Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 日本
  • コロナウイルスへの対応を見る限り、日本は相変わらず緊急時に「思考停止」に陥る国だと、福島第一原発の事故調査委員が語る

コロナウイルスへの対応を見る限り、日本は相変わらず緊急時に「思考停止」に陥る国だと、福島第一原発の事故調査委員が語る

2012年7月5日、東京で行われた記者会見に臨む、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の黒川清委員長。(AFP)
2012年7月5日、東京で行われた記者会見に臨む、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の黒川清委員長。(AFP)
Short Url:
12 Mar 2020 01:03:07 GMT9
12 Mar 2020 01:03:07 GMT9

2011年の東日本大震災と原発事故から9年が経過した。しかし、コロナウイルスの流行に対する政府の対応を見る限り、今でも政府は後手後手の危機管理しかできていないと、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の元委員長が警鐘を鳴らす。

黒川清氏が委員長を務めた東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は、同事故は人災だったとし、その原因として規制の不備と政府による対応の不手際を挙げた。

リーダーシップを欠いた国会、そして不測の危機に適応できないお役所仕事によって、同じようなシナリオが現在進行中であると、黒川氏はロイター通信とのインタビューで述べた。

「法律にどうすべきか書いていない場合、何か事が起きると、彼らの脳は思考停止に陥るのです」と黒川氏は言う。同市は現在、政策研究大学院大学で名誉教授を務めている。

2011年3月11日の地震と津波が原因で、東京から北東220km(130マイル)に位置する東京電力福島第一原子力発電所で、チェルノブイリ以来世界最悪の原発事故が発生した。

安倍晋三首相に対しては、コロナウイルスの発生直後にはリーダーシップに欠け、その後は流行阻止のために過剰な対策を講じているとの批判が向けられている。例えば対策の1つとして実施した休校によって、子育て世代やその雇用主が対策に追われているのだ。

日本ではコロナウイルス感染症の患者は1,278人報告されており、そのうち19人が死亡している。

国会では今週、法律が改正される見込みで、必要に応じて安倍首相はコロナウイルスに関して非常事態宣言を発令できるようになる。そうした法律を運用するにあたっては、政府官庁にもノウハウと準備が必要だと、黒川氏は指摘する。

「この法律を効果的に運用するには、福島の事故であれ伝染病であれ、追うべき手順というものがあります」と同氏は言う。「でも非常時にはそうした手順をどのように追えばいいのでしょうか。日本の官僚にはその経験が全くないように思います」

日本が抱える1つの弱みとして、コロナウイルスの検査件数が比較的少ないままであることが挙げられる。厚生労働省は毎日6,000件以上の検査が可能な体制を構築したが、実際には1日あたり平均で900件前後しか検査が行われていないのだ。

それに比べて、少なくとも7,755人の感染と63人の死亡が確認されている韓国では、ドライブスルー形式での検査を実施しており、教団で発生した集団感染への対策として、約200,000人をすでに検査済みだ。

厚生労働省大臣官房総括審議官を務める佐原康之氏は、記者会見の場で、こうした日本の対応を弁護した。政府の狙いとは、患者が「大量に病院に駆け込む」ことで重症患者の治療に支障が出るのを防ぐことであるとのことだ。

医師であり2006年から2008年にかけて内閣官房内閣特別顧問を務めた黒川氏は、今回のウイルスへの日本の対応に関する懸念を払拭するには、透明性を向上して感染を心配している患者全員に検査を実施する必要があると言う。

「(コロナウイルスに感染している)可能性が合理的に疑われる患者が受診して、検査を望んでいる場合には、無条件で検査を実施すべきです」と同氏は言う。「その費用はどうするのかと聞く人もいるでしょう。でも検査をしないと、後々もっと大きな代償を払うことになるのです」

ロイター通信

特に人気
オススメ

return to top