Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • カタールの放送局の2つの側面を浮き彫りにする『アルジャジーラのテロ』動画

カタールの放送局の2つの側面を浮き彫りにする『アルジャジーラのテロ』動画

ニューヨークにあるアルジャジーラ・アメリカのテレビ放送局スタジオの資料写真。(AFP)
ニューヨークにあるアルジャジーラ・アメリカのテレビ放送局スタジオの資料写真。(AFP)
Short Url:
26 Jul 2017 09:07:49 GMT9
26 Jul 2017 09:07:49 GMT9

Arab News

ロンドン:YouTubeに掲載、削除、そして再掲載された、アルジャジーラを非難するアラブ首長国連邦(UAE)の動画で、同局とそのアラビア語と英語版のサービスをめぐるメディア戦争に注目が集まっている。

この動画は、ドーハを拠点とするアルジャジーラを「テロリズムを誘発」しているとし非難するもので、どうやらある従業員の要請を受けて削除されたが、その後再びYouTubeに掲載された。

経緯は明らかになっていないが、この動画エピソードで浮き彫りになったのが、人々の間で普及している2つのまったく異なるアルジャジーラのとらえ方だ。 1つは過激派イデオロギーのプラットフォームというもので、もう1つはよりバランスの取れた国際的な放送局というものだ。

5分間のYouTube動画は、アルジャジーラのアラビア語版の録画セグメントをつなぎ合わせたもので、同局をテログループのプラットフォームとして紹介するメッセージが添えられている。

動画の映像として選ばれたクリップの1つは2015年のもので、視聴者の80%以上がダーイシュを支持しているとする投票結果を司会者が読み上げている。

どうやらアルジャジーラのプロデューサーから著作権侵害にあたるとする苦情が寄せられたらしく、動画全体がその後YouTubeから削除されている。のちに動画は再掲載された。

Googleが、著作権に基づき動画共有サイトからコンテンツを削除してほしいという、このようなリクエストへの対処方法について助言している。広報担当者は、「著作権所有者から著作権を侵害する動画について通知があった場合、法律に従い、コンテンツをただちに削除します。

ユーザーが通知への異議申し立てを提示し、その手続きで勝利した場合、著作権侵害の警告は解除されます」としている。

UAE外務省は、動画を2週間前に公開しており、同時に国連人権高等弁務官に手紙を送りアルジャジーラに対する懸念を示している。

この映像は、有料のGoogle広告リンク経由でも閲覧できる。これに対抗しアルジャジーラが制作した動画もあり、同局のアンカーやリポーターが、報道の自由を軸とした自分たちの要求を列挙している。

アルジャジーラは、カタールと、カタール政府のテログループ支持疑惑の延長線上にアルジャジーラがあると見る周辺4か国との間で繰り広げられる、悲惨な抗争の渦中に置かれているのだ。

UAE、サウジアラビア、バーレーン、エジプトは、6月5日にカタールと国交を断絶し、英語とアラビア語の放送サービスの風潮が著しく異なる同局の閉鎖を求めた。

「アルジャジーラの英語版とアラビア語版は職業上の基準に大きな差があり、残念ながら、カタールの外交政策でそれが利用されてきました」と、ベッドフォードシャー大学でメディア学教授を務め、『Voice of the Muslim Brotherhood』の著者でもあるNoah Mellor氏は言う。

アルジャジーラの英語版とアラビア語版の風潮やコンテンツの差違は、現在の難局が展開をみせた今年の夏よりもだいぶ前から、多数の評論家に指摘されてきた。

2011年にWashington Instituteが掲載した『Al Jazeera: One Organization, Two Messages』という記事には次のように書かれている。「アルジャジーラが、メディアの改革と自由の擁護者という新たなイメージに磨きをかける一方で、同局でもっとも人気のアラビア語のテレビ番組の1つが、原理主義団体Muslim Brotherhoodの伝道師Sheikh Yusuf Al-Qaradawiによるものなのです。彼のキラリと光る微笑に伴うのは、「反イスラム」メッセージの抑圧を支持する言葉がちりばめられた、憎悪に満ちた反米・反ユダヤの辛辣な批判です。

「アルジャジーラ英語版には問題がないというわけでも、アラビア語版はまったくの欠陥だというわけでもなく、要するにそれぞれが伝えるメッセージがしばしば異なるということです」

アラブニュースはコメントを求めてアルジャジーラに接触を試みましたが、回答を得ることはできませんでした。

特に人気
オススメ

return to top