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「進歩の抑制でなく排出の抑制を」―ADNOCのエネルギー安保トップが警鐘

アブダビ国営石油の社長兼グループCEOのスルターン・アフマド・アル・ジャーベル氏(資料写真、AFP)
アブダビ国営石油の社長兼グループCEOのスルターン・アフマド・アル・ジャーベル氏(資料写真、AFP)
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07 Oct 2022 09:10:10 GMT9
07 Oct 2022 09:10:10 GMT9

アラブニュース

リヤド:アラブ地域最大の石油会社のCEOは、石油やガスの生産量を減らすべきだという意見を批判しつつも、自分の地位にある人間はエネルギー安全保障に責任があると信じているとした。

アブダビ国営石油の社長兼グループCEOであるスルターン・アフマド・アル・ジャーベル氏は、ロンドンで開催されたエネルギー・インテリジェンス・フォーラムで、エネルギー移行計画が策定される際には、彼のような企業が「(会議の)部屋にいる」必要があると主張した。

アラブ首長国連邦(UAE)の産業・先端技術大臣を兼務するアル・ジャーベル氏は、石油・ガス生産の放棄はエネルギー安全保障に打撃を与えかねないとした上で、新エネルギーの開発前に現在のエネルギーシステムを打ち切ろうとすることは見当違いであると警告した。

「我々は、すべての進歩はエネルギー安全保障に始まり、エネルギー安全保障に終わることを目の当たりにしてきた。そして、世界のエネルギーに関するリーダーとして、そうしたエネルギー安全保障を維持するという我々の責任は、かつてないほど明白になっている」とアル・ジャーベル氏は述べた。

「我々は皆、世界のエネルギー供給による影響を緩和することに尽力しなければならないが、生産を中止するのではなく、炭素を捕捉することに焦点を当て続けよう。排出量を抑えるのであって、進歩を抑えるのではないのだ」。同氏はこのように付け加えた。

同氏によると、エネルギー移行は人類史上最も複雑で資本集約的なプロジェクトであり、移行を確実に成功させるためには、エネルギー部門とのパートナーシップが必要であるという。

「エネルギー移行を成功させるためには、エネルギーの専門家が他のすべての利害関係者とともに、対等なパートナーとして同じ部屋にいる必要がある」と同氏は述べた。

さらに、将来、世界が頼ろうとしているエネルギー源である炭化水素には、多大な投資が必要であることを指摘した。

アル・ジャーベル氏は、UAEが、炭化水素が気候に与える影響を緩和するとともに、自らの専門技術に立脚して二酸化炭素排出量ゼロを目指す信頼あるエネルギーのリーダーとして台頭するため、パートナーとの協力に前向きであることを明らかにした。

また、ADNOCが、再生可能な太陽エネルギーや原子力エネルギーと併せて先進技術を活用し、この10年間の終わりまでに石油・ガスの炭素強度をさらに25%削減しようとしていると明かした。

アル・ジャーベル氏は、ADNOCは二酸化炭素の回収法と貯留法の利用も拡大すると付言した。

同フォーラムで10月4日、サウジアラムコのアミン・ナーセルCEOは、世界の石油需要は2030年以降まで伸びると予想されており、世界のエネルギー移行の計画には不備があると述べた。

講演の中でナーセル氏は、石油やガスに代わるエネルギーはまだ用意されていないとし、二酸化炭素の回収・貯留技術を開発するとともに、石油やガスの脱炭素化に向けた対策を講じるべきだと付け加えた。

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