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第1回ADXCは格闘技ファンに忘れられないスペクタクルを届けた

28人のトップファイターがステージを飾り、格闘技の歴史に刻まれるであろう一夜に、アグレッシブな戦いが繰り広げられた。(提供)
28人のトップファイターがステージを飾り、格闘技の歴史に刻まれるであろう一夜に、アグレッシブな戦いが繰り広げられた。(提供)
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24 Oct 2023 01:10:57 GMT9
24 Oct 2023 01:10:57 GMT9

アミン・アッバス

アブダビ:UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領の臨席の下、第1回「アブダビ・エクストリーム選手権(ADXC)」がムバダラ・アリーナで開催され、世界中からトップ選手が集まった。

同選手権は、格闘技ファンに忘れられない経験を提供するという約束通りのものとなった。28人のトップファイターがステージを飾り、格闘技の歴史に刻まれるであろう一夜に、アグレッシブな戦いが繰り広げられた。

満員のアリーナで熱狂的な観客がお気に入りのファイターを応援するなか、この初の試みとなるイベントは、現在開催中の「アブダビ・ショーダウン・ウィーク」の一環として、インターナショナル・ビジョン・スポーツ・マネージメント(IVSM)が主催する世界ツアーの幕開けとなった。特設のオクタゴンの中で、14の熱戦が繰り広げられた。

第1回ADXC会場の観客たち。(提供)

ADXCの最年少ファイターであり、現在柔術の紫帯を持つ17歳のサラ・ガウヴァオンが、GIスーパーファイトの3回戦で対戦相手のビクトリア・ガブレイラに勝利した。

ガブレイラが不動のディフェンスを見せるなか、ガウヴァオンは最初の2ラウンドでサブミッション・ホールドを奪った。

試合は3ラウンドにクライマックスを迎え、ガウヴァオンが「ボーアンドアローチョーク」を正確に決め、圧倒的な勝利を収めた。

印象的なパフォーマンスを振り返りながら、ガウヴァオンは次のように語った。「ビクトリアはとても強い。ただ、私は自分の柔術の技術に大きな自信を持ち、それを披露しようと思った。最終的に私が勝利を収めた」と語った。

ケージでの試合について、ガウヴァオンは独特の難しさを認めている。「ケージは勝手が大きく異なる」と彼女は語る。「特に、壁を通り抜けることができない。ケージを上手く利用しなければならない。私はそのようにしました」

「彼女はとても強く、アグレッシブでした。でも、あまり早い段階で体力を消耗したくなかったので、序盤は彼女の様子を見て、最後の2ラウンドで爆発させました」と彼女は付け加えた。

大舞台で柔術の力を見せつけたこの勝利は、ガウヴァオンのキャリアにおいて極めて重要なマイルストーンになるだろう。彼女はADXCシリーズの初戦で優勝するという、特別な偉業を達成したのだ。

試合中、傍らにいた父であり、柔術界の象徴であるアンドレ・ガウヴァオンの役割について尋ねると、彼女はこう答えた。「第一ラウンドでは、彼はまだ相手を感じとる必要があると言い、特にアドバイスはなかった。2ラウンド目、彼はもっとアグレッシブになるように励ましてくれて、パスやガードを取った時の対処法も指導してくれた。私は、彼のアドバイスには全幅の信頼を寄せていました」

父親は娘の勝利を振り返り、こう語った。「信じられないようなことだった。初めのうちは、照明や選手紹介など、新しい環境に慣れるのに必死だった。最初は少し圧倒されていたが、うまく順応していた。相手はフレッシュで強く、階級に合わせて体重をかなり減らしていた。しかし、サラは2ラウンド、3ラウンドと自分の試合を見つけました。本当に、彼女を誇りに思う」

さらに総合格闘技団体「ベラトール」のネイマン・グレイシーは、柔術着を着用しない「ノーギ(No-Gi)」メインイベントで元UFC&WEC王者のベン・ヘンダーソンに勝利した。ネイマン・グレイシーはサブミッションで見事な勝利を収め、増え続ける彼のメダル・コレクションに新たなメダルが加わった。

「ADXCはグラップリングを引き継ぐ新しいショーであり、ハッピーです」と、勝利後にグレイシーは語った。「私はこれらのルールの下で広範に訓練を積みました。私はサブミッションを追い求めることが好きなので、私にとっては素晴らしい試合だった。3分という制限時間を考えると、全力でフィニッシュを狙おうと思った。素晴らしい経験だった」

「ベン・ヘンダーソンのような選手を相手にした場合、フィニッシュは難しいとわかっていた。だから積極的にサブミッションを狙い続けた。3分しかなかったから、その3分間で10回フィニッシュを狙った。もし10回やってもだめだったなら、20回は狙っていただろう」と彼は付け加えた。

「ベラトール」のファイター、ネイマン・グレイシーは、元UFC&WEC王者のベン・ヘンダーソンに勝利した。(neimangracie/Instagram)

柔術着着用のギ(Gi)メインイベントでも、激しいライバル対決が繰り広げられ「ドリームアート」のリーダー、イサク・バヒエンセが「ATOS」のグスタボ・バチスタに勝利した。過去の対戦でバチスタを下しているバヒエンセは、その優位性の再確認を、そしてバチスタは挽回を図ろうと、柔術の頂点を見せつける壮絶な一戦となった。

「私たちの目標は、自分たちの強みを生かして試合することだった。彼は自分の戦い方をよく理解していて、私は彼のプレッシャーに巻き込まれないように努めました。厳しい試合だったが、私は勝利を収めることが出来ました」とバヒエンセは語った。

ドリームアートのリーダー、イサク・バヒエンセがアトスのグスタボ・バチスタに勝利した。(isaquebahienseb/Instagram)

元Venator FC(ヴェナトール・ファイティング・チャンピオンシップ)ウェルター級王者でUFCミドル級コンテンダーのマービン・ヴェットーリは、ノーギ・サブミッションで有名なタレック・スレイマンと対戦した。激闘の末、ヴェットーリが全員一致の判定勝ちを収めた。

ブラジルのタリソン・ソアレスとUAEのザイード・アルカテーリの両名は対戦が決定づけられており、その初対決がADXCだった。

この2人の強豪のバランスは拮抗しており、両者ともガードと足技で実力を発揮した。しかし、ソアレスのほうがよりアグレッシブで先手にまわり、最新のテイクダウンテクニックを駆使していた。判定でこのブラジル人ファイターが勝利を手にした。

もう一つの魅力的なノーギのメインイベントでは、「ファイトスポーツ(Fight Sports)」のリーダー、ホベルト“サイボーグ”アブレウがオーストラリアの黒帯アントン・ミネンコと対戦。この世界クラスのアスリートの実力と技術を披露する試合が繰り広げられた。

アブレウは5ラウンドにわたる激闘の末、全員一致の判定で勝利を収めたが、ミネンコの揺るぎない決意は、このスポーツ界の新星にエキサイティングな未来を約束した。

現在同階級の中心選手であるタヤネ・ポルフィリオとジョヴァンナ・ジャラは、ADXCで戦った。

拮抗した第1ラウンドを終え、両選手は第2ラウンドに向けて高いモチベーションを取り戻した。ポルフィリオが先制し、ガードを固めてスイープで上になったが、ジャラは体重を巧みに使って上になり、ゴングが鳴るまで相手の攻撃を避け続けた。

ポルフィリオは時間を無駄にせず、最終ラウンドの3ラウンド、シングルレッグでテイクダウンを奪い、ケージの壁近くのグラウンドに追い詰めた。

サイドコントロールからマウントを奪ったポルフィリオは、腕を取ろうと攻防を繰り広げる。いくつかの危うい場面はあったもののジャラはこれを防いだ。しかし、レフェリー判定でポルフィリオが勝利した。

さらに、パレスチナのアブドゥルカリーム・アルセルワディとエジプトのイスラム・ネーダー・レダという中東のMMAファイターがADXCのケージに登場、終始積極的な攻防を見せた。

アルセルワディとレダは試合を通して非常に機敏な動きを見せ、アルセルワディは素早いジャンプを活かしてガードを取り、レダはガードから多彩な動きを見せて相手の攻撃を防いだ。

テイクダウンの攻防が多くなり、ケージの壁へプレッシャーをかけたアルセルワディが有利に試合を進め、最後は全員一致の判定で勝利を収めた。

ADXCでパレスチナの国旗を掲げるアルセルワディ。(selwadymma/Instagram)

ファブリシオ・アンドレイとマルシオ・アンドレの一戦は、爆発的なテクニック対決になると予想されていた。アンドレは活発なガードとパワフルなグリップで、シングルレッグでテイクダウンを狙うアンドレイをコントロールした。

アンドレイは2ラウンドに勢いを増し、ガードを取りかけたが、最後はアンドレイの攻勢が勝り、スプリット判定でアンドレイが勝利した。

マルチン・ヘルドとグラム・クタテラーゼという2人のMMA選手がグラップリングの強さを見せつけた。クタテラーゼはアームドラッグで対戦相手を一蹴し、シングルレッグでテイクダウンした。

しかし、ヘルドは冷静に対処し、スクランブルで上を取る。1ラウンド、クタテラーゼのガードをかいくぐって腕十字を仕掛け、反撃のチャンスを潰したヘルドが勝利をつかんだ。

エースのフェリペ・アンドリューは、勢いを増すウアンデルソン・フェレイラとの戦いで、素早くテクニカルな勝利を収めた。彼はガードを引き、相手の激しい動きを止めた。絶妙なタイミングで、三角絞めを決め、最初のラウンド1分強の時点で、彼の代名詞とも言える動きで勝利を収めた。

ADXCのステージ。(提供)

計量における激しい攻防の後、ジョナタス・グレイシーとナタン・チュエンの対決がADXCのケージに熱気と興奮をもたらした。チュエンが攻撃に集中するなか、グレイシーはよりアグレッシブで、相手の頭をしっかりと掴んだ。

試合中盤、チュエンはグレイシーを引き込み、サブミッションを狙った。しかし、グレイシーが上からプレッシャーをかけ、チュエンの攻撃を退けた。

ルイザ・モンテイロとナタリー・リベイロの試合は非常に拮抗していた。両選手とも足を使った攻撃を多用し、3ラウンドを通して勝利の関節技を狙った。その結果、審判団は全員一致でモンテイロを勝者とした。

さらに、ビッグダン・マナソイウはパワフルな動きでアントニオ・アセフに快勝した。アンダーフックで圧倒したマナソイウは、アセフをテイクダウンし、そのまま上になった。

アセフも足を使った攻撃で応戦したが、マナソイウはインサイド・ヒールフックで攻め、1分足らずで試合を終わらせた。

ADXC、各試合がノンストップのアクションと興奮を提供し、ファンをさらに渇望させた。柔術とMMAの融合、そしてファイターたちの驚異的な技術と粘り強さは、このイベントが格闘技界の記念すべきマイルストーンとして歴史に刻まれることを確実にした。

大会には、アブダビ文化観光局のサレハ・モハメド・サレハ・アル・ゲジリー局長、UAE柔術連盟理事のモハメド・ビン・ダルモウジ・アル・ダヘリ准将、国際総合格闘技連盟(IMMAF)のケリス・ブラウン会長、ドバイ・スポーツ・カウンシルのサイード・ハレブ事務局長、アブダビ柔術プロ(AJP)のタリク・アル・バーリ事務局長など、さまざまな著名人が出席した。

また、著名なMMAファイターのアレクサンダー・ヴォルカノフスキーとベラル・ムハマッドも出席した。

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