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2022年ワールドカップ・カタール大会が湾岸地域全体の勝利となる理由

湾岸諸国の期待とともに2022FIFAワールドカップへのカウントダウンは進む。(AFP通信)
湾岸諸国の期待とともに2022FIFAワールドカップへのカウントダウンは進む。(AFP通信)
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12 Oct 2022 03:10:30 GMT9
12 Oct 2022 03:10:30 GMT9
  • サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーンのホテル、航空会社、ツアーオペレーターが特別なサービスを提供している
  • 旅行、観光、ホスピタリティの各企業は、サッカーファンの宿泊と往来から何十億ドルもの利益を得ることを期待している

レベッカ・アン・プロクター

ドバイ:中東初開催のサッカーワールドカップがカタールで11月20日に開幕する前でも、湾岸地域全体が航空旅行、観光、ホスピタリティ産業の飛躍的な発展を期待している。

待望の1ヶ月にわたるトーナメントの期間中には、世界最大のスポーツイベントを楽しむために旅行客がカタールのホテルに押し寄せる。旅行客120万人の流入はカタールに170億ドルの経済効果をもたらすと見込まれている。

とはいえ、1つ問題がある。カタールは国土が狭いため、宿泊施設の数が限られており、今年3月の時点ではわずか3万室のホテルしか提供されていない。そのためサッカーファンはこの地域の他の場所を探さざるを得ない。さらに、客室数不足によりホテル料金が上昇している。

Expat Sport社のエグゼクティブディレクターであるスー・ホルト氏は、スポーツ観光は特に収益性が高いと述べる。それは「1人で旅行するのではなくグループになる傾向がある」からだ。

「全体として、ホテル料金はすでに3~4倍高くなっているため、すでにワールドカップの影響をすぐに実感できます」とカタールのビジネスマン、タリク・アル・ジェイダ氏はアラブニュースに語った。

アル・ジェイダ氏のファミリービジネスであるジャイダ・ホールディングスは、中東および北アフリカで最初のWブランドホテルであるWドーハ・ホテル&レジデンスを所有している。また、同グループはヴェネツィアのグリッティ・パレス、フィレンツェのザ・ウエスティン・エクセルシオールとセント・レジスなど、ヨーロッパ各地の主要な高級ホテルを所有し、運営している。

アル・ジェイダ氏の兄弟、イブラヒム・M・ジェイダ氏は、アラブ土木建設局およびイブラヒム。ジャイダ・アーキテクツアンドエンジニアのグループCEO兼チーフアーキテクトであり、準々決勝ステージまでの試合に4万人の観客を収容できるアル・トゥマーマ・スタジアムを設計した。

「中東初のワールドカップということで、これに伴うマイルストーンはとても多く、また多くの人々にとって試合観戦は生活の一部です」とアル・ジェイダ氏は語った。

旅行客120万人の流入はカタールに170億ドルの経済効果をもたらすと見込まれている。(AFP通信)

「地球上の多くの人々にとっては生活の一部であり、今回は多くの人々が訪れたことのない地域に人々を呼び寄せることになります。この地域、湾岸諸国がこのイベントのために自然な形でまとまっているのが感じられます」

カタールに向かう多数のサッカーファンに対応するために、主催者はすでに2隻のクルーズ船をリースし、砂漠に1,000以上のテントを張る計画を立てている。また、マスカット、リヤド、ジェッダ、クウェート市など、ドーハと他の地方都市を結ぶシャトルサービスも開設されている。

観客を試合に送迎するデイフライトの開始は、特に近隣のオマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦で、地元の航空会社、ホテル、ホスピタリティ施設のために豊富なビジネスを生み出すことが期待されている。

2022年FIFAワールドカップ・カタール大会のCEO、ナセル・アル・カーター氏によると、2022年ワールドカップは、カタールおよびより広い地域の両方で、トーナメントを超えた前向きで持続可能な変化を推進するチャンスとなる。(提供写真)

「サウディアは特別便を宣伝しており、最大定員の宿泊客を受け入れる準備が整っているオマーンも同様です」とアル・ジェイダ氏は述べた。

「空はすべての航空会社に開放されています。ドーハとドバイの2都市間には1日60〜80便のフライトがあり、人々が簡単に通えるように、まぎれもない空の橋を構成しています。これらすべてが湾岸諸国の間に驚異的な勢いを生み出しています」

ドバイはワールドカップの「主要なゲートウェイ」となり、自国の首都ドーハよりもこの首長国を経由してカタールに入国する人々の方が多くなる可能性がある、とドバイ空港のCEOであるポール・グリフィス氏は先日、ブルームバーグ・ニュースに語った。

「カタールのホテル収容人数はかなり限られており、ここでは非常にたくさんのものを提供できます」とグリフィス氏は付け加えた。

実際、アラブ首長国連邦のホスピタリティ部門では、数か月前からホテルの部屋は予約で埋まっている。7月には、同国内のホテル料金が20%上昇し、多くの業界の専門家は大会期間中の稼働率は100%に達すると見込んでいる。

旅行会社も需要の急増に乗じて対応している。UAEに拠点を置くExpat Sport社は、空港との移動手段を提供するFootball Fans Dubai Experienceパッケージを宣伝している。

「当社のFootball Fans Dubai Experienceにおける国際的な需要が最も高いのは英国、南米、メキシコ、インド、中国です」とExpat Sport社のエグゼクティブディレクターであるスー・ホルト氏はアラブニュースに語った。

カタールは国土が狭いため、宿泊施設の数が限られており、今年3月の時点ではわずか3万室のホテルしか提供されていない。(AFP通信)

「サウジアラビアからも、大会の初期段階にドバイに滞在し、特定の試合のために毎日のシャトルフライトを利用したいという人々からの問い合わせが多数寄せられています。The opening weekendは当社で一番人気のパッケージで、利用可能なすべての部屋はほぼ完売しました」

ホルト氏は、スポーツ観光は特に収益性が高いと述べる。それは「1人で旅行するのではなくグループになる傾向がある」からだ。

533室を有し、市内のヤシの形をした島にある巨大な新しいラグジュアリーホテル、NHドバイ・ザ・パームをはじめ、ドバイ周辺にはファンゾーンが設置される。サッカーをテーマにした同ホテルは、ドーハまで40分のフライト利用をいとわない旅行客が宿泊する。

湾岸地域全体が航空旅行、観光、ホスピタリティ産業の飛躍的な発展を期待している。(AFP通信)

「この地域でこのような重要なイベントが開催されることは、間違いなく、ドバイを中心とするUAEに多くのサッカーと収益をもたらすでしょう」と、ドバイのGates Hospitalityの最高経営責任者および創設者であるナイム・マッダド氏はアラブニュースに語った。

「ワールドカップのチケットがあれば、マルチエントリービザを利用できます。これにより、ロケーションがとてもよい(そして空港から十分近い)シティホテルに多くの追加収入がもたらされる可能性があります。とはいえ、市内全域の飲食店にも同様の効果が期待されています」

旅行客の流入と地元ビジネスへの恩恵を期待しているのは、アラブ首長国連邦の商業資本だけではない。オマーンの首都マスカット、サウジアラビアの都市ジェッダとリヤドも、旅行客の増加に備えている。

両国は、この大会に合わせてフェスティバルを開催しており、旅行手続きを合理化する計画を説明している。たとえば、フラッグキャリアのオマーン航空は、カタールに旅行するサッカーファンに特別運賃を用意している。一方、カタールのハヤカードに登録していれば、サウジアラビアのマルチエントリービザを申請することもできる。

ハヤカードは、ワールドカップ参加者のためにカタール政府が発行したファンIDだ。このカードは通常の入国ビザに代わるものだが、大会期間中のみ有効となる。

また、Travel-itなどサウジアラビアの旅行業者は、大会期間中により広範囲な地域を探索したいと思っているサッカーファンのための特別な旅程を宣伝している。

「Travel-itは、今年の冬にカタールで開催されるワールドカップに参加するファンに当社の旅程を活用する機会を提供することで、サウジアラビアの観光を強化することを目指しています」と、同社の広報担当者はアラブニュースに語った。

オンラインの旅行・観光プラットフォームであるTravel-itは、サウジアラビアとカタール間の航空および陸上のシャトルサービスとともに、サウジアラビア東部州のアル・アハサー・オアシスやその他の地域への旅行も提供している。

また、Travel-itなどサウジアラビアの旅行業者は、大会期間中により広範囲な地域を探索したいと思っているサッカーファンのための特別な旅程を宣伝している。(AFP通信)

「これにより、サウジアラビア近隣の観光地を探索し、豊かな地元文化に浸ることができます」と広報担当者は述べた。「加えて、カタールはサウジアラビアに近いため、ファンは両国の目的地を組み込んで旅を広げることができるのです」

ワールドカップは、この地域全体が自らの権利を持って、必見の観光地という地位を自ら確立するための二度とないチャンスを提供する。

「何よりも、このトーナメントは中東と湾岸地域の認知度を高めることになるでしょう」とアル・ジェイダ氏は述べた。「非常に多くの観光客がこの地域を訪れたことはありません。おそらくまったく意識していなかったでしょうが、このイベントはこの地域を一つにまとめるでしょう。

「ワールドカップはこの地域の魅力を高め、2020年ドバイ国際博覧会とドーハのワールドカップに続き、私たちの可能性が、ここに無限にあるということを世界に示すでしょう。次に何があっても、私たちには準備ができています」

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