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ヒズボラ指導者ナスラッラー師:より広範な中東紛争は「現実的な可能性」

ヒズボラ指導者のサイード・ハッサン・ナスラッラー師は、イスラエル・ハマス戦争の勃発以来初めて口を開き、中東におけるより広範な紛争が現実的な可能性となってると、3日に警告した。(スクリーンショット)
ヒズボラ指導者のサイード・ハッサン・ナスラッラー師は、イスラエル・ハマス戦争の勃発以来初めて口を開き、中東におけるより広範な紛争が現実的な可能性となってると、3日に警告した。(スクリーンショット)
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04 Nov 2023 03:11:35 GMT9
04 Nov 2023 03:11:35 GMT9
  • ナスラッラー師は10月7日のハマスの攻撃以来スピーチをしていなかった
  • ヒズボラは国境でイスラエルと衝突してきた
  • レバノンおよびより広範な地域でスピーチが期待されていた

ベイルート: ヒズボラ指導者のハッサン・ナスラッラー師は3日に、自身の強力な武装組織は既にレバノン・イスラエル国境沿いで、国境をまたいだ前例のないイスラエルとの戦闘に従事していると述べ、4週にわたるイスラエル・ハマス戦争が激しさを増す中、さらなる激化を警告した。

10月7日のパレスチナ武装組織ハマスによるイスラエル南部への苛烈な襲撃をきっかけとする戦争の開始以来初となった、テレビ放送された発言の中で同氏は、自身が率いるレバノンの武装組織ヒズボラが全面的に紛争に参加すると発表することまではしなかった。

ナラッラー師はまた、ガザの武装組織ハマスの支配者らと同盟を結ぶヒズボラは、現在の戦争に関わるなという米国の警告にひるみはしないとも述べた。また、地域への米軍の展開に言及し、地中海にいる米国の戦艦は「我々を恐れさせない」と述べた。

ヒズボラはあらゆる選択肢をとる準備ができており、「我々はいつでもそれらを用いることができる」と、ナスラッラー師は警告した。レバノン・イスラエル国境における戦闘はこれまでに見られた規模に「限定されない」と、同氏は加えて述べた。

レバノンの武装組織ヒズボラとイスラエル軍の間でのレバノン・イスラエル国境における数週にわたる限られた交戦を経て、同氏のスピーチは、イスラエル・ハマス紛争が地域戦争に発展するかを占うものとして地域全体で広く期待されていた。

「私が戦闘に参入したと発表しようとしていると言う人々もいる」と、ナスラッラー師は3日に述べた。「我々は10月8日に既に戦闘に参入した」。同氏は、ヒズボラの国境をまたいだ攻撃が、それがなければガザのハマスに集中するはずのイスラエル軍を引き離してきたと主張した。

レバノンの首都ベイルートの南郊で、数千人がビデオリンクを通じて巨大スクリーンで放映されるスピーチを観ようと広場に詰めかける中、祝いの発砲音がベイルートに鳴り響いた。

ナスラッラー師による支持者への演説の前日には、戦争開始以来のヒズボラとイスラエル軍によるイスラエル・レバノン国境における衝突が、最も著しい激化をみせており、演説当日には米国の外交トップによるイスラエル訪問が行われた。

イスラエル軍がガザ市の包囲網を狭める中、米国のアントニ-・ブリンケン国務長官は、ハマスとの戦闘における民間人の保護を求めるためにイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した。

ナスラッラー師は、農村、町、軍事拠点を攻撃し、イスラエルで1,400人以上を殺害した、ハマスによる前例をみないイスラエルへの襲撃を称賛した。

「この素晴らしい大規模作戦は完全にパレスチナ人の計画および実行の結果だ」と、ナスラッラー師は述べ、ヒズボラがこの攻撃に関与していないことを示唆した。「高度な秘密厳守がこの作戦を素晴らしい成功に導いた」

同氏はまた、10月7日が「イスラエルが蜘蛛の巣より弱いことの証明」となっているとして、戦争開始から1か月を経て、同国は「いかなる成果も得られていない」と言われていると述べた。

ナスラッラー師はまた、民間人を主とする9,000人以上の死者を出しているイスラエルのガザへの爆撃に対する米国の強固な支援を非難した。米国政府高官らはここ数日、より公然とガザの民間人保護を促しているが、まだ停戦を呼びかけてはいない。

ヒズボラの指導者である同氏は、ジョー・バイデン大統領は「ハマスが子どもたちの頭を切り落としたという偽りの主張を証拠なく」しているが、イスラエルの爆撃により「首を切断され、手足をもがれたガザの数千人の子どもたちに関しては沈黙を続けている」と述べた。

ハマスの指導者らは、時に公然と、ヒズボラにこの中東戦争への関わりを深めるよう求めてきている。ナスラッラー師は先週ベイルートで、ハマス幹部のサレハ・アルアロウリ氏、同盟組織イスラム聖戦のジアド・ナハラ氏と会談した。

しかし、ヒズボラ幹部は具体的なレッドライン(越えてはならない一線)を公に示すことを避けており、ハマスが敗北寸前にあるとみれば参戦すると、漠然と述べている。これまでのところヒズボラは、イスラエル軍をレバノン国境で手こずらせるが、全面戦争を誘発するまでには至らない程度の計算された措置をとっている。

イスラエル軍は、3日時点で北部国境において自軍の兵士7人と民間人1人が死亡していると発表した。国境をはさんだレバノン側では、ヒズボラ戦闘員50人以上と同盟組織の戦闘員10人のほか、ロイターのジャーナリスト1人を含む民間人10人が死亡した。

イスラエルは、イランが支援するレバノンのシーア派武装組織ヒズボラを最も深刻かつ差し迫った脅威とみなしており、ヒズボラはイスラエルを狙う約15万発のロケット弾とミサイルのほか、ドローンと地対空および地対艦ミサイルルを保有していると推定している。

しかし、ヒズボラにとって全面戦争は代償が大きいものでもある。ヒズボラは2006年に34日間のイスラエルとの戦争を経験しており、この戦争は引き分けに終わったものの、イスラエルの爆撃によりレバノン南部、東部ベッカー高原、ベイルート南郊の広範囲が瓦礫と化した。

また、新たな全面戦争は、数十万人のヒズボラ支持者に避難を強いることになり、レバノンが4年間の歴史的経済破綻の苦境にある中で広範なダメージをもたらすだろう。

AP

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