• 「国王は国際援助コミュニティに、役割を果たし、残酷な戦争に耐えるガザの人々を救うよう求めた」と、匿名を希望するある代表が述べた
• 「ガザの人々は今、持続的な停戦を必要としている」と、国境なき医師団のインターナショナル会長はいう

アンマン/ラファ：ヨルダンのアブドッラー国王は30日に、国連の援助関係者および国際組織に対し、人道状況が悪化していく包囲された飛び地ガザへのより多くの援助物資搬入を認めるようイスラエルに圧力をかけることを求めたと、関係者と援助活動従事者が述べた。

国王はアンマンで行われた国連関係者、西側の非政府組織（NGO）のトップ、アラブの寄付者の代表による緊急会合において、イスラエルが十分な援助の流入を妨げ続けることは容認できないと述べた。

王宮側の要請に従って内密に協議が行われたために匿名を希望するある代表は、「国王は国際援助コミュニティに、役割を果たし、自分たちの土地を住めない場所に変えた残酷な戦争に耐えるガザの人々を救うよう求めた」と述べた。

人質と囚人の解放を中心に据えたイスラエルとハマスの一時的停戦のおかげで、230万人が暮らす人口密集地域であるガザへの援助の搬入は過去6日間に大幅に増えた。しかし、食料、水、医療物資、燃料といった救援物資の搬送は必要な量に遠く及んでいないと、ある援助活動従事者はいう。

「ガザの人々は今、持続的な停戦を必要としている。それが、無差別の殺戮や市民の負傷をとめて、切実に必要とされる人道援助を有意義な規模で届けられるようにする唯一の方法だ」と、国境なき医師団（MSF）のインターナショナル会長であるクリストス・クリストゥ氏は述べた。

「我々は既に破滅的規模の人道危機を目撃しており、狂暴な猛攻が再開されれば、状況は悪化する」と、同氏はアンマンで記者らに述べた。

イスラエルが自国との境界からの援助の搬入を許可していないため、物資は空輸および陸輸でエジプトのシナイ半島に運ばれ、ラファ検問所を通ってガザに届けられる。

30日に赤新月社の作業員らは、シナイ北部のエル・アリーシュ空港で最近届いた援助物資の荷下ろしと仕分けを行っていた。ロイターの記者は、コンテナーや平台トラックがラファに通じる道路の脇で長い列をなしているのを目にした。

イスラエルは、ハマスの戦闘員が約1,200人を殺害し、200人以上の人質を連れ去った10月7日のイスラエル南部への襲撃を受けて、ガザに爆撃を行ってきた。

ガザの保健当局によれば、イスラエルの攻撃による15,000人以上の死亡が確認されており、その約40%は子どもで、もっと多くの人々が死亡し、瓦礫の下で発見されないままになっているとみられる。

イスラエルとガザの境界は10月7日のガザからの攻撃を受けて運用不能になっていると、イスラエルの関係者は述べた。イスラエルは以前、ヨルダンからの貨物を含む、エジプトからガザへ運び入れる援助物資の量を増やすよう求めていたと、匿名を希望するこの関係者は述べた。

国境の封鎖

アンマンでの会議に参加した国連の援助責任者であるマーティン・グリフィス氏と、UNRWAの幹部らは、イスラエルが、戦争前にガザに入るトラックの積み荷の60%以上をさばいていたケレム・シャローム国境検問所を再開することが極めて重要だと、代表者らに述べた。

ラファ検問所は、道路の狭さと処理能力の限界により、1日に200台以上のトラックをさばくことができない。
「戦争前は毎日500台のトラックがガザに入っていた。10月7日以来、この台数に近付いたことはない」と、パレスチナ人に援助を提供する国連の援助機関であるUNRWA の広報責任者、ジュリエット・トーマ氏は述べた。

ラファを通って援助物資を運ぶトラックは、まずイスラエルのNitzanaとエジプトのAl-Awjaの間にある検問所でイスラエルによる検査を受けなくてはならない。限られた量だけの燃料の搬入を許可し、軍民両用物品とされる物資が搬入されるのを防ぐためだ。

イスラエルによるガザに入る物品の量と種類の管理のせいで、援助活動が制限されており、限られた量の燃料の搬入しか認められていないために、医療体制の復旧が妨げられていると、医療・援助活動従事者らは語った。

国境のエジプト側のトラック運転手らは、時にはNitzanaの検問所で検査完了まで数日待たされることもあるという。

各NGOと国連の関係者らは、ヨルダン国王から、ガザ北部での援助の提供を加速させるようにという要請も受けた。ガザ北部では、依然としてアクセスが限られており、大半の水製造プラントは燃料不足のため停止したままだと、国連は述べている。

ロイター