に、イスラエル政府が司法改革法案の立法化を進めたため、ヒスタドルートは3月にゼネラルストライキを呼びかけた。このゼネストはイスラエル経済を広範に停止させて、ネタニヤフ首相に立法化の手続きを中断させるのに寄与した。

AP