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ウイルスが軟調なトルコ経済を脅かす

コロナウイルスのパンデミックは世界の主要経済大国に影響を与えている。(資料写真/ロイター通信)
コロナウイルスのパンデミックは世界の主要経済大国に影響を与えている。(資料写真/ロイター通信)
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01 Apr 2020 12:04:11 GMT9
01 Apr 2020 12:04:11 GMT9
  • トルコのウイルス感染者数は1万827人、死者数は168人となったが、状況はさらに悪化する懸念がある
  • レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は今月これまでに、経済を下支えするための150億ドルのパッケージを発表した

アンカラ:トルコ経済は、景気後退から立ち直りつつある最中に新型コロナウイルスが猛威を振るい、政府は数十億ドル規模の景気刺激策で早急に被害を封じ込めようとし、さらに多くの対策を打つ必要性に直面することになっている。

トルコのウイルス感染者数は1万827人、死者数は168人となったが、状況はさらに悪化する懸念がある。

レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は今月これまでに、経済を下支えするため、事業者を対象とした減税策や低所得世帯を支援する措置を含む150億ドルのパッケージを発表した。

実業界のリーダーやアナリストらは、トルコ政府の措置が企業に恩恵をもたらすという見解で一致している一方、専門家らは失業率の上昇や成長の落ち込みに警鐘を鳴らしている。

専門家らはまた、何十万人もの人々を雇用している観光業に壊滅的影響が出る可能性も指摘している。

問題は、感染拡大前、2018年の通貨危機後、経済がほんのわずかにしか成長していなかったということだ。

格付け機関ムーディーズは、2020年、「第2四半期および第3四半期のGDPが約7%累積的に縮小したトルコが、G20加盟国の中で最も大きな影響を受ける国になる」と見込まれると述べた。

しかし、つい先日の3月19日まで、ベラト・アルバイラク財務大臣は「今のところ経済に対するリスクは見られない」と述べており、2020年に5%という野心的な成長目標の達成を目指していた。

「ショックは、夏にかけて、観光関連業界に大きな打撃を与えることになるだろう」と、ムーディーズは付け加えた。昨年、観光収入は17%上昇して345億ドルに達し、一方の観光客数も14%近く上昇して約5,200万人となった。

アンカラの屋外市場では、住民らが失業の心配をする一方、商売人らは家計が何とか回り続けるのか、心配していた。

野菜を販売している商売人のメフメト・アルスラーンは、1月当たり65人を超える顧客が自宅に留まるように言われているため、状況は「難しい」と語った。

「この仕事ができなければ、我々はどうやって生きて行けるというのか?」と、35歳の彼は問いかけた。

別の商売人は、売上が70-80%減少したと語った。

失業率は2019年、2019年の11%から13.7%へと上昇し、一方の物価上昇率は先月12.37%となった。

失業者の中でも特に、44歳のビルゲ・ジェイハンが、感染拡大に悩まされていると語った。

「どうやって求職活動を続ければいいのでしょう?この後、就職市場はどうなるのでしょう?」と、ジェイハンは語り、貯蓄は永遠には続かないと付け加えた。

シンクタンク、グローバルソースのアナリスト、アティラ・イェシラダは、トルコ政府の措置は今のところ他の国々と足並みを揃えているものの、「私や他の専門家が思い浮かべているような見通しを考慮すれば、極めて不適切だ」と語った。

店の閉店が増加するにつれて、失業者も増加する可能性があると、彼は警鐘を鳴らし、政府に対し、より簡単に財政支援を行うよう助言した。

3月中旬、政府は15万近くの事業者が一時的に休業したと発表した。

「アメリカのやり方は最も安全な方法です:つまり、小切手を書くから、つべこべ言うな、というやり方です」と、イェシラダは述べた。「これは、失業が経済の他の部分に悪影響を与えないようにするために行っているのです」。

エルドアンは先週、当初のパッケージが従業員よりも事業者を支援するものであるという批判を受けて、最低賃金で働く人々を支援するための11億ドルを含む追加対策を発表した。

また、200万件の低所得者世帯にも1,000リラ(155ドル)を給付するとも述べた。

ベラト・アルバイラク財務大臣は、雇用を守るために、事業者が申請できる雇用支援制度も用意されると語った。

政府の予算は昨年「気前よく」支出されたとイェシラダは述べ、トルコ政府には現金がなく、結局はお金をさらに発行せざるを得なくなると付け加えた。

これにより今度は、インフレがさらに進むことになる。

しかし、トルコには国際通貨基金に資金提供を要請する選択肢があると、同アナリストは述べた。エルドアンはこれまでに、これを回避することを約束している。

トルコ最大の家族経営の投資会社エサス・ホールディングのチャガタイ・オズドグルCEOは、同国は若年層人口や危機の経験などを含め、他の国より良い立場にあり、「有利」だと語った。

国内需要は堅調だと、彼はAFP通信に語り、店が再び開き始めれば、顧客は通常の消費に戻って来ると付け加えた。

しかし彼は、トルコには西洋の経済大国が立ち直ることも必要で、これには「一定の時間がかかる可能性がある」と示唆した。

トルコの成長は、再び回復するまでに、短期的には下落することになるだろうと、オズドグルは付け加えた。

「これは前例のない状況で、誰もが失敗を犯します。トルコ政府がやっていることの90%は、各国共通の戦略ですが、さらに手を打つ必要があります」と、イェシラダは呼び掛けた。

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