• ロシア特使、パレスチナ問題の正当な解決なしには「この地域は常に時限爆弾となる」と警告
• 地域で起こることはイエメンに影響を与え、イエメンで起こることは地域に影響を与えうる」ハンス・グルンドベルグ特使、安保理で語る

ニューヨーク：紅海におけるフーシ派の攻撃の激化が長引けば長引くほど、イエメンの和平プロセスを仲介するプロセスはより複雑になるだろうと、国連は木曜日に警告した。

国連関係者は、イエメンの紛争当事者が「危険な軍事的無謀」に走り、イエメンを新たな戦争の連鎖に巻き込むことに懸念を表明した。

国連のイエメン担当特使であるハンス・グルンドベルグ氏は、安全保障理事会で同国と紅海の最新情勢について討議した際、「ガザ紛争以来、我々は和平プロセスを地域の動きから遮断しようとしてきたが、現実には（地域で起きたことが）イエメンに影響を及ぼし、イエメンで起きたことが地域に影響を及ぼす可能性がある」と述べた。

「現在の軌跡は深刻な懸念の原因となる」と付け加えた。

11月以来、イランに支援されたフーシ派は紅海とアデン湾の船舶を標的にしており、イスラエルがガザ戦争を終結させるまで攻撃を続けると宣言している。アメリカとイギリスは、フーシ派支配地域への軍事攻撃を開始することで報復している。

3月7日、アデン湾でフーシ派がバルバドス船籍の商船を攻撃し、フィリピン国籍の2人とベトナム国籍の1人が死亡、乗組員数人が負傷した。これらは、同グループによる最近の海上交通への攻撃によって引き起こされた最初の死者であった。

これに先立ち、フーシ派はベリーズ船籍の英国所有の貨物船ルビーマールを対弾道ミサイルで攻撃し、今月初めに沈没させた。同船は21,000トンの肥料を積んでいたため、沈没によって紅海のサンゴ礁や海洋生物など、生態系にダメージを与えるのではないかという環境保護上の懸念が高まった。

「紅海はいまや、エスカレーションの同心円の一部となっている」とグルンドベルグ氏は、ガザ紛争がさらに波及する危険性について再び警告した。彼はイエメンのすべての当事者に対し、「最大限の自制」を行使し、イエメン国内の紛争を緩和するよう促し、「ガザにおける人道的な即時停戦」を求める国連の要請も繰り返した。

イエメン国内では、2022年4月の国連仲介による停戦以前に比べれば、敵対行為は比較的低いレベルにとどまっているものの、グルンドベルグ氏は、フダイダ、ラヒ、マアリブ、サアダ、シャブワ、タイズでの最近の衝突を取り上げた。

「当事者はまた、戦争に戻るという公の脅しを続けている。私が話をした多くのイエメン人は、内戦の激化を恐れている。我々はこれを防ぐためにできる限りのことをしなければならない」

グルンドベルグ氏は、イエメンでの停戦合意を達成し、和平のための政治プロセスを開始するための努力に焦点を当てていると付け加えた。

国連人道問題調整事務所（UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs）のエデム・ウォソヌ運営・アドボカシー部長は、2022年の停戦以来の進展が「崩れ去る危険がある」と警告した。

彼女は理事会メンバーに「食糧不安と栄養失調のレベルはここ数カ月で急上昇し、特に女性や子供など、何百万人もの人々の生活と幸福に現実的かつ増大する脅威をもたらしている」といった。

1,780万人近くのイエメン人が生きるために人道支援を必要としており、今年、急性栄養失調の治療を必要とする5歳未満の子どもは500万人にのぼる。この悲惨な健康状況を受けて、世界保健機関（WHO）は、脆弱なイエメンの保健システムは過重な負担を強いられており、”崩壊に近づいている “と警告した。

ウォソヌ氏は「原因はよく知られているように、紛争、長期化する経済危機、そしてますます深刻化する資金不足であり、人道支援に大きな影響を与えている」と述べる。

ルビーマール号のような紅海での船舶に対する攻撃は、「生存を漁業に依存する沿岸地域の何千人もの人々の生活に直接的・間接的な影響を与える」可能性がある。

「この事件は、イエメンとその周辺におけるエスカレーションの拡大がもたらす重大なリスクを物語っている」

国連のマーティン・グリフィス人道問題担当部長の代理として、ウォソヌ氏は、イエメンのすべての当事者に対し、「国際法を遵守し、状況を悪化させるような行動を慎むよう」国連が呼びかけていることを繰り返した。

イエメンのアブダラ・アル・サーディ国連常駐代表は、「フーシ派はイエメン国民とその願望に対する軍事的エスカレーションと戦争を止めなければならない。彼らは地域の国際平和と安全に対する脅威を終わらせなければならない。私たちは、平和への願望を取り戻すための希望を新たにしなければならない」と訴えた。

日本の山崎和之国連常任代表は、フーシ派による海上交通への攻撃を強く非難し、「世界の通商を妨げ、航行の権利と自由、そして地域の平和と安全を損なっている」「言語道断で正当化できない」行為だと述べた。

「フーシ派は商業船への攻撃をやめ、日本が運航する（貨物船）ギャラクシー・リーダーとその乗組員25人を直ちに解放しなければならない。フーシ派はまた、海洋安全保障、環境、罪のない一般市民に対する更なる脅威を控えるべきである」と山崎氏はつづけた。

ロシアのドミトリー・ポリアンスキー国連副代表は、国際社会に対し、イスラエルによるガザ地区での軍事行動を終わらせる努力を続けるよう求めた。

「この問題を解決することが、紅海だけでなく、イスラエルの行動が正当な怒りと憤りを引き起こしている中東の他の地域の状況を安定させる鍵になる」と彼は理事会メンバーに語った。

「長年解決されていないパレスチナ問題も影響を及ぼしている。合意された国際的な法的パラメーターに基づく正当な解決策がなければ、この地域は常に時限爆弾となる」

「ここで砂の中に頭を埋めることは適切ではなく、地域レベルだけでなく世界レベルでも状況を不安定にしかねない。ロシアは、それを防ぐために必要なあらゆることを行う用意がある」と述べた。