アラブニュース
ロンドン:イスラエルの警察長官がアラブ人を「本質的に」人殺しだと表現した録音が流出し、イスラエルのアラブ政党の間で怒りの声が上がっている。
イスラエルの極右派のイタマル・ベングビール国家治安相と警察長官のヤーコフ・シャブタイ氏は先週、電話での私的な会話で、高いとされているアラブ系コミュニティの犯罪率に対処するために、国家警備隊を設立する計画について話し合ったとタイムズ・オブ・イスラエル紙が報じた。
火曜日にイスラエルのチャンネル12にリークされた会話記録の中で、国家治安相は、「次から次へと殺人が起きている。あらゆる一線を越えている。強力な国家警備隊が必要だ」と話していた。
それに対し、警察長官は次のように返答していた。「大臣、どうにもならないことだ。彼らは互いに殺し合っている。それがアラブ人の性質であり、メンタリティだ」
2人の高官は、イスラエル政府が国家警備隊の結成を承認してから1週間以上口論を続けている。警察長官や野党指導者を含む反対派は、この部隊が「私兵」として機能することを懸念し、ユダヤの力党を率いる極右大臣によって統制されるべきではないとしていた。
シャブタイ氏の発言を非難したアラブリスト連合(ラアム)のマンスール・アッバス党首は、「警察長官がアラブ社会に対する実に不愉快な発言を撤回し、アラブ人に謝罪するか、辞任することを我々は期待している」と述べた。
アッバス氏はベンヤミン・ネタニヤフ首相とイツハク・ヘルツォグ大統領に「シャブタイ氏の人種差別的発言を完全に非難」するよう求めた。
クネセト(イスラエル国会)の議員でアラブ政党連合ジョイント・リストのリーダーであるアイマン・オデ氏は、シャブタイ氏の発言は事実上不正確であると主張し、同氏を解任するよう要求した。
「イスラエルで(犯罪事件で)殺されたパレスチナ人の数は、ヨルダン川西岸、ガザ、ヨルダンで(犯罪事件で)殺されたパレスチナ人の数の7倍である」とオデ氏はツイートした。
「これはパレスチナ人の性質ではなく、人種差別的組織の性質だ」とオデ氏は付け加えた。「他の国なら、シャブタイ氏のような人種差別的な長官は一瞬で解雇されるだろう」
イスラエルのハアレツ紙によると、アラブリスト連合のワリード・アルワシュラ氏は、シャブタイ氏は自身の発言で「人種差別と偏見の深淵に陥った」と述べた。
イスラエル警察は、大臣室がベングビール氏と警察長官の間の電話での個人的な会話を録音したことにショックを受けたとし、「文脈を無視して引用されたことに憤慨している」と声明を発表した。
声明はまた、問題の会話は「犠牲者の親戚に知られていても殺人者の身元を明らかにしないアラブ社会の行動パターンについて取り上げていた」と述べた。
しかし、イスラエル警察はこの声明の中で、シャブタイ氏の発言について謝罪しようとはしなかった。
11月からイスラエルの国家治安相を務めているベングビール氏は、2008年にアラブ人に対する人種差別を扇動し、テロ組織を支援したとして有罪判決を受けている。
またベングビール氏は、暴力やヘイトスピーチの扇動でこれまでに50回以上起訴されている。
昨年8月には、同氏は、イスラエル兵を攻撃するアラブ市民を追放する選択肢を裁判所に与える法案の導入を求めると同時に、同じ行為で有罪となった「ユダヤ人」は国外追放ではなく「何年も刑務所で過ごす」べきだと述べていた。
今回の警察長官によるアラブ人に対する物議を醸す発言は、聖なるラマダン期間中、そしてユダヤ人の過越祭を前に、パレスチナのイスラム教徒に対する警察の暴力が増加する中で明らかになった。
イスラエル警察は水曜日未明、エルサレム旧市街にあるアルアクサ・モスクを襲撃し、パレスチナ人に閃光弾とゴム弾を発射した。ソーシャルメディア上の動画には、イスラエル警察がモスク内のパレスチナ人礼拝者を警棒で殴打する様子も映っていた。
これにより、パレスチナの諸派はガザ地区からイスラエルの町スデロットにミサイルを発射したが、ほとんどはイスラエルの防衛システム「アイアンドーム」によって迎撃された。イスラエルは、これに対する報復で沿岸部を空爆した。