Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

ドバイ国際空港、「回復の遅れ」に備える

ドバイ国際空港のCEO、ポール・グリフィス氏は到着した乗客に対する隔離の義務化をやめるよう各国に要請している。(GettyImages)
ドバイ国際空港のCEO、ポール・グリフィス氏は到着した乗客に対する隔離の義務化をやめるよう各国に要請している。(GettyImages)
Short Url:
28 Oct 2020 09:10:59 GMT9
28 Oct 2020 09:10:59 GMT9
  • ドバイ国際空港のCEOは、到着した乗客に対する隔離の義務化をやめるよう各国に要請している

ドバイ:国際旅行において世界で最も混み合う空港、ドバイ国際空港には利用者が戻りつつある。同空港が想定される 「長期に渡る回復の遅れ」に備える中、同社のCEOは「しかし、これはコロナウイルスのパンデミックによる落ち込みからの長い道のりだった」とAP通信に話した。

長距離航空会社、エミレーツ航空は3月に大幅な減便を行い、ゆっくりと航路を再開してきた。CEOのポール・グリフィス氏によると、東西への旅行を提供する巨大な同空港の旅客数は徐々に増えて1か月当り100万人を超えた。これは、前年と比べてマイナス15%となる。

旅客数を増やすために、グリフィス氏は各国に対し、到着した乗客に対する隔離の義務化をやめ、ドバイが採用する方策に移行するよう要請している。ドバイの方策には、出発前の積極的なコロナウイルス検査、機内でのマスク着用の義務化、そして到着時のコロナウイルス検査など含まれている。

「我々がしなければならないことは、リスクを制御・管理するための適切な措置を取ることです。これは実際に許容可能なことです。つまり、人生にはリスク管理が付き物で、リスクを排除することばかりではありません」とグリフィス氏はAP通信のインタビューで語った。 

「間違いなくウイルスにも同じことが当てはまるはずです。感染のリスクを最小限に抑えるためには、ウイルスを制御下に置く必要があります」

「それは、現在生じている社会的・経済的損害を長引かせることなく、我々が利用可能な対策のいくつかを使って行うことができます」

国際航空運送協会(IATA)によると、中東全体の今年の旅客数は、2019年の2億3,300万人から減少し、わずか6,000万人にとどまると見られている。これは昨年の旅客数の30%に過ぎない。

回復には何年も掛かる可能性がある。IATAは、2021年までに中東での旅客数が年間9,000万人に回復することを期待しているが、それでも2019年よりも大幅に少ない。ワクチンが広く利用可能になる前に旅行者が飛行機を利用できるようにするために、IATAは、各国による隔離ではなく、乗客に対する大規模で迅速な検査を求めている。

こういった隔離が、旅行を検討している人の計画を妨げていて、代わりに、各国は電子「ヘルスパスポート」の提供や、機内での安全の保障に役立つ他の措置を実施する方向に向かうべきだとグリフィス氏は言う。

グリフィス氏は、乗客が適切にマスクを着用していれば、空の旅は依然として安全だと考えていると話した。9月に発行された『Journal of Travel Medicine』の記事で引用された事例では、所要時間8時間の香港行きエミレーツ機のうち5便を調べた所、到着時に陽性と判定された乗客が5便合わせて58人乗っていたにも関わらず、他の乗客に対するコロナウイルスの感染は確認されなかった。

「旅行や観光、そして人々が毎日用事で自由に移動できることは、実際、経済に弾みをつけるものです。そして、その鍵は国際旅行であり、航空機の使用は、すでにウイルスの拡散を制御する上でかなり進んでいることが証明されています」とグリフィス氏は話した。

ドバイにとって、フライトの再開は依然として大きなビジネス上の関心だ。

エミレーツ航空は依然として、「Dubai Inc.」として知られる大規模な企業グループの要として存在する。Dubai Inc.とは、ドバイ政府が所有し、連動する一連の事業。ソブリンウェルスファンドであるドバイ投資公社は、エミレーツ航空を完全に所有しているだけでなく、収益性の高いドバイデューティーフリーも所有している。

それらの免税販売は2019年に20億ドルの収入を計上し、その中には葉巻1,500万本以上、香水290万本などが含まれていた。 

同社は2020年の売上高についてコメントを求められても回答しなかったが、最新の財務報告書では「ウイルスを封じ込めるための措置により、店舗の一時的な閉鎖が行われた」ことを認めている。

一部の免税店はすでに空港の一部で再開している。ドバイ当局はまた、エミレーツ航空に20億ドルの緊急援助を行った一方で、数千人の職員を解雇した。 

空港に関する限り、回復が遅ければ2,000人を超える従業員の一部を解雇する必要性を「排除することはできない」とグリフィス氏は述べた。

ドバイは7月に観光客の受け入れを再開したが、隣のアブダビでは、たとえUAEの居住者であっても、アブダビに入るためには受け取ったばかりのウイルス検査の結果を必要としている。エミレーツ航空では、旅行者を呼び込むためにタッチレスのチェックインなどを実施しているため、便数は目立って増加している。

それでも、エミレーツ航空の象徴的な2階建てエアバスA380の大部分は運行していない。航空機追跡サイトのFlightRadar24.comによると、今年の初めに、世界では1週間に2,400便のA380が飛んでいたが、大部分はエミレーツ航空の機体だった。今月始めに同ウェブサイトが発表した所によると、今ではせいぜい週に100便余りのA380のフライトがあるだけで、その大半はやはりエミレーツ航空の機体だという。

「我々が理解しなければならないことは、航空旅行は回復するということです。 以前に見たような水準に戻るでしょう」とグリフィス氏は述べている。 

「ただ、それがいつになるかは分かりません。そして旅客数が回復すれば、A380は再び本来の姿を取り戻すでしょう」

AP通信

特に人気
オススメ

return to top