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岸田首相、「裏金」解明後ろ向き=論点のずれ鮮明―野党は証人喚問要求〔潮流底流〕

「クリーンな政治」を掲げる公明党からも不満が漏れる。(AFP)
「クリーンな政治」を掲げる公明党からも不満が漏れる。(AFP)
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29 Feb 2024 10:02:53 GMT9
29 Feb 2024 10:02:53 GMT9

現職首相が初めて出席した29日の衆院政治倫理審査会。岸田文雄首相(自民党総裁)は国民の信頼や「改革」の重要性を強調する一方、派閥の政治資金パーティー裏金事件の解明には後ろ向きな姿勢に終始した。真相究明を迫る野党との論点のずれは鮮明で、野党は関係者の参考人招致や証人喚問を要求するなど反発を強めた。

◇安倍派に「範」示す

「後来(こうらい)の種子、いまだ絶えず。今の政治を未来の世代に自信を持って引き継ぐことができるか。誠に申し訳ない」。冒頭の弁明の際、首相は幕末の思想家・吉田松陰の言葉を引用して陳謝した。

政倫審が開かれた第5委員室には、議員在職25年を記念した故安倍晋三元首相の肖像画が飾られている。安倍派幹部らが尻込みした公開審査に自ら打って出た首相にとって、この日は「勝負の舞台」(側近議員)。安倍氏も引用した松陰の言葉を用いることで、「範を示そうとした」との見方がある。

首相は答弁で、政治資金規正法違反に関して議員本人の責任を問う「連座制」に前向きな考えを表明するなど一定の前進も見せた。ただ、日本維新の会の藤田文武幹事長が安倍派の裏金づくりの仕組みをただしたのに対しては「残念ながら経緯や(始まった)日時等は確認できないのが現状だ」と開き直った。

安倍派の裏金づくりを巡っては、首相在任時を除いて1998~2006年に会長を務めた森喜朗元首相が何らかの事情を知っているとの見方が根強い。しかし、首相は自民党が森氏を聴取しなかった理由について「森氏が直接関わったという発言があったとは、報告を受けていない」と素っ気なかった。

実態解明への首相の消極姿勢は昨年末まで会長を務めてきた岸田派に関しても同じだった。立憲民主党の野田佳彦元首相が、公表された17年よりも前から政治資金収支報告書の不記載があったのではないかと追及したのに対し、首相は「資料がないので確認できない」などと逃げの答弁を重ねた。

◇「甘く見ている」

立民など野党は政倫審に際し、自民党派閥の裏金づくりが(1)いつからか(2)誰の指示か(3)総額はいくらか(4)使途は何か―の4点を明らかにすることを目指した。

首相の答弁について、立民の泉健太代表は「何の新しさもない。本当に時間の無駄だ」と党会合で酷評。維新の藤田氏は記者団に「首相には事実を明らかにする意思が全く感じられない」と指摘した。共産党の穀田恵二国対委員長は「(自民の)報告書の内容をなぞっているだけ。何ら前進はない」と切り捨てた。

「クリーンな政治」を掲げる公明党からも不満が漏れる。同党関係者は審査会後、「自民党は国民感情を甘く見ている」と断じた。

1日の政倫審では、立民の枝野幸男前代表が安倍派事務総長経験者の西村康稔前経産相と松野博一前官房長官に質問する予定。ただ、野党にとって、質疑時間が短く、偽証罪もない政倫審は追及の第1段階との位置付けだ。

泉氏は記者団に「あすも(審議に)期待できない可能性がある。次もあり得る」と述べ、参考人招致や証人喚問の必要性を強調。維新中堅も「これでは証人喚問という話になるだろう」と語った。

時事通信

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