• 財務省は、イランがイラクのエルビルにミサイル攻撃を行い、今月のサウジアラムコの施設に対するフーシ派のミサイル攻撃を「イランが可能にした」ことを受けて、対応を取ったと発表した
• 財務省は、イランの調達担当者のモハマド・アリ・ホセイニ氏に制裁を加えたと発表した

ワシントン：米国は30日、イラン政府が弾道ミサイルプログラムの資材を入手するのを手助けしたと同国が非難しているイラン在住の男性とその企業ネットワークに制裁を加え、イランの支援を受けた代理部隊の関与が疑われるこの地域の複数の国々に対するミサイル攻撃を受けて対応を取った。

2015年のイラン核合意の復活に向けた協議が行き詰まる中で出された声明の中で、米国財務省は、イランがイラクのエルビルにミサイル攻撃を行ったことや、今月のサウジアラムコの施設に対するフーシ派のミサイル攻撃を「イランが可能にした」こと、さらに、イランの代理部隊がサウジアラビアとアラブ首長国連邦に対して他のミサイル攻撃を行ったことを受けて、対応を取ったと発表した。

財務省は、イランの調達代理人であるモハマド・アリ・ホセイニ氏と、同氏がイランのミサイルプログラムを支援するために、弾道ミサイル推進剤と関連資材を調達するのに利用したと米国が非難している企業ネットワークに制裁を加えたと発表した。

財務省は、弾道ミサイルの研究開発を担うイスラム革命防衛隊（IRGC）の部門のために資材の調達を行っているとして、同氏を非難した。イランのIRGCは米国の制裁を受けている。

匿名を条件に取材に応じたある米国政府関係者は、この制裁は核合意の再建に向けた取り組みとは無関係だと述べた。この核合意の下でイランは、世界的な経済制裁の緩和と引き換えに、核爆弾の開発（イランはこのような野望は否定している）がより難しくなるよう、核開発プログラムを制限していた。

「米国はイランが包括的共同作業計画を再び完全遵守することを求め続けている一方で、イランの弾道ミサイルプログラムを支援する者を制裁対象にすることは躊躇しない」と、財務省のテロ対策・金融インテリジェンス担当のブライアン・ネルソン次官が声明の中で述べた。

イランは3月13日にイラク北部のクルド人地域の首都エルビルに攻撃を行い、イランのイスラム革命防衛隊（IRGC）が珍しく実行を宣言した攻撃となり、3月25日には、イエメンのイランと連携するフーシ派によるミサイル攻撃がサウジアラムコの施設を襲った。

イラクのクルディスタン地方がイスラエルの支援を受けてトルコとヨーロッパにガスを供給する新しい計画は、イランを激怒させ、今月の弾道ミサイルによるエルビル攻撃の引き金になった一因であると、イラクとトルコの当局者は言う。

フーシ派は25日にサウジのエネルギー施設に対する攻撃を行ったと述べ、イエメンにおける正統性回復のための連合軍は、ジェッダにある巨大石油企業アラムコの石油製品流通所が攻撃され、2つの貯蔵タンクで火災が発生したが、死傷者は出なかったと発表した。

米国とイランの間接的な核協議は、3月上旬に合意間近となっていたが、土壇場でロシアがウクライナ侵攻を受けて科された制裁を空洞化させるような全面的な保証を要求し、協議は頓挫した。

ロシアは以降、核合意に関連する活動のみを対象とするよう要求の範囲を狭めており、米国政府とイラン政府の間で解決すべき問題はわずかとなっていると、外交官らは述べている。

ロイター