• スカイニュース司会者は、ツィッピー・ホトベリー大使に「なぜそう言えるのか」と問いを投げかけた
• ホトベリー氏の主張は現地NGOの報告と食い違っている

アラブニュース

ロンドン：イスラエルのツィッピー・ホトベリー駐英大使は、ガザ地区への軍事攻撃が予想されるなか、同地区に「人道危機は存在しない」と、国連や世界保健機関（WHO）の報告と矛盾する発言を行った。

イスラエルは攻撃に先駆け、ガザへの水、燃料、電気、食料の供給を遮断した。イスラエルのヨアフ・ガラント国防大臣はこれを「完全包囲」だとし、「我々は野蛮な人間たちと戦っており、相手に即した行動を取っている」と述べた。

スカイニュースの司会者ケイ・バーリー氏はホトベリー氏に対し、「私は、今この瞬間に命を失いつつある罪のない市民たちについてお聞きしているのです。それに対してあなたは、それが人道の危機ではないと。なぜそう言えるのですか」ホトベリー氏は次のように答えた。「現在、人道危機が起きているのはイスラエルです」

国連および多数の人道グループが、面積わずか365平方キロメートルに200万人以上が暮らすガザ全域に破滅的状況が広がっていると警告を発している。

WHOの広報を務めるタリク・ジャサレヴィッチ氏は、イスラエルがこれほどの人数の民間人に対してこの短期間で移動を求めていることは多くのパレスチナ人にとって「死刑宣告」であり、「ガザ北部の脆弱な病院患者を避難させることは不可能」だと述べた。「医療従事者に対して（紛争地帯のなかで脆弱な患者たちを移動させる）よう求めるのは残酷極まりないことです」

カンタベリー大主教は、既に聖公会が運営するガザ北部のアーリ病院が他の医療施設と共にイスラエルのロケット弾攻撃を受けており、スタッフが負傷し患者はどこにも行き場がないと述べた。「彼らには医療物資が足りません。彼らは破滅的状況に直面しています」ジャスティン・ウェルビー大主教は声明でそう述べた。

ウェルビー氏は患者を安全に移送し人道支援物資を提供するための人道回廊設置を呼びかけている。アムネスティ・インターナショナルをはじめとする支援機関・グループも同じ要求を発している。

WHOの地域主任を務めるアフメド・アル・マンドハリ氏は、「移動可能な患者」が22カ所の医療施設からガザ南部へと避難したが、大半の患者は北部から動けず、正式な人道回廊は開かれていないと述べた。

ジャサレヴィッチ氏は、ガザの病院は「限界点」に達しており、北部のあらゆる主要施設が既存の収容能力を遥かに超えていると述べた。さらに同氏は、イスラエルによる医療施設への多数の攻撃が記録されていると続けた。

さらに医師らは、人工呼吸器や大量のエネルギーを消費する治療が必要な重体患者は、イスラエルからの燃料または電力が絶たれ、発電機の電力が減少しているなかで危機的状況にあると警告した。

国連のオブザーバーは、電力不足により今週中に病棟の稼働が停止し始める可能性があると警告している。

マーティン・グリフィス国連人道問題事務次官はXにて、「ガザの民間人の危機的状況は深刻化している」と述べた。

フィリップ・ラザリーニ国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）事務局長は、ガザ全体で既に42万3,000人以上が住居を失い、27万人以上がUNRWAの避難施設に滞在していると述べた。

さらにラザリーニ氏は、イスラエルによる移動命令は「前代未聞レベルの悲惨な状況を生み、ガザの人々をさらに深い奈落の底へと追いやることになるだけだ」と続けた。

ラザリーニ氏のUNRWAの同僚であるジュリエット・トウマ氏は、水の備蓄が急速に減っていると述べた。「ガザから水が失われようとしています」トウマ氏はAP通信に対してそう語り、国連の各チームが職員用に供給された水の配給を始めるまでに至っていると続けた。

UNRWA広報を務めるイナス・ハムダン氏は、多数の避難施設で「実際に浄水が底を突いて」おり、多くの人々が汚水を飲まざるを得ず、海水に手をだすケースまで出てきていると述べた。