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「#MeToo」運動が再度浮上し、エジプトはオンライン上の女性の自由に取り組んでいる

7月27日、ハニーン・ホサム被告(左)とモワダ・アル・アドハム被告(右)と他の3名が、動画共有アプリTikTokに投稿したコンテンツで風紀を乱したとしてそれぞれ禁固2年の判決を言い渡された。(AFP)
7月27日、ハニーン・ホサム被告(左)とモワダ・アル・アドハム被告(右)と他の3名が、動画共有アプリTikTokに投稿したコンテンツで風紀を乱したとしてそれぞれ禁固2年の判決を言い渡された。(AFP)
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03 Aug 2020 01:08:15 GMT9
03 Aug 2020 01:08:15 GMT9

カイロ:復活した#MeToo運動が男性の性暴力を非難するなかでTikTokの若いインフルエンサーたちが投獄され、エジプトではSNSが女性の権利のための新たで危険な戦いの場と化している。

7月27日、ハニーン・ホサム被告、モワダ・アル・アドハム被告ほか3名の合わせて5名の女性SNSインフルエンサーたちは、動画共有アプリTikTokに投稿したコンテンツで風紀を乱したとしてそれぞれ禁固2年の判決を言い渡された。

国際的デジタル人権団体「アクセス・ナウ」は彼女たちを、「全員が女性で、全員が若く、全員がオンライン上で表現の自由の権利を行使しただけだ」と説明した。

そのわずか2日後に、裁判所は別の若いSNSインフルエンサーであるマナー・サミー被告に、ダンスをしたり口パクでポピュラーソングを歌ったりした短い動画が「無節操を誘発している」として禁固3年を言い渡した。

伝統的なこの国の価値観が、猥褻で性的暗示だとみなされるオンライン上のコンテンツと衝突するなかで、極度に保守的なこの国では多くの人々がこれらの逮捕に喝采を送っている。

「エジプト政府は、『エジプト家庭の価値観』を乱し『無節操や不品行を誘発している』として、TikTokの女性インフルエンサーたちを逮捕・起訴する活動を始めています」とアクセス・ナウは声明で述べた。

エジプト当局は「市民たちの発言のみならず、オンライン上での服装、会話、行為までをもコントロールしようとしているのです」と同団体の中東・北アフリカ方針責任者であるマルワ・ファタフタ氏は述べた。

エジプトは近年、国の統治を形成しているイスラム法のバランスを保ちつつもSNSコンテンツがもてはやされて急速に変化する社会に適合しようとするなかで、厳格なインターネット管理を実施してきた。

国の安全を脅かすとみなされるウェブサイトの遮断や、5000以上のフォロワーを持つSNSの個人アカウントの検閲を当局に認める厳格な法律が、2018年に承認された。

「過去にエジプト政府はインターネット上で政治活動を締め付けました……今ではオンライン上の締め付けは政治活動以外にも拡大しています」とファタフタ氏は述べた。

逮捕された6名の女性たちには合わせて何百万人というフォロワーがいる。

ホサム受刑者は、少女たちが彼女と仕事をすればお金を稼ぐことができると述べた動画を投稿して逮捕された。そのメッセージが売春を呼び掛けていると解釈されたのだ。アドハム受刑者は、TikTokとインスタグラムに風刺動画を投稿した。

道徳解釈を競うバーチャルな戦いの場であるだけでなく、SNSは若いエジプト女性たちに性的暴行について声を上げる機会も与えたが、それが時として負の結果を招いている。

5月に、若い女性が泣いている衝撃的な動画が注目を浴びた。顔が殴られて痣になっていた。

ミンナ・アブデル・アジズさん17歳はインスタグラムに動画を投稿し、そのなかで自分は若い男性の一団に集団レイプされたと語った。

当局の反応は素早かった。襲撃者とされる6名は逮捕されたが、アブデル・アジズさんも逮捕されてしまったのだ。彼らは全員、「無節操を助長した」罪で告発された。

「彼女は罪を犯した。彼女は罪のいくつかを認めた」と検事総長は陳述の中で述べた。「彼女は刑罰に値する」

アブデル・アジズさんの一件が表面化すると、エジプト女性の間で#MeToo運動が復活した。主に裕福な背景を持つ女性たちが動き出している。

7月末に集団レイプされたとの主張が著名なSNSアカウントから発信され、それが引き金となったのだ。

もうひとつは、若い女性が性的不品行についての証拠を投稿したのだが、その結果として今月逮捕されてしまった件だ。アハメド・バサム・ザキさん22歳は、エジプトのエリート校とエリート大学の元生徒であった。

しかしこの運動は苦しい戦いを強いられている。

アブデル・ファター・アル・シーシー大統領が2014年に政権に就いて以来、彼の政権は人権を制限してきたと人権団体はいう。

コメディアン、研究者、ブロガー、ジャーナリスト、反対政治家、弁護士、活動家たちが近年投獄されており、ある音楽ビデオ監督は拘留中に亡くなっている。

最新の標的集団はSNSインフルエンサーたちだが、彼女たちを投獄することは「社会的価値観を守ることとは何の関係もありません。これはインターネットの取り締まりであり支配です」とアクセス・ナウのファタフタ氏は述べた。

「エジプトではTikTokのコンテンツ制作者やインフルエンサーたちが大量に増えており、このコミュニティーを標的としたさらなる起訴が今後も発生するという高いリスクがあります」と同団体は付け加えた。

–AFP

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